SUKEROQUE、その場を最大限に楽しむ瞬発力 多彩なパフォーマンスで魅せた1stワンマンレポ

SUKEROQUE、1stワンマンレポ

 シンガーソングライター SHOHEIのソロプロジェクト・SUKEROQUEが、6月8日、渋谷 TOKIO TOKYOにて1stワンマンライブ『ROQUEFORT DANCE HALL “ロックフォール ダンスホール”』を開催した。ソールドアウトした本公演でSHOHEIは、歌やギター演奏のみならず、2人の女性ダンサーと一緒にダンスも披露するなど、まさに八面六臂の大活躍で魅せた。

 SUKEROQUEというアーティストの音楽性は、マニアックさとキャッチーさが同居した極上のポップス。70~80年代のブラックミュージックや同年代の日本のニューミュージック/シティポップをルーツに持ち、バックサウンドや楽曲構成は洋楽然としながらも、そこに90年代以降のJ-POPやJ-ROCKのメロディ、情景描写を軸に置いた日本語の歌詞が乗る。このように、多彩なファクター、ともすれば相反する要素を一緒に鳴らしたいーーそこを目標にしてSUKEROQUEをいうプロジェクトを始めたことは、本人も以前インタビューで語っていたことだが、そんな彼の“理想の音楽像”を体感できたのが、この日のライブであった。

 バンドとのセッションをSEに幕を上げた本ライブ。そのファンキーなグルーヴを繋いで1曲目に放ったのは、ゴージャスなアレンジとSHOHEIの低音ラップで始まるファンクロックナンバー「COOL CHINESE」だった。歌詞の〈君を迎えに〉に合わせて客席を指さす。間奏からエンディングにかけ、両手を挙げた本人に、観客も大きく手を挙げレスポンスし、会場を一気にダンスフロアに変えた。SHOHEIがイントロで「バカになって帰ってくれー」と叫んだ「focus SBY」では〈渋谷の駅前の〉という歌詞に合わせ「まさに今渋谷、ここだ!」というように、客席や足元を指さすパフォーマンスを見せた。挨拶代わりのMCに続いて、女性ダンサー2人が登場し「レモネード」を歌唱。サビでSHOHEIがダンサーらと同じ振り付けでダンスをすると、客席から「ヒュー!」という歓声が飛んだ。

SUKEROQUE

 ファンキーで骨太ながらも、タイトな展開でぐいぐい進んでいく疾走感あるグルーヴが会場を飲み込んでいく。観客はそれぞれが身体を揺らしながら歌を口ずさんでいる。一人ひとりの口元に目を凝らすと、SHOHEIと一緒に歌っている人もいれば、「ラララ~」とメロディを追っている人、コーラスパートを歌う人など、その楽しみ方はまさに十人十色であった。

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 筆者もその十人十色の中の1人であったが、身体でリズムを刻み、メロディを追っていて気づいたことがある。洋楽然としたサウンド中にJ-POPのメロディを……というSUKEROQUEが目指す音楽性は、例えば前述した2つの要素を混ぜ合わせることではなく、サウンドのレイヤーを重ねていき、ひとつの音像を作ることなのだ。バンドサウンドに合わせ身体が刻むリズム、その上をメロディが滑らかに進行する。途中で転調するなど、様々に色を変えたりしながらも、別のファクターとして進行するバックサウンドとつかず離れず、ぴったりと重なって1つの曲になっているのだ。そしていつでもメロディが、そのレイヤーの最前にいる。ゆえに、SUKEROQUEの楽曲は、洋楽然としていてマニアックさ全開なのに、メロディが決して埋もれず、J-POPとしても抜群のキャッチーさを備えているのだ。

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 ステージバックに“蜘蛛の糸”の映像を投射して「蜘蛛の糸」を披露。シンプルなストーリー性もあり、曲の持つ繊細さとカオティックなサウンドを可視化していたように思う。

 再びMC。SHOHEIは、コロナ禍で「もしこのまま(コロナ禍が)終わらなかったら音楽を続けていく意味はあるのか」とまで考えていたと吐露し「そんな時にラジオ(番組)の明るさに救われた」と話した後、「(自分の音楽も)ふとした時に誰かを元気づけられる存在になりたい。そう思ったから(音楽を)続けられた」と語った。この言葉を受けて歌唱されたのが「トランジスタレディオ」。観客は静まり返りSHOHEIの歌に聴き入っていた。

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 中盤ではSUKEROQUEの幅広い音楽性を見せるセットリストを展開。ロマンチックなバラード「最終回」、ファンキーなベースとギターのシンコペーション、ドラマティックなキーボードが入り乱れ、クールなグルーヴを作り出す「Odaiba」で、憂いあるサビメロをシルキーな歌声で聴かせた。エレクトロニカの淡々としたリズムに、浮遊するようなメロディが乗った「蟲籠」のサビでは、地声を使ってエモーショナルに高音パート歌を歌い上げる。曲ごとにガラリと変わる曲調、ボーカリゼーションの違いでコントラストを見せ、SUKEROQUEの音楽性の幅をしっかり印象づけた。

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 後半へ向け、SHOHEIの歌声がどんどん迫力を増していく。ライブ中に歌うことで喉が温まっていったのもあると思うが、後半まで地声での高音を封印気味にしていたように思った。序盤ではファルセットを使いながら、軽く置くように発声していたギリギリの高音が、後半では地声でズバーンと響くハイトーンになっていたのだ。

 オレンジのライトがばっちりはまり、楽曲をよりエモーショナルに彩った「中央線とビター」では、バンドメンバーがコーラスで切ないグッドメロディを後押しする。本編の最後は本人もインタビューで「ライブで歌ってて一番楽しい」(※1)と語っていた「Blood on the dance floor」。SHOHEIが「Yeah!!」と観客にマイクを向けると、観客もすかさず「Yeah!!」とレスポンス。そのまま何度かコールアンドレスポンスが繰り広げられた。

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