Twitch、DJプログラムはどのように作用する? 音楽権利・収益問題の新たな一手となるか

 とはいえ、難解な音楽ライセンスの問題をクリアし、音楽を生み出すアーティストへの収益配分の仕組みや配信者が安全に活動を続けることができる土壌を作り出したことは、コミュニティ拡大への大きな一歩と言えるだろう。このプログラムにより、どのように音楽業界/シーンの状況が変わっていくのだろうか。

「著作権におけるリスクを考慮し、DJ配信することを思いとどまっていた人や、自分たちのパーティを配信することを敬遠していたクラブにとって、配信参加のハードルが下がる可能性が生まれたことは良い傾向だと思います。コロナ禍以降、ネット配信へと活路を見出した新たなDJ文化を、上手くビジネス的な面と組み合わせながら続けていけるような状態が生まれればいいなと思います。ただ、DJ文化は音楽ジャンルや発信場所、メディアの違いによって何を理想とするかの価値観が大きく違っていて、一枚岩ではない文化です。そうした価値観は、それぞれのコミュニティのアイデンティティや歴史とも密接に関わっているということが非常に重要なポイントです。単純にビジネス面の枠組みを作ってくれたことを評価するだけではなく、プラットフォームがそういった多様なDJ文化をどのようにサポートしていくか。そして法律やビジネスだけではない役割を、どこまでプラットフォームが果たせるかが今後重要になってくるのではないかと感じていますその中でも、Twitchが重視しているのは他のジャンルの配信と同様、“配信するDJを中心としたコミュニティが生まれること”であるはずなので、DJ配信を鑑賞し、チャット欄などを通じてその場を共有する楽しさが、独自の新しいコミュニティを作り出していくことが理想的なのではないかと個人的には考えています」

 大手メジャーレーベルなどとの提携協力による著作権問題の解決、収益の共有、「DJ」カテゴリの新設など、様々なトピックが展開される本プログラムを注視していきたい。

※1:https://www.twitch.tv/dj-program/info

デジタルへの移行で変化する音楽プロモーションのあり方 DSP各社のレコメンドに注目

時代と共に、楽曲ヒットのための効果的なプロモーションは変遷してきている。有線でのリクエスト、TV歌番組の出演、ラジオのヘビーロー…

楽曲の著作権侵害、注意すべき点は? 弁護士に聞くラナ・デル・レイとレディオヘッドの騒動

現地時間1月7日に米シンガーのラナ・デル・レイが、自身の曲「Get Free」がRadiohead「Creep」に酷似していると…

関連記事