JO1、ME:Iらグループ系の増加は必然 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』“アイドル出演”の歴史を振り返る

 同じように、初出演から一つずつ状況を変えてきたアイドルグループは他にもいる。そのうちの一組が、櫻坂46だ。彼女たちが初めてJフェスに出演したのが『COUNTDOWN JAPAN 16/17』(当時は欅坂46)。その時は、2番目に大きいステージであるGALAXY STAGEに出演。そして、その翌年の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』では、GRASS STAGEのトップバッターを務めた。先ほどの引用したインタビューの中で、山崎氏は、インタビュアーから各アーティストへ出演をオファーをする際の「ロッキング・オンなりの基準」について問われた際、このように答えている。

山崎:まず「音楽として優れていること」。当たり前のように聞こえるかもしれないですが、これはすごく重要な本質ですし、最も重視していることです。それともうひとつの本質は、「その人自身であること」。それを感じさせるものであるかどうかは、とても重要です。

(中略)

あるいは欅坂46。彼女たちは、自分で曲は書いていないですけど、本人たちそのものであることは、ステージを観れば一目瞭然です。そういうことを感じさせてくれるアーティストであるかどうかは、ひとつの基準ですね。そしてそれは、僕にとってのロックの基準と言ってもいいと思います。

 櫻坂46のほか、2017年に初出演したももいろクローバーZ、2018年に初出演したモーニング娘。なども、少なからず最初の頃はアウェイの空気を感じ取っていたかもしれない。しかし、その後彼女たちは幾度となくJフェスのメインステージのスロットを担い続け、今では同フェスの一翼を担う存在になっている。(ちなみに、2021年に解散したあゆみくりかまきも2008年の初出演(当時はくりかまき)から2019年(開催中止がなければ2020年)まで連続出演していることもここに記しておきたい)

 一方でボーイズグループ/男性アイドルはJフェスにおいてまだ新しい領域であり、2022年の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の4日目にBE:FIRST、5日目にSUPER EIGHT(当時は関ジャニ∞/5日目は台風により中止となったため、彼らが初めて同フェスのステージに立ったのは翌2023年)がラインナップされたことは、同フェスの大きなターニングポイントの一つだった。2023年にはDa-iCE、2024年8月(千葉市蘇我スポーツ公園)にはINI(8月3日)やENHYPEN(8月10日)、Number_i(8月11日)、&TEAM(8月12日)らが初出演。そして、9月開催の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』には現時点でBE:FIRST(9月15日)とJO1(9月21日)の出演が決まっている。着実に男性グループの枠が増えているように見受けられるが、これは2013年に女性アイドルを多数ラインナップした状況に近いとも言えるだろう。

 今回、歴代のラインナップや過去のインタビューをはじめとした客観的事実をもとに、Jフェスとアイドルの結び付きについて整理してきた。最後に少しだけ、筆者の個人的な所感を綴りたい。フェスとは、思いもよらぬ新しいアーティストとの出会いの機会が溢れている空間であり、筆者は10年以上にわたってJフェスに毎回足を運び続ける中で、はじめは遠くからアイドルのアクトを観ていた観客が、次第にそのパフォーマンスに惹かれ、熱狂していく様子を数え切れないほど観てきた。また、そうした一人ひとりの驚きや興奮、感動の輪がどんどん大きくなっていき、はじめはアウェイだった空気が一変する場に幾度となく立ち会ってきた。その結果として、いつしかフェスにとってかけがえのない存在になっていったアイドルは多いし、また、これからも新しくそうした存在になっていくアーティストが次々と現れていくと思う。それは、アイドルに限らず、ロックバンドやシンガーソングライター、ヒップホップのアーティスト、また、ダンス&ボーカルグループをはじめとした他のアーティストにも言えることであり、きっと今年も、フェスの現場だからこそのドラマがたくさん生まれるはず。そして、その積み重ねによって、これからも『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』をはじめとしたJフェスは、次の5年、10年を見据えて絶えず更新され続けていくのだと思う。

 今回はJフェスにフォーカスを当てたが、言うまでもなく、多様なアーティストが一堂に会するフェスやイベントは全国各地にあり、今年もいよいよ本格的に夏フェスのシーズンに突入する。これからフェスに参加する方は、新たなアーティストとの出会いをはじめとしたフェスだからこその経験を、ぜひ一つでも多く楽しんでほしい。

※1 https://rollingstonejapan.com/articles/detail/31267/1/1/1

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