連載『lit!』第121回:NiziU、IVE、LE SSERAFIM……キャリアを重ねて新しい魅力を見せるガールズグループ

 9月下旬まで厳しい残暑が続いていましたが、急に気温が下がり秋らしい季節になってきました。涼しい風に心地よさを感じつつも、夏の終わりに寂しさを感じる人もいるかもしれません。

 今回の連載『lit!』では、季節の振り返りとして今年の夏にカムバックした女性グループ(ヨジャドル)の楽曲をご紹介します。今季リリースされた楽曲は、夏らしい爽やかさや盛り上がりがあるだけでなく、アーティストの新たな一面が窺えるものが多かったように思います。コンセプトの変化や意外なメンバーのラップ披露など、それぞれのカムバックで見せた新しい魅力をご紹介します。

NiziU「RISE UP」

NiziU「RISE UP」

 7月7日に日本語版に加えて英語版と韓国版を同時に先行配信したNiziUの1st EPのリード曲「RISE UP」。日本デビューから3年半以上が経ち、韓国デビュー1周年も近いNiziU。これまでの活動ではポップで可愛らしい楽曲が多く、事務所の先輩グループ TWICEの初期コンセプトと近いともいわれています。「RISE UP」は、NiziU初のガールクラッシュ曲といっても過言ではない、これまでのコンセプトとは打って変わった力強い楽曲です。

 「RISE UP」は、TVアニメ『神之塔 -Tower of God-』2期(TOKYO MXほか)のオープニングテーマであり、同アルバムの収録曲「BELIEVE」もエンディングテーマとして使用されています。アニメの世界観を取り入れたこの2曲は、ダークでクールな雰囲気が魅力で、メンバーの大人っぽさや磨き上げられたダンス、歌唱スキルが存分に発揮されています。

 デビュー後も初々しいフレッシュな魅力を持つNiziUですが、来年2月には最年少・マンネのNINAが20歳を迎え、メンバー全員が20代のグループになります。グローバルで活躍するアーティストを目指して、幅広いコンセプトに挑むNiziU。“大人な魅力”が溢れるNiziUの今後の活躍への期待も高まる一方です。

IVE「CRUSH」

IVE「CRUSH」

 8月28日にリリースされたIVEの日本2nd EP『ALIVE』のタイトル曲「CRUSH」は、夏にぴったり合う、ポップで爽やかなサマーチューンです。これまでのIVEのコンセプトは、エレガントで壮大な雰囲気が魅力でした。その中でも昨年リリースされた「Baddie」はサビのラップが印象的でクールな雰囲気でしたが、今回の「CRUSH」は明るくポップな華やかさが感じられる楽曲です。

 この曲のボーカルの最高音はHigh-Fであり高い音程でのメロディラインが続きますが、どのメンバーも裏声と地声を巧みに切り替え、爽やかで柔らかい歌声を披露しています。デビューから約3年で培ったスキルを堂々と出し切ったカムバックともいえるでしょう。

 MVのダンスシーンにおける、水色を基調としたセットに真っ白な衣装を身に纏ったメンバーの姿は清涼感でいっぱい。メンバー全員がビジュアルメンバーと呼ばれるほどの美貌を持つIVE。それぞれのメンバーの可愛らしさや華を全面に感じられるMVはまさに“眼福”です。

LE SSERAFIM「CRAZY」

LE SSERAFIM (르세라핌) 'CRAZY' OFFICIAL MV

 MVの冒頭から癖の強い動きがインパクトに残る「CRAZY」は、8月30日にリリースされました。彩度が強く派手な髪色と衣装を身に纏ったメンバーの力強いビジュアルが印象的。EDM系ハウスと呼ばれる今回のジャンルは、クラブハウスを彷彿とさせるようなノリの良さを感じます。〈Da da da da da da…〉とリズムに合わせて歌うサビパートは、一度聴いたら口ずさんでしまうほどの中毒性の高さです。

 普段はラップパートを担当することが少ないKIM CHAEWON、HONG EUNCHAEのクールな低音ラップを聴けるのも嬉しいポイント。ヴォーギングダンスと呼ばれる腕と足を大きく動かすダンスもインパクトが強く、MVから振付まであらゆる箇所に“攻め”の姿勢を感じられる楽曲に。CRAZYという名前にぴったりな挑戦的なカムバックであり、ファンからも「まさにCRAZYだ」と賞賛の声が集まっています。

 「CRAZY」は、米ビルボードのメインシングルチャート「Hot 100」で76位、メインアルバムチャート「Billboard 200」(ともに2024年9月14日付)において7位にランクインしました。K-POPで今年、米ビルボード「Hot 100」にランクインしたのはLE SSERAFIMとILLITだけです。その中でも「EASY」、「CRAZY」と、複数曲ランクインしたのは唯一LE SSERAFIMだけ。グローバル基準での活躍を広げていくLE SSERAFIMの今後のバズにも目が離せません。

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