Sound Horizonメジャーデビュー20周年に再び催された生者も死者も集う祝祭 『Revo’s Halloween Party 2024』1日目

 2024年11月23日・24日、横浜・ぴあアリーナMMで、『Revo’s Halloween Party 2024』が開催された。今年はSound Horizonのメジャーデビュー20周年であり、11月13日にはSound Horizonメジャーデビュー20周年記念作品Beyond Story Maxi『ハロウィンと朝の物語』が先行配信されたばかり。本公演もこのマキシシングルに関連したものであると謳われていた。ここでは1日目の公演の様子をレポートする。

 公演にはドレスコードが設定されており、その内容はズバリ「仮装」。会場には着替えのコーナーも設置され、コスプレやバウンドコーデ、ワンポイントの装飾など、それぞれの解釈でドレスコードを全うするローラン(Sound Horizonのファンの愛称)が“ハロウィン・パーティ”に集った。

 ちなみに『Revo’s Halloween Party』と題したコンサートが行われるのは11年ぶりのこと。前回行われたのは2013年、Sound Horizonがポニーキャニオンへの移籍後初のCD作品(Story Maxi)『ハロウィンと夜の物語』を発売した10月の末。前回はSound Horizon、Linked Horizon、そしてRevo名義の楽曲が幅広く演奏されたが、今回はどんな公演になるのか? 着座して舞台を見ると、『ハロウィンと朝の物語』のアートワークに描かれた屋台などが並んでいた。

 公演前の会場アナウンスでは仮装についての諸注意、ネタバレの解禁日時などが告げられたのちに「『Halloween ジャパネスク '24』の振り付け練習」が行われた。といっても練習というよりリハーサルのようなもので、特にアリーナ席のローランたちは事前に公開された映像で振りを練習してきており、スクリーンに投影された近衛兵の振り付け映像と同じ踊りをバッチリ踊っていた。

 その後、『ハロウィンと朝の物語』の登場人物である“ハロウィン関係者”と“キッズアンバサダー”3人の掛け合いが流れ、会場は朗らかな雰囲気に。しばしの時間を経て、客電が落ち公演がスタートした。

 ところで、『ハロウィンと朝の物語』はSound Horizonの20周年という節目に発表された作品として、非常に挑戦的な試みを含んでいる。おそらく作品の舞台は長野県松本の浅間温泉であり、これまでSound Horizonが描いてきた作品世界や登場人物といったものが本作によって、現代の私たちの生きる地平線へと接続しつつある。……無論10年前に発売された『ヴァニシング・スターライト』のようにパラレルワールドを描いている可能性もあるし、これも現時点の私の“解釈”でしかないのだが。そしてここから記載するレポートも全て、私の個人的な解釈であることを注記しておく。違った視点での読みや、記事中の明確な誤りもあるかもしれない。ローラン諸兄から見て触れるべきポイントをスルーしているかもしれないが、どうか1人の解釈だと思って読んでいただければと思う。

 下手より登場したアイク・ネルソンのナレーションからコンサートは始まった。1曲目は「物語」。“ハロウィン関係者”がメインボーカルを取る楽曲だ。間奏ではバンドメンバー・ダンサーを順に紹介してコンサートを華やかに始めると、「小生の地獄」「あずさ55号」と『ハロウィンと朝の物語』の楽曲が順番に演奏される。「あずさ55号」では灰野優子と深見梨加の演じる登場人物同士の掛け合いが歌とセリフで展開、音楽が目の前で視覚的に表現されていく。スクリーンには実在の特急、あずさ55号(21時新宿発、松本行)の車窓から撮影した動画が映され、JIMANGが楽曲中に登場したアイテム(『Roman』の初回盤特典のハンカチ)を持って登場。続く「《光冠状感染症狂詩曲》」に描かれる、コロナ禍の温泉宿の描写においても現実世界と当楽曲の関連が強く印象付けられた。「皐月の箱庭」では登場する3人の少女、山崎杏演じる皐月(メイ)・本屋碧美演じる乙姫(マリン)・松岡夏輝演じるショコラが登場。スクリーンでは「Halloween ジャパネスク '24」のMVのフルバージョンが流れ、『ハロウィンと朝の物語』のボーカリストが集合して「Halloween ジャパネスク '24」を歌い踊ると舞台は楽しい雰囲気に。

 その後行われたMCでは“ハロウィン関係者”が「『浅間でハロウィン』は大成功なのか……?」「浅間温泉にこれだけ多くの人が来てくれるなんて!」と感激しながら皐月とともに客席へおりていく一幕も。“ハロウィン関係者”の「これがSound Horizonが存在する地平線ってこと!?」という一言には観客もザワつき、そのまま「約束の夜」の演奏が始まる。来年発売予定の『ハロウィンと朝の物語』のCDに収録される最後の一曲であり、本公演初披露となる楽曲だ。急展開するドラマのなかで花道に皐月が倒れ、演奏が止むと前触れなくスポットライトが客席を照らす。明かりの方向を見ると、客席から『ヴァニシング・スターライト』に登場するNoëlとmarie*marieの姿をした何者かが現れ、花道に倒れる皐月をおぶり去っていくという演出が。スクリーンにはイラストレーター左の描いたアート(Noëlとmarie*marieに扮した2人が皐月を背負う絵)が掲示され、楽曲はアウトロへと向かう。皐月は今はなき両親に背負われる夢を見ていたが、目覚めると自分は“おじさん”に背負われていた、というような筋だ。死者も生者も集うハロウィンの夜に「Sound Horizonの登場人物」の仮装をした皐月の両親が、この会場に赴いていたのだとしたら……? という演出として読むのもまた解釈の一つ。予想外の演出に客席からは悲鳴が上がっていた。

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