ももいろクローバーZ、16年目の4人が向き合う“アイドル”とは? アルバム『イドラ』と現在地を語る

ももクロは「最初の時点で普通のアイドルと違った」

百田夏菜子

――アルバムタイトルの『イドラ』がアイドルという言葉の源流ということで、15年の活動の中で、自分が思うアイドル像の捉え方に変化はありましたか?

佐々木:アイドルといえば、かわいいミニスカートを履いてかわいい曲を歌って踊って、プライベートを見せずにファンタジーのような存在こそがアイドルだなと思っていたんです。そういうアイドルになりたかったはずなんですけど……なれなかった(笑)。でも、それは時代性もあると思うんです。今のアイドルは、いつでもメイキングカメラが回ってたり、プライベートをSNSで発信したり、特典会で直接会えるし話せるじゃないですか。それが“今”のアイドルらしさだと思うんです。私も、ももクロとして活動していくなかで、ステージ以外のところでの立ち振る舞いも大事なんだなってやっとわかったんです。かわいいに徹するより、自分のダメな部分とかも受け入れてもらったり、面白がってもらえたりして、ファンのみなさんと一緒に成長していくものなんだなって。アイドルらしさというのはかわいいだけでもないし、パフォーマンスだけでもない。アイドルは人間味も大事だなって思いますね。

玉井:昔、言葉だけで思い描いていたアイドル像は、かわいくてキラキラかつフリフリの衣装で歌って踊るイメージで。私もそういうアイドルになりたいと思っていた時期もあったし、活動を始めた頃は正直「自分にアイドルができるのかな?」って。でも、続けていくなかで、私の根本の性格的にもそういう路線は合わないんだな、と(笑)。こうしてももクロを続けてこれたのは、自分のなかのアイドル像が変わってきたからっていうのもあるんです。何が変わったかと言うと、アイドルっていうのは私からすると言葉でしかないんですよ。誰にでも「会うと元気をもらえる」「見てるだけで笑顔になれる」という存在がいると思うし、それがその人にとってのアイドルだと思うんです。私自身、アイドル活動をしているんだという明確な自覚はあまりないんです。でも、周りから「あなたは私にとってのアイドルだよ」と言われることは素直にうれしいですし、それぞれにとってのアイドルであるならば“アイドル”というものを変に背負わなくていいんだなと思えた。だから今まで続けてこられたのかなと思ってます。

高城:アイドルって、テレビのなかの存在で、歌とダンスができて、かわいくって……そういう印象だったんです。その印象は変わらずありながら、ももクロの活動をしていくなかですごく視野が広がったんですよね。自分が追いつきたい人であったり、パワーや勇気をくれる存在が、きっとそれぞれにとってのアイドルなんじゃないかなって思うようになりました。だから、人でも物でもキャラクターでも、なんでもいいと思うんですよ。私にとってのアイドルは、モノノフさんなんです。アイドルというか、それこそヒーローだなって思います。モノノフさんは私には持っていないものをたくさん持ってるし、奮い立たせてくれる存在なんです。強いみなさんに追いつきたいし、逆にみなさんの憧れでいたいし、これからも一緒に同じ歩幅で歩んでいきたいなって思います。

玉井詩織

百田:ももいろクローバーZは、想像していたアイドル像とはまったく違いました(笑)。アイドルは、すごくかわいい衣装を着させてもらえると思ってたんです。でも気づいたらジャージ姿でプロレスのリングに立っていたり、新メンバー(佐々木)がタイガーマスクで加入したり、レッスン場でブルーシートを敷いて毒霧の練習をしたり……。

佐々木:私、おうちのお風呂でめっちゃ毒霧の練習した(笑)! ダンスの練習すらおうちではあんまりしないのに(笑)。

百田:(笑)。あと、アイドルがロックフェスに出るということがあまり一般的ではないなか、ものすごくアウェイな状況でも受け入れていただいて、本当にいろいろな景色を見させてもらったんです。でも、全部が想像してなかったことなんですよ。たしかに、昔からめちゃめちゃ体育会系ではありましたし、たくさんのことに挑戦して、ただひたすらがむしゃらにやっていたら、「変な子たちがいる」「不思議なグループが出てきた」と言われるようになったんです。みなさんが思うアイドルとは違うところを走ってきたからこそ、興味を持ってくださった方もすごくたくさんいらっしゃった。ただ、自分たちとしては「これって珍しいんだ」「これって変なんだ」という感覚だったんです。それがだんだんと「これが自分たちのチャームポイントだ」と思えるようになったりして。だから、たしかに思い描いてたものとは違うけど、最初の時点から普通のアイドルと違ったので、途中で「これ違うな」っていうのは思わなかったですね。

――はじめからずっと違えば、それが自分たちのメインストリートですしね(笑)。

百田:そうなんですよ! それこそ、今回のアルバムにも収録されている「Majoram Therapie」という曲で、いちばん最初に思い描いてたアイドルにようやくたどり着いたんです(笑)。ファンの方々にも「こんなにザ・アイドルのももクロを見れる時がくると思わなかった」と、すごく喜んでいただけました。

――自分たちで、新しいアイドル像を切り拓いている感覚はありましたか?

