ENHYPENのステージはなぜすごいのか? ライブアーティストとしての絶対的地位と破格の存在感

 ENHYPEN初の日本3都市ドームツアー『ENHYPEN WORLD TOUR 'WALK THE LINE' IN JAPAN』がまもなく開催される。11月9日、10日の埼玉・ベルーナドーム、12月28日、29日の福岡・みずほPayPayドーム福岡、2025年1月25日、26日の大阪・京セラドーム大阪にて、全3都市6公演を予定している。

 韓国で初のスタジアム公演、そしてここ日本ではK-POPボーイグループ史上デビューから最速となる約4年で3都市でのドームツアーを敢行することになった、3回目のワールドツアー『WALK THE LINE』。ENHYPENのこれまでのライブにおける軌跡を今一度振り返ってみたい。

『ENHYPEN WORLD TOUR ‘WALK THE LINE’ IN GOYANG』

 彼らが初めて日本でENHYPEN単独でステージに立ったのは、2022年10月27日に東京・六本木ヒルズアリーナで行われた日本1stアルバム『定め』の発売記念ショーケース。その後、彼らはさまざまなワールドツアーを経験することになる。同年11月からは初めてのワールドツアー『ENHYPEN WORLD TOUR 'MANIFESTO'』の日本公演として、日本デビューからわずか1年半での開催となった京セラドーム大阪を含む、4都市8公演を成功させた。2023年には『ENHYPEN WORLD TOUR 'FATE'』日本公演で初めて単独で東京ドームのステージに立った。これはK-POPボーイグループのなかでデビューから最速での記録となる。同ワールドツアーは、世界で32万人以上を動員した。

 今年2024年はメンバーがより多くのENGENE(ファンダム名)に会えるようにとさまざまな都市を巡る『ENHYPEN WORLD TOUR 'FATE PLUS'』の日本公演を宮城や広島などを含む5都市で開催し、夏には大型音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』へのK-POPアーティスト史上初出演も経験した。着実に規模も、そしてその実力も高め続けているのだ。

『ENHYPEN WORLD TOUR 'FATE PLUS'』埼玉公演

 彼らのコンサートにおける最大の魅力は、さまざまな楽曲コンセプト、ツアーコンセプトを完璧に表現しつつ、同時にコンサートならではの臨場感も味わえることだ。

 たとえば、『FATE PLUS』。このひとつ前のツアーである『FATE』で示したメッセージは、ENHYPENとENGENEがひとつの運命共同体であるという確信と自信だった。続く「FATE PLUS」ツアーでは、運命の糸をもっと強く結び、絶対に解けないものにするための時間としての意義をENGENEへ伝えるために、配置された楽曲の意味、一つひとつの楽曲に込められたメッセージを7人は体現し、そして「自分たちの物語の中心にはENGENEがいるのだ」と口にしていた。

 その姿は、作品におけるコンセプトにも呼応している。以前までは自分自身の存在意義や自我の証明、相手への理解など、ある種の“訴え”を歌に刻んでいたENHYPEN。だが、昨年11月リリースの5thミニアルバム『ORANGE BLOOD』からは叫びのようなものは聴こえてこない。穏やかな声で奏でられるのは、あたたかな気づきをもった「僕たちは運命の糸で結ばれているのだ」という自覚めいたものでもあった。その確信を音楽として昇華し、そして開催された『FATE PLUS』のツアーコンセプトは『ORANGE BLOOD』とも地続きとなるものだった。ここまでのコンセプト表現力とそこに乗せられた感情における真実味は、どこまでもリアル。表現と内面が乖離していない。当たり前のようですごく難しいことを、ENHYPENは体現することができる。彼らのライブのすごさは、やはりここにある。

『ENHYPEN WORLD TOUR 'FATE PLUS'』宮城公演

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