yamada.、満員の初ワンマンで見せた“歌い手”から“アーティスト”への進化 今後の顔出し活動も発表

 今年4月に初のオリジナル曲「逃避行」でデビューを果たしたばかりの新人女性シンガー・yamada.が、7月20日に自身初となるワンマンライブ『yamada. 1stワンマンライブ "BLUE MOON"』を東京・LOFT HEAVENにて開催した。会場には熱心なアーリーアダプターたちが多数駆けつけ、立錐の余地もない満員の盛況。極めてアットホームなムードの中、カバー曲を中心に全14曲がパフォーマンスされた。

 yamada.は2021年よりインターネット上でいわゆる“歌い手”として活動を開始したシンガー。自身のYouTubeチャンネルでは主にボーカロイド楽曲のカバー動画を投稿し、着実に支持層を拡大してきた。そうした中で2023年9月よりSTUDIO KyoUに所属し、アーティスト活動を本格化。これまでに2曲のオリジナル楽曲を発表しており、ボカロPのフィーチャリングボーカリストとしても楽曲をリリースしているほか、昨年11月にはSTUDIO KyoU所属の來-Ray-、二ノ宮はぐとともにスリーマンライブ『STUDIO KyoU 1st Live 境界〜KyoUkai〜』にも出演するなど、順調に活動の幅を広げている。そんな彼女がこの日、自分だけを観に来たファンのみで埋め尽くされた会場のステージに初めて立つこととなった。

 シルバーのノースリーブにシフォンスカートを合わせた装いで現れたyamada.の姿に対し、客席からは盛大な拍手とともに「かわいいー!」の声が飛び交う。そんな歓迎ムードに笑みを浮かべながらも、ややこわばった表情でスタンドマイクに向かったyamada.は、おもむろに〈大人になってまで胸を焦がして〉と囁くような歌声を発し始めた。そこにムーディーなワルツを奏でるピアノが重なり、歌は次第に熱を帯びていく。確かな力量を感じさせるピッチとリズム、そして豊かな声量が1コーラス目を歌い終える頃にピークを迎えると、そこで一気にドラム、ベース、ギターがスウィングを開始。yamada.は満面の笑みで「皆さんこんにちはー! 盛りあがっていきましょう!」と高らかに告げ、「人生は夢だらけ」(椎名林檎)でライブの幕を切って落とした。

 その勢いのままに「花になって」(緑黄色社会)が畳みかけられると、フロアではコール&レスポンスが自然発生。続く1stシングル曲「逃避行」からは、オリジナル曲および自身がフィーチャリングボーカルとして参加した楽曲群のゾーンへ。ジャジーなポップスからピアノロック、8ビートギターポップ、ニュージャックスウィング系ソウルポップなど、さまざまなスタイルの楽曲を自在に歌いこなすボーカルで存分に聴衆を魅了。また、それらを難なく演奏してのけるバンドメンバーの卓越した技量にも大いに注目が集まった。それぞれの曲間では、初ワンマンの緊張からか若干たどたどしい口ぶりながらも彼女なりの言葉で1曲1曲の選曲理由やそこに込めた思いを丁寧に伝えながらステージを進行させていく。その真摯な姿勢にオーディエンスはたびたび拍手や声援を送り、会場を温かな空気感で充満させた。

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