クボタカイ、切なさも受け入れる新曲「アルコール」 アルバムでの進化を経て得た自由

理屈や感覚だけでは説得力がない。感覚の比重が重いほうが素敵だなと思う

――でも、一方で「アルコール」みたいなコードの知識とは関係ないところからふと浮かんでくるメロディもありますし。

クボタ:ああ、そうです。だからこそ、僕のなかには理想の完成形があって、そこに向かって感覚で作るんですけど、その奥で理論とか理屈をパン! と出せるようになりたいなって思っていて。もともとラップをやっていた頃は感覚のみだったんです。だから、いいか悪いかはわからなくても「俺はこれが好きだし」みたいな。ただ、ギターを持ち始めてからは、「なんでこの曲が気持ちいいのか」ということをちゃんと説明できるようにしたいなと思っていて。でも、理論ばっかりになってもおもしろくないと思うし、感覚だけでも説得力がないので。僕としては、感覚の比重が重いほうが素敵だなと思うんです。それをちゃんと説明できたり、よりよく組み立てられたりできるように、周りのバンドメンバーたちからも影響を受けながらやっていきたいなと思います。

――音楽以外のアウトプットについてはどうですか? 今回のアートワークのイラストはクボタさん自身が手がけていますが。すごく曲のムードにマッチしていますよね。

クボタ:嬉しいです。これはiPadで描いたんですけど、楽しかったです。最近、建物を描くのすごく好きで。なんか無心になれるんですよ。たとえば、人を描く時って、まずメイクを覚えたりしなきゃいけないんです。「チークって意外と外側なんだな」とか(笑)。でも、建物はいいですよね。描いていてすごくおもしろい。このジャケットで言うと、僕は夜の街がすごく好きなので、お酒の缶のなかに夜の街があって、缶の外にもすごく曖昧になった街があって……っていう。「アルコール」っていう文字はネオンサインを意識して。

――今年は個展(3月に開催された初個展『恋人の日記』)もやりましたけど、そっちの方面でも活躍していきたい?

クボタ:本当に素晴らしい方がたくさんいるので、僕はイラストレーターなんて名乗れないなと思いつつ描いているんですけど。でも、最近は絵を描くことがすごく増えて、カバー動画では自分が描いた絵と一緒に上げたらいいんじゃないかなとか思っていて。僕、カバー動画はもう何回も撮るんですよ。「もう50テイク目じゃん!」みたいな(笑)。それをちゃんとカット割りして文字打ったり編集もするんだったら、曲によっては絵だけでいいんじゃないかって。意外とグッズ以外で音楽と絵を結びつける作業ってしてこなかったなとも思うので、これから、ひとつの武器と言ったらおこがましいですけど、絵を描く自分と歌の自分を交わらせていけたらいいなと思っています。

■リリース情報

『アルコール』

Digital Single『アルコール』
配信中

配信URL:https://kubotakai.lnk.to/Alcohol

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