WANDS、“令和のロックバンド”として過去と未来を繋ぐ 第5期初ホールツアーで見せた現在進行形の姿
そこから、タイトルコールで歓声が上がった「もっと強く抱きしめたなら[WANDS 第5期 ver.]」、「時の扉[WANDS 第5期 ver.]」、「愛を語るより口づけをかわそう[WANDS 第5期 ver.]」と90年代のヒットシングルが立て続けに贈られた。第5期バージョンとして歌いこなしつつ、マイクを客席に向けて、オーディエンスの歌声にも耳を傾ける上原。大合唱するオーディエンスとともに、色褪せないメロディに酔い痴れる。「愛を語るより口づけをかわそう」のアウトロを彩る柴崎のギターソロが全員の心に寄り添い、優しく会場を包み込んだ。
上原が「大切な人に想いを伝えたいという気持ちを込めて書いた曲です」と語ったバラード「愛を叫びたい」に続いて、最新シングル「大胆」へ。スリリングなサウンドが会場を駆け巡り、キャッチーなメロディが誰しもの体を踊らせる。第5期WANDSの新たな側面を示しつつ、早くもキラーチューンとしての力が漲っていた。今後のライブを支える1曲になるに違いない。
そして、「これからもみなさんの人生が素晴らしいものになりますように」と上原が言葉を添え、「WONDER STORY」が本編ラストを締め括った。ステージの端まで歩き、観客ひとりひとりに語りかけるように丁寧に歌を届けた上原は、間奏で超ロングトーンのアカペラを披露して圧倒。ミラーボールの光が輝く中、贅沢な余韻を残して4人はステージを下りた。
上原と柴崎がお揃いのグッズTシャツを着て登場し、「MILLION MILES AWAY[WANDS 第5期 ver.]」で幕を開けたアンコール。サポートメンバーふたりも交えてMCを取り、ツアーを振り返っていく。ファンクラブ限定公演を含めて4公演で終わることに対し「もっと(ライブを)やりたいね」と語り合う姿に、たしかな手応えが滲んでいた。
柴崎は「(第5期が4年半経ち)90年代にWANDSをやっていた期間を越えそう」と感慨深げな様子を見せる。一方の上原は、「(始動当初は)不安もあった」と赤裸々に告げ、「続けてこられたのはみなさんのおかげ」と何度も繰り返し感謝を口にした。暖かな拍手を受けて「引き続き頑張っていきたいので、よろしくお願いいたします!」と力強く宣言し、過去と未来への想いを込めたバラード「カナリア鳴いた頃に」を優しく歌いあげた。
フィナーレを飾る1曲は、もちろん「世界が終るまでは…[WANDS 第5期 ver.]」。最初はこの曲を第5期として演奏することにプレッシャーを感じることもあったのだろう。ひと言ひと言を大切に歌う上原も、ギターで支える柴崎も、感極まった表情で大合唱に揺れる会場を見つめていた。時代を越えて愛され続ける名曲が生む多幸感と、楽曲で繋がったたくさんの愛情に満たされて、初のホールツアーは大団円を迎えた。
過去を懐かしむのではなく、否定するわけでもなく、第5期WANDSは地に足をつけて令和のロックバンドとして突き進む。その意志を確かなものとして、まだまだ進化していく彼らに注目だ。
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