百田:まったくなかったです。「あれ? この道には誰もいないぞ?」とは思っていたけど(笑)、誰も知らない道を走ってきたら“ももクロ”という新しいジャンルができたと言っていただけることが増えて。

――なるほど。昨年から続く結成15周年のアニバーサリーイヤーでは、全国ツアーでメンバーがプロデュースに参加してこれまでとは違う演出でライブを楽しませたり、積極的にソロ活動を行ったり、その最後に『イドラ』というニューアルバムをリリースするという、攻めの姿勢を崩さずにこの一年を走ってきたと思います。16年目に突入してもまだまだアグレッシブなももクロの原動力、パワーの源はどこにあるとみなさんは感じてますか。

百田:やっぱりモノノフさんたちの存在だと思います。応援してくださる方がいるからこそ、私たちはステージに立てるし、こうやってアルバムを出すことができる。聴いてくださる方の顔を想像しながら、すごくワクワクしながら制作をしているんです。

佐々木彩夏

――なるほど。

百田:……でも正直に言うと、メンバー自身の活動のエンジンはごはんだと思います。

全員:(爆笑)

玉井:間違いない(笑)。

百田:身近な原動力だよね(笑)。最近、火鍋を食べたんですけど、めちゃめちゃ美味しくて。すごくパワーをもらえました。

佐々木:しおりんが今ハマってるのはあんバターパンだよね?

玉井:普段はあんまり甘いものを食べないんですけど、ここ1カ月くらいで急にあんバターパンの美味しさに目覚めたんです(笑)。

佐々木:私はレバーです。

玉井:意外!

佐々木:レバー、克服したの! 本当はごま油をかけた焼き鳥を食べたかったんですけど、ごま油のために仕方なくレバーを頼んで食べたら美味しくて(笑)。そこからハマってます。

高城:私は辛いものが好きで、常にハバネロペッパーを持ち歩いてます。汁物系にはほぼ全部入れちゃいます。あと料理を作るのが好きで、このあいだ山椒と七味が合体した調味料を買ったらすごく美味しくて、1週間で使い切っちゃいました。

高城れに

――すごく美味しそうですが、ごはん以外の16年目のパワーの源はいかがですか(笑)?

玉井:(笑)。ももクロの活動の原動力は、“自分が楽しくてメンバーもみんなも楽しんでやっている”ということがいちばん大きいなと思いますね。みなさんもそうだと思うんですけど、楽しくないお仕事だとなかなか行きたくないじゃないですか。でも、ももクロは「現場に行ったら楽しいだろうな」「今日は何が起きるんだろう?」というワクワクの感覚がずっとあるし、毎日想定外のことが起きるからこそ楽しいんですよ。メンバーみんなで楽しいを共有できてるからこそ、ここまで続いてきてるんだなって思うから、その気持ちはずっと大切にしていきたいなって思います。楽しい気持ちと美味しいごはんと、あと適度な休みが大事ですね。

佐々木:私もファンのみなさんや楽しいと思えることが大きいなと思いますね。私は小さい頃からダンスを習っていたから歌って踊るのがずっと好きで、自分の好きなことが誰かに必要とされてるのがうれしいなって思います。私は必要とされると調子に乗っちゃうところもあるけど、みんなに支えられてここまでこれました。

高城:個人的には、続けていくうちにいい意味で欲深くなってきているのかなと思いますね。「あれもやりたい、これもやりたい」というものが多くなっているなって。スタッフさんたちも私たちを信頼してくださって、重要な話し合いに入れてくれたり、意見を聞いてくれるからこそ、前とは違う楽しみ方ができてるんじゃないかなって思います。作り上げる楽しみがすごくモチベーションになってるし、だからこそ自分たちもより意欲的になれる気がしますね。

 あと、口に出したことは叶うって信じてるんです。それは15年間で実感できたし、それに言うだけはタダなので(笑)。自分のやりたかったものが実現できたら嬉しいし、なるべく目標は言うようにしています。15年のあいだに出会いや刺激がたくさんあったからこそ、私たちも積極的に動けるというか「動かなきゃ!」って思うんですよ。「ずっとこの景色を見ていたい!」と強く思っているので、常に攻めのスタイルでいたいなって思います。

『イドラ』初回限定盤

■リリース情報
7thアルバム『イドラ』
発売中

配信URL:https://mcz.lnk.to/idola

初回限定盤
・CD(4枚組)+Blu-ray(2枚組)
・12,000円(税抜価格 10,909円)
・KICS-94140

通常盤
・CD Only(初回限定盤 CD DISC1と同内容)
・3,300円(税抜価格 3,000円)
・KICS-4140

『イドラ』通常盤

<CD収録内容>
DISC1:『イドラ』
M01. 序章 -revelation-
M02. Heroes
M03. Brand New Day
M04. Re:volution
M05. MEKIMEKI
M06. MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰
M07. 一味同心
M08. 桃照桃神
M09. Majoram Therapie
M10. 追憶のファンファーレ
M11. いちごいちえ
M12. L.O.V.E
M13. Friends Friends Friends
M14. 誓い未来
M15. idola

DISC2:『イドラ』(off vocal ver.)
DISC3-4:『QUEEN OF STAGE』(2023.10.15 ツアーファイナル公演) LIVE CD Part 1/2

<Blu-ray収録内容>
DISC1:『イドラ』 ALBUM Documentary + 「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」「誓い未来」「Heroes」MUSIC VIDEO
DISC2:MOMOIRO CLOVER Z 15th Anniversary Tour 『QUEEN OF STAGE』(2023.10.15ツアーファイナル公演)

『イドラ』特設サイト:https://mcz-release.com/sound/idola/
ももいろクローバーZ オフィシャルサイト:https://www.momoclo.net/
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