Hilcrhymeらしさとは“人間臭さ=喜怒哀楽” 15年間で積み上げてきたストーリーと一貫性

Hilcrhyme、15年間のストーリーと一貫性

新曲「ドラマ」では「自分の人生観もしっかり表現できた」

――一方、「No.109」のようにTOCさんのラップの魅力を存分に味わえる楽曲も収録されています。改めてめちゃくちゃかっこいい曲だなと。

TOC:この曲は出すのが10年早かった感覚がありますけどね(笑)。当時は「春夏秋冬」と同じ人が歌ってるとは思われないような受け取られ方をされていたと思うんです。反骨心の塊みたいな曲ですから。「どんな受け取られ方をしてもいい、これが俺なんだ」っていう気持ちでアルバムに入れましたけど、やっぱり早かったという思いはある。でもね、10年以上ライブでやり続けてきたことで、今は男子が異常に盛り上がる曲になっているんですよ。そういう意味では当時、出しておいて正解だったと思うし、今回のベストアルバムに入れるのも正解だなって。メジャーで活動しているとセールスの数字はとても大事なことだけど、数字だけでは見えない部分が15年経って見えてきている印象もありますね。4枚目のアルバム(『LIKE A NOVEL』/2012年)から選んだ「NOISE」も同じような立ち位置の曲だと思います。

Hilcrhyme - 「No.109(Showcase Edit)」

――あとは2曲目に収録されている「リサイタル~ヒルクライム交響楽団 作品第1番変ヒ短調~」。これはHilcrhymeにとってすごく大事な1曲ですよね。

TOC:これはボーカルとDJのみで成り立つHilcrhymeの原点であり、基盤でもある楽曲ですね。「地方から行くぜ!」というスタンスであったり、「Hilcrhymeはライブに来てくれたお前らと作る交響楽団である」という思いであったり、サビの8小節に俺らのすべてが詰まってる。今聴いても、夢と希望と野心に満ち溢れたバイブスを感じるかな。だからこのベストアルバムの2曲目というポジションに置いたし、6月に開催する15周年の公演名(『Hilcrhyme メジャーデビュー15周年記念公演「リサイタル 2024」』)にもしたんです。その思いはこれからも変わらないと思いますね。

――そして本作には新曲「ドラマ」が収録されているのも大きなトピックです。WOWOW連続ドラマW-30『演じ屋 Re:act』の主題歌として書き下ろされたそうですね。

TOC:“演じ屋”という誰かの役を演じる人を描いたドラマだし、自分はドラマのタイアップをいただくことも多いので、今回は改めて「ドラマって何なんだろう?」、そして「その主題歌を書いてる俺はどんな立ち位置なんだろう」ってことをまず考えるところから始めたんですよ。その上でドラマの監督に下積み時代のこととか、いろんな話を聞いて。そこで監督の人間臭い部分に触れたことが大きなとっかかりになって曲になった感じでしたね。

――すべての人がストーリーの主役として生きているというメッセージは、生きる上での大きな指針になるものですよね。

TOC:そうですね。過去に「ルーズリーフ」という曲を作りましたけど、それの現代版というか。「自分が主役ってことは忘れんな!」というメッセージですね。監督の話をきっかけに、リリックでは自分の下積み時代から今に至る軌跡、言わば自分の人生観もしっかり表現できたと思うので、たくさんの方に届いてくれたらいいなって思います。

Hilcrhyme「ドラマ」Music Video

――最新曲「ドラマ」とメジャー初期の楽曲が違和感なく並んでいるところがすごいですよね。時間を経たことによるTOCさんの進化はもちろん感じますが、すべての曲が普遍的で瑞々しい魅力を放っていることに驚かされるというか。

