Official髭男dism「Same Blue」、キタニタツヤ「青のすみか」……“青/ブルー”を絡めたアニソンが彩る青春
タイトルに“ブルー”が入っているアニメと言えば、『ブルーピリオド』(MBS/TBS系)。絵を描く楽しさを知った高校生の主人公が、難関の東京藝術大学の受験に挑み、美術を探求していく同作のOmoinotakeによるOPテーマ「EVERBLUE」は、R&Bやソウル、サウスロックからの影響を感じるグルーヴィーなアップチューン。一聴して耳に残るポップなグッドメロディが素晴らしい。Aメロ部分でフレーズ前の最後の一音を跳ねるように切り上げリズム感を出すなど、耳がいい熱心な音楽リスナーであることが窺える。間奏でブロウするサックスの後に、そこを引き継ぐようにさらなる高音の旋律でファルセットを聴かせるなど、凝ったアレンジを再現するスキルもある。『ブルーピリオド』が、美術をテーマにしていることもあり、歌詞のなかには色の名前や〈無色透明〉、〈カラフル〉、〈混ざる色味〉、〈塗り重ねて〉と言った言葉が散りばめられているが、素晴らしいのは〈色のない 雨がいつか 虹を描くように〉というワンフレーズだ。人生はキャンパスに喩えられることも多いが、雨の後に虹を描くのは、自分自身であること、そして自分次第で人生が鮮やかに彩られることを教えてくれる。
また『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)のOPテーマとなったGalileo Galilei「青い栞」にも触れたい。長井龍雪(監督)×岡田麿里(脚本)×田中将賀(キャラクターデザイン)による超平和バスターズが手がけたオリジナルアニメである本作は、今でも名作としてその名が挙がることも多い。2013年に劇場版アニメが公開されたほか、2015年には実写版ドラマ化、そして2022年には舞台化されている。幼馴染6人組のなかの1人が事故死し、それぞれの時間を経て、亡くなった幼馴染を成仏させるために集まる残りの5人。デリケートな関係のなかに見えてくる、5人の強い絆。「青い栞」は、そんな5人の心に寄り添うような包容力あるミディアムロックになっている。
最後に取り上げたいのは、いきものがかりだ。これまで数多くのTVアニメタイアップ曲を担当しているが、“青/ブルー”がタイトルについている曲は2曲。『おおきく振りかぶって』(MBS/TBS系)第2期OPテーマ「青春ライン」、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』(テレビ東京系)OPテーマ「ブルーバード」だ。ともに〈追い続けて〉という歌詞があり、目標や目的に向かって前進することの大切さ、そして尊さをしっかり表現している。
本稿の執筆にあたり、あらためて感じたことがある。憂いも哀しさも寂しさも、そして刹那も――それがあるからこそ、喜びがより輝くと思うのだ。感情の起伏そのものが青春で、そのなかにブルーな気分というものは、不可欠な要素なのだと思う。光と影があるからこそ、青春はそれぞれの人生のなかでひとつの糧となっていくのだ。
青い空の向こうに、未来への想いを馳せる――その憧憬に年齢はきっと関係ない。
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