緑仙、ホームタウン仙台の地で届けたエモーショナルな歌声 新スタイルで未来も示唆した2ndツアー最終公演

 ライブもいよいよ後半へ。ハンドクラップと軽やかなステップで始まった「しあわせクッキー」は、まさに“新しい呪い”という表現の通り「タイト」とは別の形で聴く者に寄り添った、幸福感溢れるキュートなステージになった。

 喜び溢れる笑い声を交えつつファンとのコミュニケーションを取りながら披露された「友達代表宣言」、にじさんじ共通衣装に着替え「好きな色のサイリウムを振ってください!」と告げると色気を帯びたボーカルで魅せた「魅惑の華」、ハンサムな低音とクールなファルセットで魅了した「ジガトラ」、歌唱力と音域の広さを生かし聴かせたプリンセスプリンセス「M」のカバーと、様々な楽曲を全力で振り絞るように歌い上げていった。

 本編最後の曲は、「リコネクト」。ギターを抱えての再登場に驚きの歓声が巻き起こる。「不安だ」と溢しながらギターの音色を確認し「うん、大丈夫そうです!」と力強く告げると、楽曲がスタート。〈この場所が僕は必要なんだ〉〈明日になれないな なりたくないな この曲が終わるまで〉と、この特別な時間への気持ちになぞらえたような歌詞が、エモーショナルに鳴り響く。ギター&ボーカルという新たな表現で、楽曲にまた新たな意味を生み出したといえるだろう。

 アンコールでは、Jリーグ・ベガルタ仙台のエンブレムが入った拡声器を手に、昨年のベガルタ仙台応援ソング「WE ARE YOU」を熱唱。ベガルタゴールドと緑のペンライトが入り混じる客席を広く見渡し、熱いメッセージソングを届けていく。さらにベガルタのビッグフラッグを大きく振りながら今年の応援ソングである「Blowin' Wind is blowin'」を披露。ユアテックスタジアム仙台の情景と客席の映像をバックにパワフルに歌い上げていく。ベガルタ仙台のホームタウンでの披露とあって、会場の一体感は最高潮に達した。

 「思い残すことないようにいっぱい暴れましょうね。最後まで楽しみましょう!」というメッセージとともに始まったラストソングは、「イツライ」だ。緑仙とファンがお互いの存在を確かめ合うように声を出し手を振り上げ、ライブでしか味わえないうねりを生み出して、この熱いライブツアーを締めくくった。

 「インターネットでしか会えない僕だけど、だからこそみんなとまたライブハウスで会いたいです」「大好きだよ!」と、最後にシャウトしてステージを去っていった緑仙。過度な演出に頼ることなく、音楽にストイックに向き合ったライブだったからこそ、アーティストらしいざらりとした手触りを残し、独特の存在感を示したように思う。歌唱力や表現力といった才能と実力はもちろんのこと、ライブならではの愛情やエネルギーを感じられたパワフルなステージだった。

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