TOC:確かに。普通、15年前の曲と新譜を並べないですよね(笑)。作られた時代の違う曲たちが違和感なく聴けてしまうっていうのはわりといいことなのかもしれない。

――TOCさんのボーカルにも一貫性がありますよね。

TOC:そうですね。自分でも基本的に変わってないなって思う。強いて言えば声の出し方はちょっと変わったんですけどね。昔は無理に出していたところを、喉に負担をかけることなく体を使って響かせる発声法を身につけたので。まあでもそれは技術的な話なので変化してもOKだと思うし、1st、2ndアルバムあたりの振り絞って出している声もそれはそれでよく聴こえたりもしますからね。そういう部分に注目して聴いてもらうのも面白いかもしれないです。

Hilcrhyme - 「ルーズリーフ」Music Video / “Loose Leaf” Music Video

――6月29日には先ほどもお話に出たメジャーデビュー15周年記念公演が日比谷野外大音楽堂で開催されます。2010年にアルバム『リサイタル』のリリースツアーとして行われた『Hilcrhyme TOUR 2010「リサイタル」』の再現ライブになるということがアナウンスされていますね。

TOC:再現公演を中心とした内容ではありますが、15年の集大成として現行のHilcrhymeをバッキバキにお見せできると思うので、本当に楽しみにしていてほしいですね。野音って言うとね、2018年の1人体制になってから初めてやった再始動ライブ(『Hilcrhyme LIVE 2018 「One Man」』)がファンのみなさんにとっては印象深いと思うんですけど、あのときのライブとは全く違ったものになるということだけはお伝えしとこうかな。

――相川七瀬さんと仲宗根泉(HY)さん、HIKAKINさんというスペシャルゲストとどう絡んでくれるのかにも期待が高まりますね。

TOC:久々にお会いする方もいるので最高に嬉しいし、楽しみですよね。このメンツが揃うのはHilcrhymeならではだと思うし。ただね、ゲストの方を招くホストとしての立場で言うと、結構気を遣うんですよ(笑)。相川さんと仲宗根さんは半端じゃないエネルギーの塊みたいな方なので、特にね。ステージに出ちゃえば全然大丈夫なんですけど、リハーサルとか楽屋では“気ぃ遣い”な俺が出ちゃってると思います(笑)。

◾️リリース情報
『BEST 15 2009-2013 -The Beginning & Flying-』
2024年5月29日(水)発売
・初回限定盤 POCE-92161 ¥5,500(税込)
・通常盤 POCE-12207 3,300(税込)

<収録内容>
【CD】
01.ドラマ
02.リサイタル 〜ヒルクライム交響楽団 作品第1番変ヒ短調〜
03.春夏秋冬
04.もうバイバイ
05.純也と真菜実
06.ルーズリーフ
07.トラヴェルマシン
08.No. 109
09.大丈夫
10.パーソナルCOLOR
11.友よ
12.Changes
13.朱ノ鷺  
14.NOISE
15.Kaleidoscope
【初回盤DVD】Music Video
純也と真菜実
春夏秋冬
もうバイバイ
大丈夫
ルーズリーフ
トラヴェルマシン
Shampoo
臆病な狼
no one
パーソナルCOLOR

ジグソーパズル

◾️ライブ情報1
『Hilcrhyme メジャーデビュー15周年記念公演「リサイタル 2024」』
2024年6月29日(土)
東京・日比谷野外大音楽堂
OPEN 16:15/START 17:00
スペシャルゲスト:相川七瀬、仲宗根泉(HY)、HIKAKIN
<チケット>
¥7,700(税込)販売中
ローソンチケット:https://l-tike.com/hilcrhyme/

◾️ライブ情報2
『TOC生誕祭2024』
10月4日(金)東京・Spotify O-EAST
OPEN 17:30/START 18:30
10月6日(日)大阪・umeda TRAD
OPEN 16:00/START 17:00
詳細:https://hilcrhyme.com/news/352601
チケット購入:https://www.uconnect-ticket.jp/artist/toc
※一般発売は6月1日10:00より。

Hilcrhyme Official Site

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