EXILE SHOKICHI、好奇心と向上心を活かした八将牛プロジェクト 『MEAT MANIA JAPAN』で伝える“食”の面白さ
故郷・北海道で八将牛を作る意味
――ご説明ありがとうございます。ではSHOKICHIさんの中での美味しい牛肉のポイントは?
SHOKICHI:脂の綺麗さとかですね。ひとつ、感動したエピソードがあって。自宅で純血但馬牛をすき焼きにして食べたんです。酔って、片付けもせずそのまま寝ちゃったんですよね。すき焼き鍋にはスープしか残ってなかった。肉の脂って、次の日、白く固まるじゃないですか。
――そうですね。冷めると固まる。白く浮いてきますよね。
SHOKICHI:それが! 純血但馬牛、脂が固まってなかったんです。
――えぇーっ? 本当ですか。なんですかその肉。今まで聞いたことがない!
SHOKICHI:そうなんです。だから僕もびっくりして。脂の融点が異常に低い、それが純血但馬牛の血統の魅力。だからいくらでも食べられるし、食べても(胃が)もたれない。そういうところに魅力を感じていて。だったら本当に自分が美味しいと思って、本当に自分が感動するものに仕上げたいなぁということで、純血但馬血統がいいなと。北海道で純血但馬血統の牛を育てることにしたんです。
――となると、まずは孔牛を買うところからですよね?
SHOKICHI:そうです、そうです。最初は3年前、6頭ですね。6頭、北海道に引っ越ししてもらって。北海道の大空町に牧場があってそこにお迎えして。育てるところからスタートでしたね。
――3年前ということは2021年。
SHOKICHI:そうです。それで2024年の10月に初出荷を迎えられるって計算だったんです。
――つまり、今回の『MEAT MANIA JAPAN』開催のタイミングが初出荷ということですね?
SHOKICHI:そうなんです。僕がいろいろなことを通して感じてきた感動を……どうしたら牛が報われるじゃないですけど、八将牛の存在も知ってもらって、自分の感動をみんなとわかちあいたいな、と思った時に、やっぱりエンターテイナーとしてしっかりイベントをやる。僕自身、ずっとエンタテインメントの世界で生きてきたし、そうすることで知ってもらえる機会を増やせるんじゃないかなって思ったんですね。だから初出荷の2024年の10月にイベントを開いて、八将牛の夜明けを作りたいと思った。だから『MEAT MANIA JAPAN』ってイベントを立ち上げたのも結構前なんですよね。
――3年後の出荷に合わせて、3年以上準備をしてきたってことですよね。
SHOKICHI:そうなんですよ、まさに。
――3年後を見据えてって素晴らしい計画だと思うんです。でも、孔牛を迎えた時に、きちんと育つかな、3年後に出荷できるかなという不安はなかったんですか?
SHOKICHI:めちゃくちゃありましたよ。純血但馬血統の牛って、めちゃくちゃデリケートなんですよ。風邪ひきやすいし。
――デリケートなら、ストレスもためやすい?
SHOKICHI:そうなんですよ。
――そしたら脂に出ちゃいますもんね。
SHOKICHI:そうなんです。それがめちゃめちゃ難しくて。普通は、20何カ月で出荷していいんですよ。でも、35カ月はいきたいねって最初から大橋くんと話をしていたんです。
――出荷時期を35カ月にすることで、お肉の何が変わるんですか?
SHOKICHI:牛って、反芻して食べ物を採るんですよ。食べて吐いて、それを食べてってことを繰り返す。要は、生きていく中で、食物を発酵させて食べてるんですね。30カ月を超えていくと自ら熟成していくんですよ。
ーーつまり、生きながら自分で熟成を起こすってことですか?
SHOKICHI:そうなんですよ! 「リビングエイジング」って呼ぶんですけど。
――リビングエイジング! その言葉、今初めて知りました。それって、牛業界ではよく使われる言葉なんですか?
SHOKICHI:そうですね。もう劇的に味が変わります。格段にアロマティックになっていく。だから30カ月から35カ月での出荷を目指したんです。
――餌はどこまでこだわられたんですか?
SHOKICHI:いかに牛が健康的に生きてくれるか、いかに幸せに生きてくれるかってのがまず基本。それがこのプロジェクトに関わる方々全員のテーマだったりするので。人間でいうと……例えば、朝起きて一発目に唐揚げとかだったら辛かったりするじゃないですか。サラダファーストにして、そこでビタミン採ってもらったりとか。そんなイメージですね。
――食べさせる順番も考えられている、と。
SHOKICHI:そうですね。順番ももちろんですし、餌もなるべく牛の負担の少ないものを選んでます。北海道のものばかりですしね。味がのりやすくなるように、餌を作っている農家さんやみんなでめちゃくちゃ話してやってますね。今もまだもっとよくならないかをいつも話してますね。
――味がのりやすいっていうのは、どういう状態のことを言うんですか?
