髙橋真梨子、コンサートで魅了し続けてきた50年の歩み 富澤一誠が解説する“ベストシンガー”たる理由

何回も聴いている人にも新しい発見をさせてくれる

 そのことを、レコード会社や周りのスタッフもわかっているので、今回の『EPILOGUE tour 2024-2025』では、アンコール公演のセットリストと同じ内容でリリースしたわけですよね。ライブアルバムやベストアルバムはよくありますが、コンサートのセットリストをそのままCDで出すことはあまりない。でも真梨子さんの場合は、このアンコール公演のセットリストこそが究極のベストアルバムになるのではないかと思います。

 今回のセットリストを見たとき、「なるほど、よく練られているな」と思いました。全部で23曲入りですが、「あなたの空を翔びたい」から始まり、外してはいけない鉄板曲として「桃色吐息」「五番街のマリーへ」「遥かな人へ」「はがゆい唇」「ごめんね…」「for you…」「ジョニィへの伝言」があり、さらに「OLD TIME JAZZ」「フレンズ」「グランパ」「別れの朝」「ランナー」といったコンサート鉄板曲、そして今回のコンサートのためにあえて用意されたと思われる曲が「蜃気楼」「雲母の波」「真っ白いシャツ~Lonely girl Lonely boy」「Heart Breaker -波紋の渦-」「無伴奏」ですね。「STARDUST」「Unfogettable」「旅の宿」「時の過ぎゆくままに」「GLORIA」といった、真梨子さんが愛する洋邦名曲のカバーもここで入れておきたいという5曲です。そういった曲たちを、お客さんが“聴きたい耳”になっているコンサートのセットリストの流れで聴かせることで、また歌の魅力が再発見されるのではないかと思います。

 あと、吉田拓郎のカバー曲として「旅の宿」も入っていますね。他の人もカバー曲はたくさん出していますが、真梨子さんが歌うと「一味違うぞ」「えっ、こういう風になっちゃうの!?」っていう驚きがあります。アレンジが全く違いますし、吉田拓郎も「こういう手があったのか」って驚くんじゃないかな。真梨子さん流のカバーの仕方がある気がしますね。ただ上手く歌えばいいというわけではなくて、自分の中に取り入れて、一度バラバラにして、また組み立てて自分の歌にしている感じがするんです。単純にカバーで曲数を稼いでるわけじゃないということですね。何回も聴いている人にも新しい発見をさせてくれることがすごいと思います。

 曲順に関しても言及しておくと、DISC-1は「五番街のマリーへ」で懐かしいなと思わせておいて、「OLD TIME JAZZ」で一気にジャズに入っていく、という流れがありますよね。DISC-2には、真梨子さんのファンなら絶対に聴きたい曲として「ごめんね…」があって、そこから「for you…」「別れの朝」へ行き、最後は「ランナー」。〈生きて… 生きてゆきましょう/あなたのそばで〉と最後にリフレインする「ランナー」は、まさしくラストを飾るのにふさわしい曲ですね。いろいろあったけど、今の気分としてはあなたと一緒に生きていきたいーーそういう曲で着地しています。これを聴くファンの方も年齢を重ねていて、60代や70代の方も多いと思いますから、そういった年齢になって聴くと、かなり沁みてくるわけです。こう考えてみると見事なセットリストですね。このアルバムを聴いているとコンサートに行きたいと思うし、逆にコンサートに行った思い出としてこのアルバムを持っておきたいという気持ちになるのではないかと思います。

 2023年、真梨子さんが全国ツアーに一度終止符を打ったとき、皆さんがっかりしたと思うんですが、実際は完全に辞めたわけじゃなくて、今回もまたアンコール公演をやってくれるわけじゃないですか。そうやって「真梨子さんが頑張っているので、私ももう一踏ん張りしてみようかな」って思わせてくれる人なんですよね。真梨子さんは今年でデビューから51年を迎えましたが、途中で休んだりするアーティストも多い中で、彼女は今までずっとツアーをやり続けている。しかも、曲のリリースも常にされていて、ここまで動き続けられるのは本当にすごい。まさに鉄人ですよね。

『EPILOGUE tour 2024-2025』

■リリース情報
『EPILOGUE tour 2024-2025』
2024年10月9日リリース
VICL-66011~66012 〈CD2枚組〉
4,000円(税込)
配信・購入:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-66011.html

DISC-1
1.あなたの空を翔びたい
2.桃色吐息
3.蜃気楼
4.五番街のマリーへ
5.OLD TIME JAZZ
6.Stardust
7.Unforgettable
8.遥かな人へ
9.はがゆい唇
10.雲母の波

DISC-2
1.旅の宿
2.時の過ぎゆくままに
3.GLORIA
4.真っ白いシャツ~Lonely girl Lonely boy
5.Heart Breaker -波紋の渦-
6.無伴奏
7.フレンズ
8.グランパ
9.ごめんね…
10.for you...
11.別れの朝
12.ジョニィへの伝言
13.ランナー

■ツアー情報
『Mariko Takahashi concert FINAL 2024-2025 EPILOGUE with Henry Band』
2024年
10月12日(土) 東京・立川STAGE GARDEN
10月18日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
10月19日(土) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
10月26日(土) 愛知・名古屋センチュリーホール
10月27日(日) 愛知・名古屋センチュリーホール
11月08日(金) 広島・広島文化学園HBGホール
11月09日(土) 広島・広島文化学園HBGホール
11月17日(日) 大阪・フェスティバルホール
11月18日(月) 大阪・フェスティバルホール

2025年
2月27日(木) 神奈川・神奈川県民ホール
2月28日(金) 神奈川・神奈川県民ホール
3月13日(木) 東京エレクトロンホール宮城
3月14日(金) 東京エレクトロンホール宮城
3月20日(木) 大阪・フェスティバルホール
3月21日(金) 大阪・フェスティバルホール
4月05日(土) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
4月06日(日) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
4月10日(木) 東京・東京国際フォーラムホールA
4月11日(金) 東京・東京国際フォーラムホールA
5月08日(木) 東京・東京国際フォーラムホールA
5月09日(金) 東京・東京国際フォーラムホールA

髙橋真梨子 オフィシャルアーティストサイト

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