リアルサウンド連載「From Editors」第65回:「第5中隊はいいぞ」と言われ、まさに今観始めた『愛の不時着』について

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

愛すべきポンコツ集団の存在

 タイトルを見て「これいつの記事? 2020年?」と思った方もいらっしゃると思いますが、正真正銘2024年の記事で間違いありません。なんと、今このタイミングで『愛の不時着』を絶賛連日鑑賞中の新入編集部員田中です。恐らく、このタイミングで『愛の不時着』を前情報を一切持たない新鮮な状態で観ることができている珍しい人間だと思います。

 そもそも普段からあまりドラマを観ることがなく、ましてや海外ドラマとなるといよいよ触れる機会はこれまでほぼありませんでした。そんな中、友人に突然勧められた『愛の不時着』。「在宅だった頃に夜通し観て、寝不足のまま仕事してた」という友人の言葉に、ああそっかコロナ禍に流行ってたんだっけ、と思いつつ。そして極めつけとばかりに「第5中隊がね、いいんだよ!」と言われたものの何のことかわからん、と思いながら、ひとまず一話だけ、と開いたNetflix。

 「えっ、こんなにコメディチックなの?」というのが第一印象でした。そして続いた感想が、「このポンコツ集団、なに!?」です。事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢ユン・セリ、彼女を助けた軍人リ・ジョンヒョク。なんやかんやあり、ユン・セリがポンコツ集団ことジョンヒョクが率いる部隊の部下たちに追いかけられるシーン、私の頭の中ではドリフのオチBGM「盆回り」が流れていました。ほぼコント。後にこのポンコツ集団が「第5中隊」だと認識し、友人が言っていたのはこのことだったのか! と膝を打つまでに時間はかかりませんでした。現在10話まで観たところですが、いまや私の中で愛すべき存在、ピョ・チス、キム・ジュモク、クム・ウンドン、パク・グァンボム、大好きな面々です。

 そして肝心の内容ですが、正直驚くほど先の展開が読める。それなのに展開以上に起こる出来事がすべてが面白い。衝撃でした。毎日のように少しずつ観ておりやや寝不足ですが、正直途中でストップできるような内容じゃない。勘弁してほしい、面白すぎます。

 そういえば、1話を観ている最中にちょっぴり面白いことがありました。私は吹き替え版で観ているのですが、1話で登場したチョ・チョルガン少佐、あまりにも聞き覚えのある声。諏訪部順一さんだ。アニメオタクでもあるので、思わず「お!」と思ったと同時に、「こいつ! 絶対にキーパーソンだ!」「でもめちゃくちゃ胡散臭いな」「というか悪役では?」と色んな説が瞬間的に頭をよぎりました。諏訪部順一さんが演じる役が一般兵なわけがない。とはいえ、ここでどんな人物か調べるのは違うだろうと思いつつ、どうしても気になってしまったので、一旦一時停止してXで「諏訪部 愛の不時着」と検索したところ……ご本人が「自分が担当したのは彼を陥れようと狙う敵役でございます。」と。ちゃんと敵役!ということで、少佐(CV:諏訪部順一)の動向がますます楽しみになりながら1話を視聴していました。先述しましたが、ただでさえあまり映像作品を観ない上に、実写吹き替えの作品を観る機会はさらにないので、「こんなこともあるのか〜」という新たな発見でした。「今更気づくこと?」と思う皆さんの気持ちもわかります。

 

 現在10話を観終えたところです。大きな転換点といいますか……あまりにもでっかい出来事が連発して放心状態ですが、まだまだ終わらない&まだまだ楽しめちゃうのかと思うとわくわくが止まりません。そして10話で南に乗り込む第5中隊とチョン・マンボクのシーンがあったということは、このあとも第5中隊の愉快なシーンが観れるということ! 嬉しい限りです。彼らのポジションが生み出す空気感、会話のテンポ感が大好きですし、ストーリーで思わず息が詰まりそうになる中でのオアシスだと思っています。友人が最初に言った「第5中隊はいいぞ」という言葉のど真ん中を歩き続けているわけです、してやられました。

 『愛の不時着』は“第4次韓ドラブーム”を巻き起こした、と言われている作品とのことですが、もしかしたらこの作品のおかげで私の中での“第1次韓ドラブーム”が始まるかもしれません。いつどんなタイミングで、好きな物や作品、推しに出会うか、本当にわかりませんね。今更、という言い方は変かもしれませんし、タイミングなんて関係ないとはいいますが、まさか自分が韓流ドラマにハマる(かもしれない)日がくるとは思っていなかったのでびっくりしています。現在気になるのはク・スンジュンとソ・ダンの行く末。そして一番言いたいことは「第5中隊のスピンオフ観たい!!!!」です、これに尽きます。

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