SHOKICHI:肉味を形成していくのって、穀物の要素だったり食べるものが大きく関係してくるんですよ。食べたものによって風味だったりが変わってきたりする。味がのってるっていうのは、よりこう……旨味ももちろんよくなるけど、より香りがよくなるという、そういう感じですね。だから餌にはいつも気を配らないといけない。
命を取り扱うことへの責任感
――それは……何度も牧場に足を運ばないとできないことですね。生産者に任せっきりにしていない。
SHOKICHI:そうです。だから、時間さえあれば、常に牧場に。それこそ、他の牧場を回ったりもしてますし。少なくとも1カ月に1~2回は行ってると思いますね。
――え? まだ牧場めぐりをなさっているんですか?
SHOKICHI:常にしてますね。全国のいろんなところに。
――それは、八将牛をより幸せにするために?
SHOKICHI:そうですね。そこはもちろん一番大きいですし、いろんな知識ももっと深めたいっていうのもあります。やっぱり命を扱っているので、どんな質問にも答えられる自分でいたい。それが責任だと思うんですよ。知らないことを少なくしていかないと、よりよいものはできないと思っているから。
――楽しいですか、牧場めぐり。
SHOKICHI:めちゃくちゃ楽しいですね。ワインもそうですけど、畑から作られるものですから。土地や風土が作り出すものだと思うので、それぞれやり方も違いますし。それを知るのがめちゃめちゃ面白いですね。
――最後に『MEAT MANIA JAPAN』へ来場する皆さんへ向けたメッセージを。
SHOKICHI:まずは楽しんでいただきたいですね。ここに辿り着くまでに多くの方々の情熱があり、ストーリーがあり、ヒストリーがある。そこを感じる……といったら大袈裟になるかもしれないけど、食べて美味しいって感じること自体、とても美しいことだと僕は思っているんです。命をいただくって、ものすごい幅の広い意見があるし、それこそ千差万別だけど、全部正解と思っていいと僕は思っているんです。
――食べる人にもそれぞれのストーリーがありますもんね。それに“食”って毎日続くストーリーですよね。
SHOKICHI:そうですね。食べること……そこには誰かのストーリーがあって、生産者の方々のいろんな人のストーリーが重なっていて。そう思って食べると、美しく素敵なんじゃないかなと思います。そのいろんなストーリーも、全部正解だと思うから。だから、自分の向き合い方、楽しみ方で満喫してもらえればいいんかな、と。
――今回の取材にあたり『MEAT MANIA JAPAN』の企画書を拝見したんですけど、『OKTOBERFEST』やこれまでの『肉フェス』、そして音楽フェス……と、どれにも当てはまらないタイプのイベントだと思ったんですよね。未知の楽しみがあるというか。
SHOKICHI:そうなんです。リファレンスがなくて、すべてがゼロからで、ここだけの話めちゃくちゃ大変で(一同笑)。
――大変だったんですって言いながら、とても楽しそうな表情なのですが(笑)。
SHOKICHI:大変ですけど楽しみですから。始まってみなきゃ分からない部分もたくさんありますけど、みんなに来てもらって楽しんでもらって、その意見を聞きながら、アップデートして続けていきたいなと思います。今は、続けていきたいって目標をもってやってますね。皆さんに必要とされるイベントにしていきたいと思ってます。
■イベント情報
『MEAT MANIA JAPAN supported by SUNTORY』
◆DAY1
予約困難店から名店まで全国から厳選した焼肉店が豊洲に集結する焼肉フェス。
焼肉エリア(入場有料)とキッチンカーエリア(入場無料)に分かれており、ご利用シーンによって違う楽しみ方でお過ごしいただけます。
日時:10月12日(土)11:00~21:00
会場:キラナガーデン豊洲 東京都江東区豊洲6丁目5-27
参加焼肉店:焼肉ジャンボ(東京都) / 焼肉三日月(奈良県) / 焼肉安兵衛(大阪府) / 味楽苑(岩手県) / 焼肉すどう春吉(福岡県) / ホルモン酒場風土(北海道) / 炭火焼肉ホルモンさわいし(神奈川県)
参加キッチンカー:銀座ちかみつ / 焼肉うし松 / よろにく / SHOGUN BURGER / Yagien Ballpark / ラーメン侍 / AMAZING COFFEE
◆DAY2
※DAY2は完全招待制のイベントとなります。(一部OMAKASEによる事前販売実施)
肉の匠が愛情を注いだ食材。そしてその食材を最大限に生かすシェフの技。
肉の匠と有名シェフによる1日限りのコラボレーションが実現しました。
日時:10月13日(日)13:00~17:00
会場:俺のフレンチ グランメゾン 大手町 東京都千代田区大手町1丁目7-2東京サンケイビル 地下2階
肉の匠:上田伸也(但馬玄) / 畑敬四郎(特産松阪牛) / 谷口拓也(万葉牛) / 新保吉伸(精肉店サカエヤ) / 中川篤志(芝浦ほるもん) / 大橋遼太(八将牛)
参加シェフ:高村宏樹(日本料理たかむら) / 長谷川北斗(グルマンディーズ) / 池川義輝(鳥しき) / 齋藤博人(齋華) / 岡田 健一(瞬) / 平久保辰郎(うし松) / 飯田将太(飯田商店)
イベント公式HP:https://meatmaniajapan.com/