日向坂46 13thシングルフォーメーション分析 “小坂菜緒のセンター”というジョーカーを切る意味
日向坂46が2025年1月29日にリリースする13thシングル『卒業写真だけが知ってる』のフォーメーションが、12月1日深夜放送の冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系/以下、『ひなあい』)にて発表された。
センターを務めるのは7thシングル『僕なんか』以来、6作ぶりとなる小坂菜緒。ここ最近は2列目やフロントとして、同期や後輩たちを支えることが多かったが、2年半ぶりにグループの顔が帰ってきた。小坂は日向坂46のデビューシングル『キュン』から4thシングル『ソンナコトナイヨ』までと、7thシングル『僕なんか』の計5作の表題曲でセンターを務めてきた。まだ方向性すらも定まっていないグループの草創期から絶対的な中心として安定的な地位を築いてきた小坂が再びセンターに立つことの意義は非常に大きい。
というのも、近年は9thシングル『One choice』では二期生の丹生明里、10thシングル『Am I ready?』では三期生の上村ひなの、11thシングル『君はハニーデュー』では四期生の正源司陽子、12thシングル『絶対的第六感』では四期生の正源司と藤嶌果歩のダブルセンターと、センターポジションは徐々に三期生から四期生への移行しつつあり、特にこの1年は世代交代を大きく打ち出してきた。それを象徴する出来事が11thシングルから導入された選抜制である。これまではメンバー全員が選抜メンバーとして活動しており、明確に選抜とアンダーを区別してこなかったが、新たに選抜を導入しグループの流動化を促した。結果的に課題であった世代交代は幾分かうまくいったように見え、特にこの1年でセンターを務めた正源司と藤嶌をはじめ、四期生が台頭してきたように思う。
ここで運営は二期生の小坂という、グループの象徴とも言えるジョーカーを出してきたわけだが、そこには五期生の加入を前提とした原点回帰という意味合いと、初期メンバーの卒業が相次ぐ中で、引き続きグループの広い社会的認知を獲得したいという運営の意図がうっすら見える。
小坂はフォーメーション発表後のインタビューにおいて、「(今までは)メンバーをわりと支える形でこの2年間過ごしてきたので、感じたことのない不安が出てきていて、支えるみたいな立場に慣れてしまっていたからこそ、次(センターに)立ったときにどうしたらいいんだろうみたいな、そういう感じの不安がある」と語っていたように、自らが先陣を切ってきた過去のセンター作と今作とでは状況は大きく異なるだろう。だが、『EX大衆』2024年12月号(双葉社)のインタビューでは、「私がグループを背負っていいのか」という不安を明かしつつも、「いまは頼れる先輩と同期がいて、後輩たちが増えたからこそ、『自分が引っ張っていかなきゃ』という考え方にシフトできたんです。センター曲を披露するときは、当時の日向坂46じゃなくて、いまの日向坂46を見てほしいというか、『私がいまの日向坂46を見せなきゃいけない』という強い気持ちでいます」と考え方の変化も語っていた。2年半ぶりにセンターに立つ小坂には新たな役割が求められている。