齊藤京子が日向坂46に残したものとは? センター曲「僕に続け」で示したアイドルとしてのあり方

 4月5日に神奈川県・横浜スタジアムにて開催された卒業コンサートをもって、日向坂46から卒業した齊藤京子。日向坂46にとって初の“コンサート”という形で行われたこの卒業公演には、多くのきょんこいず(齊藤京子ファンの呼称)が集まり、彼女の門出を見送った。けやき坂46の一期生として加入した齊藤は、欅坂46のアンダーグループという位置づけだった時代から幾度もの困難を乗り越えて、日向坂46の歌姫としての個性を確立し、一時代を築き上げてきた。卒業コンサートはそんな齊藤の歴史が刻まれたものとなっていた。

日向坂46 齊藤京子『死んじゃうくらい、抱きしめて。』

 オープニングを飾ったのは、齊藤にとって初めてのソロ曲となった「居心地悪く、大人になった」。まさに彼女が歌姫として認識された最初の楽曲に始まり、「シーラカンス」「ゴーフルと君」「恋した魚は空を飛ぶ」「それでも歩いてる」といった期別曲に加えて、5thシングル『君しか勝たん』に収録されている個人PVより「死んじゃうくらい、抱きしめて。」、ともにシンメトリーとしてグループを支えてきた加藤史帆との「孤独な瞬間」のパートは卒コンならではの演出だった。中でも、齊藤が表題曲センターに選ばれるまでの葛藤や思いが映し出されたVTRを経て披露された初の表題センター曲「月と星が踊るMidnight」では、Aメロで齊藤が涙をこらえながら歌唱する場面もあり、改めて彼女がアイドルグループのセンターポジションに立つことがどれほど特別なものなのかを感じさせられた。そして、アンコール「JOYFUL LOVE」の曲中に期別ごとに花束を齊藤に手渡していくサプライズが用意される。この光景は齊藤がいかにメンバーから愛され、慕われていたのかを再確認させられると同時に、齊藤京子という存在の大きさを実感させられた。

 齊藤がアイドルとして過ごした約8年を限られた文字数の中で語り尽くすのは難しいが、間違いなく齊藤は誰よりもアイドルというものとまっすぐに向き合い続けてきたメンバーだった。2021年に発売された1st写真集『とっておきの恋人』(主婦と生活社)は、“国民的彼女”をテーマに撮影されたが、齊藤がこれまで私たちに見せてくれた姿はまさに国民的彼女と言うほかない。

 初の単独ライブ『MTV LIVE SESSIONS: Kyoko Saito from Hinatazaka46』や『MTV Unplugged Presents: Kyoko Saito from Hinatazaka46』に代表されるステージで見せてきたソロアーティストとしての歌声は唯一無二。どのジャンルの楽曲でも、自分の色に染めてしまうその歌声は日向坂46にとって欠かせない武器であると同時に、グループのパフォーマンスに欠かせないものとなっていた。ほかにもヒコロヒーとの冠番組『キョコロヒー』(テレビ朝日系)では、ヒコロヒーとの意気のあった掛け合いを見せるとともに、齊藤の天然なトークも炸裂し、バラエティでの地位を確立している。

 オールマイティな才覚を見せてきた齊藤だが、彼女がアイドルとして多くのファンに愛されてきたのは、アイドルとしての振る舞いそのものだろう。けやき坂46時代から振り返ってみても、多くの困難を経験してきた齊藤だが、彼女は常に明るく、理想的な振る舞いで、誰よりもファンのために尽くしてきた。齊藤がアイドルになってから掲げてきた「涙を流さない」という目標も、彼女のアイドルとしてのあり方を物語っている。

 そのプロ意識の高さは後輩たちへも受け継がれており、たとえば“マブダチ”として齊藤と仲がいいことでも知られている二期生の濱岸ひよりは、ラジオ番組『日向坂46の「ひ」』(文化放送)に出演した際に「自分の弱いところを見せないところが私と真逆で本当に憧れます」と話していた。実際の卒業コンサートでは濱岸のゲラが発動してしまい、卒業コンサートらしからぬ雰囲気に包まれたが、そうした濱岸を優しく受け止める齊藤の器。そんな彼女だからこそ、多くのメンバーに慕われてきたのだろう。

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