リアルサウンド連載「From Editors」第67回:渋谷の新美術館 UESHIMA MUSEUM、暑い夏にこそアートを鑑賞
「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。
暑い夏にこそはかどるアート鑑賞
フジロックも始まり、いよいよ本格的な夏フェスシーズンが到来しました。日差しを浴びながら開放的な気分を味わうのはこの季節ならではの醍醐味ですが、身近にある過ごしやすい場所で、ゆっくりとした時間を過ごす……というのも酷暑においては有効な選択肢の一つ。旅をするならなるべく涼しい場所、ちょっとした気分転換にも水族館や美術館をセレクトしたくなります。そんな時期にふらりと訪れたのが、渋谷にできた新しい美術館、UESHIMA MUSEUMです。
今年の6月、渋谷教育学園の敷地内にオープンしたこの美術館。すごいのは、同校の卒業生である実業家・投資家の植島幹九郎氏が集めてきた現代美術コレクションが一般公開されているところ。同氏が設立した「UESHIMA COLLECTION」では、650点を超える作品を収集しているそう(2年あまりでこの数を集めたというのは驚きです……!)。「アートは見られてこそ価値がある」という考えのもと、コレクションするだけではなく、多くの人に作品を“共有”する場としてUESHIMA MUSEUMが作られたのだといいます。
現在は「オープニング展」が開催中。建物の中はB1〜5Fまでの6フロアが一般公開されており、それぞれの階ごとに設けられたテーマにふさわしい作品がコレクションの中から選出され、センスよく展示されています。数分前までの渋谷の喧騒が嘘のように静かな空間が広がっていて、休日でも混み合わず、ゆっくりと鑑賞することができました。
特に見応えがあったのは2F「同時代の表現、個の表現世界」。名和晃平、村上隆×ヴァージル・アブロー、チームラボといったポップカルチャーの分野でもおなじみのアーティストの作品から、無数の糸を張り巡らせたインスタレーションで知られる塩田千春、ビジュアルアーティスト&コンポーザーの池田亮司をはじめ、国内外問わず現代アートの企画展などでも目にするアーティストによる作品がずらり。オラファー・エリアソンのすべての可視光を黄色に塗り替えるインスタレーションなど、インパクト大の展示も見ものです。B1には日本でも人気の高いゲルハルト・リヒターの絵画の展示もありました。さりげなく各階の踊り場に飾られている杉本博司による写真も見逃せない逸品ばかりです。
どの作品にも一つひとつに丁寧なキャプションが添えられていて、それらを読むのもまた楽しく、あっという間に時間が経ってしまいました。事前予約をした上で、少し後ろのスケジュールに余裕をもって来場するのをおすすめします。
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