日向坂46 四期生、武道館で見せた飛躍的な成長 グループを率いる11人の頼もしさが光るステージに

 美しいダンスが特徴の「川は流れる」では、平岡海月が中心となって一糸乱れぬパフォーマンスを展開していく。初日の27日公演では、この曲で手の動きや高さなどが11人バラバラだったことが気になっていたが、最終公演では綺麗に揃っており非常に見応えがあった。平岡はこの曲でのセンター以外にも、ユニット曲「You're in my way」でもその存在感を遺憾なく発揮。「誰よりも高く跳べ!2020」ではキャプテン・佐々木久美にも匹敵する熱量の高いパフォーマンスを見せてくれた。「ガラス窓が汚れてる」でセンターを務めた宮地すみれは、楽曲導入部で華麗なソロダンスを披露したほか、曲中では普段のキュートさとは真逆のクールな表情で曲の世界観を表現。個人的にもっとも成長したと感じたのが彼女であり、曲ごとの表情作りやダンスのしなやかさやダイナミックさという緩急のつけ方など、さまざまな場面で惹きつけられた。12thシングル『絶対的第六感』収録のひなた坂46楽曲「君を覚えてない」でセンターを務めることもあり、こうした経験が彼女に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。10月に行われる『12th Single ひなた坂46 LIVE』を経て、ここからさらに進化していく彼女に期待したい。

 「キツネ」では小坂菜緒が纏う空気感とはまた違った、ひたすら陽のオーラで場の空気を掌握する山下葉留花のセンターぶりも、ほかの四期生とは異なる魅力が伝わる。11thシングル収録の四期生楽曲「雨が降ったって」では、普段のクールな雰囲気とは異なり弾けるような笑顔が印象に残った小西は、先の「月と星が踊るMidnight」とは真逆の表情で自身をアピール。「雨が降ったって」という曲を通じて、彼女は表現の幅が大きく広がったように感じ、このほかの曲でもさまざまな表情で我々を魅了させていた。「シーラカンス」や「君はハニーデュー」で中心に立つ正源司は、もはやグループを代表する顔と言えるような存在感を放っており、特に今回のライブにおいてもっとも強く「グループを背負っていくんだ」という気概が伝わってきたメンバーでもあった。「君はハニーデュー」活動期間で得た経験は、こうして今後もいろんな形で発揮させれていくことだろう。それは、最新曲「絶対的第六感」で正源司とダブルセンターを務める藤嶌果歩も同様で、ライブのクライマックスに欠かせない「見たことない魔物」での存在感(センターとして仲間を牽引していこうとする力強さと、あふれんばかりの可愛らしさ)からも十分に伝わった。数カ月後に訪れるであろう彼女のさらなる進化も楽しみでならない。

 そして、本編ラストでは12thシングル収録の最新四期生楽曲「夕陽Dance」をライブ初披露。この曲ではメンバー最年少の渡辺が初めてセンターを務めるのだが、大人びた佇まいと時折浮かべる年相応の幼さが相まった、今のタイミングだからこその絶妙な雰囲気がこの曲と見事にマッチしていた。この曲を今後も披露し続けることで、さまざまな魅力がさらに引き出されることになるのではないだろうか。

 各公演のアンコールラストに披露されたのが、四期生にとってのデビュー曲である「ブルーベリー&ラズベリー」。先に「青春の馬」でその存在感を発揮した清水を先頭に、2年前にこの曲を初披露した頃とは異なる堂々とした表情を見せながら、現時点での「ブルーベリー&ラズベリー」の完成形を届けてくれた。序盤に日向坂46になるためのハードルだった「青春の馬」を配置し、ラストに日向坂46四期生としてのはじまりの歌である「ブルーベリー&ラズベリー」を置くというセットリストも、非常に考えられたものがあると感じたのは、きっと筆者だけではなかったはずだ。

 四期生を代表してコメントする機会の多い平岡も、こういう機会を重ねるごとにその言葉に強さや重さが感じられるようになった。最終日のダブルアンコール後、「日向坂46も四期生もまだまだこんなもんじゃありません。これからももっともっと、素晴らしいグループになっていけるよう精一杯頑張っていきます!」という彼女の宣言はもはや四期生云々ではなく、グループを引っ張る者のひとりとしての、説得力の強い言葉だと感じた。そういう意味でも、平岡をはじめとする11人は確実に今の日向坂46に欠かせない存在になったのだ。

 もうグループの末っ子だなんて呼ばせない。そんな自信と誇りがしっかり伝わった『日向坂46 四期生ライブ』は、もしかしたら将来「あれもグループのターニングポイントだったよね」と言われるようになるのだろうか。それぞれ異なる歩幅ながらも、着実にステップアップを続けている四期生11人の未来がさらに明るいものであることを願う。

※1:https://realsound.jp/2023/12/post-1525650.html

ひなた坂46、日の当たる場所へ向かうスタートライン 高本彩花卒業を見送った初単独ライブ

11thシングル『君はハニーデュー』から初の選抜制度が導入されたことで、新たに“ひなた坂46(ひらがなひなた)”が誕生。本稿では…

日向坂46 加藤史帆ら4人同時卒業でグループの今後はどうなる? 残されたメンバーの課題は

日向坂46の加藤史帆、東村芽依、丹生明里、濱岸ひよりがグループからの卒業を発表した。おひさま(日向坂46ファンの呼称)からはグル…

関連記事