SZNOは一体何者? 世界観/キャラクター原案のじんのコメントと共に紐解く“都市伝説”的なアーティスト性

公式サイトの文字化けに隠されたメッセージとは?

清水翔太 - HOME / THE FIRST TAKE

 公式HPにあるSZNOの紹介文には「センター街で『繧キ繧シ繝阪が繧「』に会うと『虜』にされるらしい」「好きな食べ物は「繝上Ν繝」。」という文字化けで伏せられた秘密が隠されている。

 またじんは、SZNOというアーティストについて「シンプルに魅力的な人」と言い切り、「ご本人のパーソナリティのどこを切り取るか、スタッフもみんな慎重に考えている印象だった。この子の面白さ、ユニークポイントを“ちゃんと”大勢に伝えるにはどうすればいいか、と」と説明。続けて「彼女から質問を投げられている、遊びに誘われているような感覚。『私の名前を知って欲しい』というより、『私の名前を考えて欲しい』というか。SNSを通して、反応をもらうこと自体には飢えてるんじゃないかなあ」と彼女のパーソナリティに対しての解釈を展開する。

 その上で「サイトでの文字化け表現は僕の発案もあるんですが、そういった彼女の一面を考えた時に、その秘密が簡単に伝わって欲しくないんだろうな、と思って。なので言葉をそのまま載せて表面的に知ってもらうんじゃなく、あえて文字化けで『なにこれ?気になる』と思う“入口”を作るというか。そこに入って来て初めて、言葉だけじゃ伝わらないものも教えてあげるよ、というスタンスを意識しました」という裏話も明かしてくれた。

 同時にそんなSZNOのストーリーテラー第一人者として、彼女の持つ「一方的さ」を不可侵領域に設定していたそう。「『みんなで一緒に作り上げていこう』ではない、彼女の美意識の一方的な発露がある種の強い魅力で。自然体のSZNOさんが発信することを、我々が勝手に目撃する。その姿勢は大事にしました」と、彼女に対する一定の尊重を注力ポイントとして明かす。

 だが改めて考えると、自分を見て欲しいという自意識と、一方通行な感情の発露は相反するものにも感じられる。だがそれこそが、彼女の人間らしさであり大きな魅力だとじんは語った。「一人でいたいけど寂しい、という矛盾した感覚。それはとてもリアルでシンプルで、アーティストとしての夢を語られるより真実めいてる気がしますよね」「彼女自身も他人に無関心ではなく、むしろめちゃくちゃ興味津々なんですよ。けれど『みんなでお話しよう!』では、相手の本音が出て来ないと知っているのかも」と内面を推察する。

「人間への面白さも、彼女の活動動機のひとつだと思います。人為らざるものだからこそ、人に興味がある。そうやって自身の目で見たものを、音楽や何かしらの形で表現していくのかな、と。天衣無縫にやってほしいですね、これも全部人から聴いた話ですけど(笑)」

 そんなSZNOの実像、そして彼女を形成する物語の詳細が、現在楽曲と併せてYouTubeでのボイスドラマ投稿で展開されている。デビューシングル「xx」に続いて、9月末にはセカンドシングル「flag」もリリース。徐々に本格的に始動し始めた彼女の様子に、「やりたいことがいっぱいあるんだろうな、と思った」とじんは話す。

 「ますます僕もいろんな想像をしちゃいますね。どんなことをしたいんだろう、葛藤とかあるのかな、とか。一方でドラマの様子を見ると、どこまでが本当でどこまでが嘘かわからない一面もあって。けれどこうしていろんな表情が垣間見えることで、彼女の実像も立体的になっていくのかな、と」「あまり掴み所がない人。でも“何もない”人ではない。常に聴衆を見ている感じもして、その反応を糧にしてる感じ。いろんなメッセージを、どんどん伝えてあげると面白いんじゃないでしょうか。それがきっと彼女を形作ることにも繋がるので」と、SZNOの語り部の先駆者としての温かな眼差しを見せる。

 くわえて、自身の代表作であるカゲプロシリーズや、今回のSZNOプロジェクトのようなメディアミックスコンテンツの魅力について、「多重な層によって、時に奇跡みたいなものが生まれる」点だとじんは語った。

「僕は音楽って、単体だと脆弱でもあると思っていて。たった4分のためにイヤホン持ってきたり、歌詞が気になったらわざわざ開いてチェックしたり。楽しむための準備動作がけっこう必要で、それも良さである反面億劫だな、と思うことも確かにあるんです。でも、絵だと即時で魅力が分かる。小説だと読むのは時間かかるけど、情報量がたくさん詰め込むことができる。いろんな手法の強みを集めてコンテンツを作ると、それぞれの物質価値以上の体験が生まれる。人の記憶に何年も残り続けるような、強烈な体験を生み出せるんですよ」

 「とはいえ、一歩間違うと全体的に浅くてものすごくつまらないものになる場合もある。無限に可能性があるけど作り込みも大変で、正解はないし、見る人聴く人全員が違う答えを出すことも。でもごく稀にメディアミックスが、何物にも勝つ瞬間があるんです」

 そう語る言葉には、自身も様々な同形式の作品に心揺さぶられた経験を持っているであろう一面も見受けられた。

 今後もまだまだリリースを重ねていくSZNO。10月25日にはサードシングル「21g」もリリースした。煌びやかで壮大で、しかしどこか切なげなメッセージを孕む本作では、これまでの2曲とはまた少し趣の違う彼女の魅力を見つけられるはずだ。数日内に公開される、今曲にまつわるボイスドラマもぜひチェックしておきたい。

 これからも拡大するのみならず、メディアミックスによってより深度も増してゆく彼女のストーリー。その行方に、今後も多くの視線が注がれることだろう。

■リリース情報
「21g」
10月25日(金)配信リリース

■SZNOメインスタッフクレジット
・世界観/キャラクター原案協力:じん
・キャラクターデザイン:りたお(PHASE STUDIO)
・脚本:森地夏美
・音楽:中居廉
・音楽ディレクター:タノウエマモル(ハートカンパニー)
・映像ディレクター:荒木悟(Hifumi,inc.)
・音楽制作:ランティス
・企画/プロデュース:SZNO project(バンダイナムコミュージックライブ、ミュージックレイン)
(C)SZNO project

■関連リンク
・YouTube:https://www.youtube.com/@szno_xx
・X(旧Twitter):https://x.com/szno_xx
・TikTok:https://www.tiktok.com/@szno_xx
・Official Site:https://lantis.jp/szno/

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