真田佑馬・諸星翔希・長妻怜央、7ORDER第二章は限界に挑戦 「“中途半端”だからこそ“新しい”を作れる」
「偽物が本物になる時はある」(真田)
ーーそういう体験ができたという点でも意義深い曲ですね。
真田:はい。第2章の幕開けなのに心の疲弊がすごいのは、それだけ向き合ったものが大きかったということなので、素敵な体験だったと捉えています。客観視できないくらい自分を追い込んだんですよ。MV撮影で踊りながらどんな表情をしていたのかもわからないですから。
長妻:新人みたいな感じでしたよ。「まだまだ全然駄目だ」って思いました。
真田:ほんとそうだね。
ーー結成5周年のタイミングで、初々しい7ORDERになっているんですね。
諸星:はい。今、お肌がプリンプリンだと思います(笑)。
長妻:撮影の時のスモークで、声がガラガラですけど(笑)。
真田:今回は、新しいことをしていますけど、「第2章はこっちの方向性で行くんだ?」と括らなくてもいいというのは、お伝えしておきたいですね。あくまで、これは第2章の始まりとしてやったことで、自分たちのカラーを踏まえた曲も今後出すでしょうから。でも、心に向き合うこういう曲は、このタイミングでしか出せなかったと思っています。なんか苦しくなる感じもあるんですよ。Aメロ、Bメロもすごく苦しくなるところを掘り下げていますし、客観的に聴くと「それでも人生は続くんだな」っていうことを思います。大人になればなるほどいろいろなことが起こりますけど、それでも道は続くし、歩まないといけない。そういうことを教えてもらっているような感覚です。
ーーおっしゃる通り、“To Be Continued”っていう印象がします。
真田:だからタイトルが「But」なんでしょうね。「だけど」の後にある何かをイメージできるので。「But」が決まった後に、2曲それぞれのタイトルをどうするのかも、いろいろ話し合いました。「But (A)」「But (B)」とかも候補に挙がったんですけど。
諸星:それだと普通過ぎるので、「But (裏)」「But (表)」になりました。「芋焼酎の裏表みたいだよね?」という話にもなって(笑)。
真田:裏は内面で、表は外面でもあるじゃないですか? そういう点でも面白いタイトルになりました。まさにそういうサウンド感ですし、編曲によって音楽は大きく変わるというのも改めて感じました。
ーー「But (表)」は、事前告知なしのサプライズリリースですね。サウンドはもちろん、歌詞の一部も異なりますが、「But (裏)」との違いはどのようにしたいと考えていましたか?
真田:クリエイティブプロデューサーさんも交えて話し合った時に、ファンクやメロウな感じでもないし、ポップスも何かが違う感じがみんなの中にあって、「パンクっぽいサウンドが面白いかもね」ということになりました。
長妻:「But (表)」でもMVを撮ったんです。MV撮影は音が出ないですから、それを逆手にとった感じになっています。遊ぶところは遊んで、「曲を心のままに楽しむ」みたいな雰囲気が出ていると思います。
ーーMVの演奏シーンはライブ映像とはまた別で、楽器を使ったパフォーマンスですからね。ダンスとはまた別のそういう魅せ方も得意ですよね?
真田:はい。むしろ入り口は、そっちだったので。
長妻:得意分野です(笑)。
真田:隠さずに言えば、そうなんです(笑)。
ーー(笑)。当て振りのままでは駄目だと思って本気で楽器に取り組んだ結果が、今の7ORDERですからね。
真田:そうなんです。さっきコンテンポラリーに関して、僕らはまだ偽物だと言いましたけど、そう言われても構わないんですよ。なぜなら偽物が本物になる時ってあるんですから。
ーーバンド演奏の喜びを改めて噛み締められる「But (表)」でもあるんじゃないですか?
真田:そうですね。リリース前なので「But (表)」はやらなかったですけど、5月12日の『Z祭』でもそれを感じました。それぞれの音に対する「これこれ!」っていうのがあったんです。遊びとかで他の人とやるのとは違う感覚があるのは、くさい言い方にはなるんですけど、それぞれの「出したい音」みたいなのがあるから。それが「人生」と結びついて感じられるのも面白いです。萩ちゃん(萩谷慧悟)は筋トレのし過ぎて叩く音がでかくなり過ぎちゃっているのに、本人は気づいていなくて。「自分のイヤモニのクリックの音が聞こえないんだけど故障かな?」って(笑)。身体の変化自体も音になるって、人生ですよね。
長妻:全然関係ない話ですけど……『Z祭』の会場でのリハで、いくら自分のイヤモニの音量を上げてもらっても全然上がらなくて、どうしても自分の楽器と声が聞こえなかったんです。「どうした?」と思ったら、僕とさなぴーのイヤモニが入れ替わっていました。
真田:リハ中にずっとキーボードの音しか聞こえなくて、周りの人に「ギターが壊れた! やばいよ!」って言ったんですけど、スタッフさんから「フェスなので時間がないです」と言われて焦りました(笑)。そういう経験ができることも含めて、フェスの楽しさですね。
諸星:フェスにもっと出られるようになりたいよね?
真田:うん。いろいろな垣根を越えた自分たち主催のフェスとかも、いつかできたらいいですね。
長妻:『Z祭』、楽しかったですよ。同い年や自分よりも若い人たちもいて、今までになかったくらいたくさん絡んでお話をしました。XYのHAYATOくんと仲よくなったんですよ。
ーーステージでは岩橋玄樹さんと「PAJAMA PARTY」でコラボをしましたし、髙橋楓さんとバックステージで撮った写真もSNSで見ました。
長妻:会えてすごく嬉しかったです。
ーー「But (裏)」と「But (表)」は今後、フェスはもちろん、ワンマンライブでもやることになるはずですが、どういう形での披露になりそうですか?
真田:そこは7月のワンマンを楽しみにしていただきたいですね。絶対にやりますから。
ーー第2章のスローガン“Break the Order, Over the Border”がまさに表現されるパフォーマンスになるのかなと想像しています。
真田:僕らは何でもやってきたからこそ「中途半端」と言うこともできますけど、「中途半端」だからこそ「新しい」を作れると思っているんです。第2章のスローガンは、7ORDERにすごく合っていますね。自分たちの会社でやっていくことに対する不安もありますけど、1つずつを自由に作っていきたいです。
ーー前にも何度か言ったことがあったと思いますが、全部自分たちで決めて活動していくパンクバンドっぽさが7ORDERにはあるんですよね。
真田:そうじゃないと一人ひとりが納得いかないからなんです。他人事になるとおしまいだとみんなわかっているから、そうならないようにそれぞれが努力しているんだと思います。
諸星:ちゃんと自分たちで考えないと、いろいろ気になっちゃうんですよね。
真田:いろいろなことを経た結果の今のスタイルですけど、このやり方が正解かどうかもわかっていないです。でも、「僕らの家」っていうものを続けることに関しての正解がこれだと思っています。