Plastic Tree 有村竜太朗×MUCC 逹瑯 対談! 出会いと今のロックシーン、そしてV系が放つ希望を語り合う
Plastic TreeとMUCC。ヴィジュアル系シーンにとどまらず、その高い音楽性で幅広いファンを掴んできた両バンドが、Plastic Treeは結成30周年、MUCCは3度目のメジャーデビューと、それぞれに大きな節目を迎えた。
そこで長きにわたる親交があり、“盟友”とも呼べる両バンドのフロントマン、有村竜太朗(Plastic Tree)と逹瑯(MUCC)による対談を企画。2024年9月、ソロでの対バンイベント『有村竜逹瑯』も開催した両者に、ふたりの出会いから親しくなるまでの過程、今のロックシーンについてまで、語り合ってもらった。(編集部)
逹瑯にとっての有村竜太朗は「初めて接触したメジャーバンドの人」
――おふたりは随分長く親しくされているそうですが、初めてお会いになったのは、いつ頃だったんでしょう。
有村竜太朗(以下、有村):何年だろう? 96年とかかな?
逹瑯:いやいや竜太朗さん、MUCCが97年結成なんで。
有村:あははは。それはないか。
逹瑯:98年か99年ぐらいに初めて挨拶させてもらって。プライベートでも仲良くしてもらうのは、もうちょっとあとじゃないですか。
有村:そっか。最初は、友人にcali≠gariというバンドがいて、そのcali≠gariさんまわりのバンドということで、仲良くさせてもらっていたんですけど。逹瑯くんとは一緒に遊びに行くことも多かったり、もちろん対バンすることもあって。親交が深いなかで何年も経っちゃったなって感じですね。
逹瑯:俺が初めて竜太朗さんを見たのは、移転前の新宿LOFTでcali≠gariが主催していた『東京地下室』にうちら(MUCC)も出してもらった時に、竜太朗さんが遊びにきていて。GRASSのYA-SU(Vo)さんとかと話してるところで、「ああ、竜太朗さんだ!」という感じで挨拶させてもらったのが最初だったと思います。
有村:ちゃんと喋ったのは市川CLUB GIOの廊下というイメージがあるんだけど、「大きい人だなあ」って(笑)。で、いろいろ話しやすい人だなあ、初っ端から仲良くなれそうだなあと思いました。そのすぐあとにMUCCを観て、結構衝撃も受けましたし。
――どんな衝撃を?
有村:僕としてはすごく好みの感じだったんですけど、うちら世代ではちょっとないぐらい、1個のバンドとしてのコンセプトというか、まとまり感というか、そういうものがあって。すごくまとまっていて、単純にかっこいいなあ、という。音楽的にも僕はcali≠gariがすごく好きで仲がよかったというのもあって、cali≠gariのいちばん年下の後輩という感じ。MUCCは音楽性がちょっとほかのバンドとも違っていて、特殊な人たちで、こんなにまとまってるバンドがいるんだと思って、ある種脅威を感じるぐらい、すごく驚きましたね。
逹瑯:いやいや、若気の至りで、やりたいことをやっていて。cali≠gari、ラヴィアンローズとかも見て育ってきたんで、変なバンドにはなりましたよね(笑)。もちろんPlastic Treeも見ていましたし。cali≠gariはすごくよくしてもらった大きな先輩でしたけど、初めて接触したメジャーバンドの人は、竜太朗さんかもしれない。「メジャーの人だ!」っていう印象がデカかったですね。「売れてる人だ!」って(笑)。
有村:あはははは。僕らも当時は対バンとか全然するし、打ち上げもよくするバンドだったので、いろんなバンドの人と仲良くなるんですけど、そのなかでも初っ端から距離が近づいたバンドだし、逹瑯くんだし、という感じでしたね。僕らはメジャーデビューしてから東京にきたから、東京で遊んでくれる友達、みたいな感じもありましたね。
逹瑯:会ったら一緒に話したりとか、そういう感じになっていったのは、年越しイベント『Over The Edge』とか、その界隈に遊びにきてくれたり。あのへんのイベント(の存在)が大きかった気がしますね。ああいうイベントでバンド同士が仲良くなりましたよね。
有村:そうだね、朝まで飲んだりして。逹瑯くん世代のバンドの人たちとも、逹瑯くんの紹介で仲良くなった。それこそ『Over The Edge』とか、どこかのバンドの打ち上げで、みんなでよく飲むこともあったし。
インディーズとメジャー、どちらも経験したからこそわかる違い
――25年以上も友情が続いているのは素晴らしいですね。Plastic Treeは今年が結成30周年、これまでいろいろなレーベルで活動されてきましたし、MUCCは結成27年目で徳間ジャパンから3度目のメジャーデビューをされました。メジャーレーベルとインディーズレーベル、どちらも経験されていますが、バンドにとってはどんな違いがあるものでしょう?
逹瑯:昔は違いが大きかったですよね。今は昔ほどの影響力はないと思うんですけど、メジャーだとやっぱり環境が整うんじゃないですかね。今回はいろいろな条件が、徳間(ジャパン)サイドとMAVERICK/MUCCサイドで奇跡的に折り合いがついたので、こういう形になったんです。「メジャーでもう一回やりたいね」という話が特別出ていたわけでもなかったんですけど、たまたまお互いのタイミングも合いました。
――メジャーレーベルに求めるのはどういうところですか。
逹瑯:環境の違い。広がらなきゃ意味がないと思うので、環境が変わったり視野が変わるのが大きい。あとは人が増えるから、いろんな意見をもらって、それが刺激になったりとか。
――インディーレーベルのよさというのもおふたりはご存知だと思いますが。
逹瑯:フットワークの軽さと自由さじゃないですかね。契約に縛られないから、自分たちの思うように進められるけど、それ以上の広がりはない気がする。自分たちで考え得る音しか出てこないから。人が増えると、脳みそが増えたぶんだけアイデアが出てくると思うので。それが、環境が変わるメリットとデメリットですかね。
有村:僕らも最近はビクターさんが長いですけど、これまでいろいろなレーベルでやってきましたし、インディーズでもやっていますし。僕のソロとかは、インディーズでやってますしね。逹瑯くんが言ってくれたように、いいところも悪いところも――というか、特化しているところはどっちもあるなあと思います。MUCCはのびのびやってる感じだけど、単純にMUCCは仕事が多そうで大変そうだな、と。
逹瑯:(笑)。
有村:MUCCというか逹瑯くん、ミヤ(Gt)くんだけど。とにかく忙しそうだな、というイメージ。でも、何十年も付き合ってますけど、刺激になりますよね。自分がいろいろ見てるなかでも中心のバンドでもあるので、「こういうのやってるんだ」といろいろ刺激を受けたり、逆に相談することもあるだろうし。刺激をもらえるバンドですね。変わった動きをすることも多いし。たとえば、海外活動。僕らもヨーロッパに行った時があったんですけど、MUCCの話をよく聞いていて「よさそうだな」と思って行ったり。対バンイベントにも一回出させてもらった時があって、「こういうのいいなあ」と思って、自分たちでもやってみようと思った時もあったし。影響は受けていると思いますね、僕に限らず。
――年齢とキャリアは有村さんの方が先輩ですが、逹瑯さんたちから刺激を受けてるんですね。
有村:ほぼ同期だと思ってるんで(笑)。
逹瑯:よく言うんですけど、全然同期じゃないですからね(笑)。
――その温度差なく付き合ってらっしゃる感じがいいですね。
有村:そのへん、変な温度差はないですね。本当にありがたいです。