櫻坂46の“らしさ”の確立、改名に揺れた一期生の10年 欅坂46時代から刻まれる歩み
欅坂46は、誤解を恐れずに言えば、あまりにも平手が中心のグループになっていた。これに関しては、欅坂46の確固たる世界観を構築する上では非常に重要なファクターとなっていたが、ひとりのメンバーへの過依存状態はグループとして脆いことも同時に意味している。2020年に公開された映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』には当時のメンバーたちの思いが綴られているが、当時副キャプテンだった守屋茜が「平手だから成立すると思っていて。正直(自分たちは)バックダンサーだなって感じることはあった」と思いを吐露していた場面もあった。とはいえ、『2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』で「不協和音」のセンターに立った菅井友香を始め、今泉と小林由依の“ゆいちゃんず”のWセンターによる「ガラスを割れ!」や土生瑞穂センターの「エキセントリック」など、平手の不在を感じさせるどころか一人ひとりの気概を強く感じるパフォーマンスだったように思う。一期生の営みは、欅坂46とは何なのか、そして自分たちの存在意義はどこにあるのか、そうした問いと向き合いながら、もがき苦しんできた歴史でもある。
だからこそ、小池がブログで語った「大好き」という言葉や齋藤の「この曲を櫻坂46で、笑顔でできたことに意味があった」という言葉は、彼女たちにはもちろん、当時の姿を見守っていたファンにとっても救済のように思えてならないのだ。
その後櫻坂46へ改名し、櫻坂46としては、2ndシングル『BAN』のヒットを筆頭に、2022年には『2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜』を日本武道館にて開催、2023年からは11月にZOZOマリンスタジアムにて周年ライブを開催し、2023年には初海外公演となった『Japan Expo』を皮切りに、海外進出も顕著になっている。さらには、改名からの流れを知る二期生、2023年には三期生も加入し、今やグループの主力として欠かせない存在へと成長した。
『EX 大衆』2023年7月号(双葉社)の中で、2024年に卒業した小林由依は「櫻坂46になったばかりの頃はまだ動揺もあって。欅坂46のやり方しか知らないので、櫻坂46としての活動に『なんか違うな』と思うこともありました。そんなことを一期生同士で話すと、それぞれが欅坂46としてのアイデンティティや誇りを大切にしながら、櫻坂46としての道を考えていたので、みんなの存在が支えになりました」と同期への信頼を明かしていた。一期生は欅坂46時代から積み上げてきた歴史を肯定し、その上で櫻坂46へと受け継いできた。一期生の思いの継承、櫻坂46の現在地は昨年11月に開催された『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』にも刻まれており、二期生や三期生のたくましいパフォーマンス、そして4周年という節目を迎えられたのも、一期生がいてこそ。彼女たちが長い間かけて植えてきた芽が、こうして花開いた瞬間だった。
自己の模索に揺れた欅坂46時代、そして後輩への継承という重要なタームを遂行した櫻坂46時代。この10年の歴史の中心には必ず櫻坂46の一期生がいた。この先5年、10年と一期生の歩みは刻まれていく。
※1:https://sakurazaka46.com/s/s46/diary/detail/58663