Dannie May、5周年ライブで辿る濃密な時間 これまでとこれからを示した集大成のステージ

 2019年3月18日の結成からちょうど5周年。Dannie Mayが、そのアニバーサリーを記念してのワンマンライブを開催した。『Give Me Five』と題され、渋谷クラブクアトロを舞台に繰り広げられたライブは、Masa(Vo/Gt)、田中タリラ(Vo/Key)、Yuno(Vo/Kantoku)の3人のこれまでの歩みの集大成であると同時に、まだまだここから突き進んでいく彼らの強い意思をファンに向けて示すものとなった。長いようで短い5年という時間。しかしその中でDannie Mayが辿ってきた道のりはとても濃密で振り幅の大きなものだった。矢継ぎ早に披露されたバラエティ豊かな楽曲たちは、他に比べるもののないDannie Mayというバンドのユニークさを改めて教えてくれた。

Dannie May

 SEとともにフロアから鳴り響いた手拍子に乗って登場した3人が最初に披露したのは「灰々」。ファンキーなリズムがのっけからフロアを沸かし、オーディエンスの手が挙がる。Dannie Mayの大きな武器であるコーラスワークも冴え渡っている。続く「笑わせらぁ」でもボーカルのコンビネーションが耳を惹きつける。マサのどこか人懐っこい声、タリラの鋭いハイトーン、そしてベースレスの編成の中で楽曲を下支えするYunoの低音。まるでロックバンドのアンサンブルのように、3つの声が空間を埋め、力強いハーモニーを奏でている。「まだまだいけるな!」とタリラが煽る中繰り出された「玄ノ歌」ではそのボーカルにオーディエンスも加わって掛け合いが展開。Yunoも持ち場を離れてステージの一番前まで出てきてさらなる高揚を煽っている。それと対をなすように披露された「黄ノ歌」のキャッチーなメロディがクアトロを覆い尽くす頃には、場内はすっかり熱くなっていた。

 サポートドラマー成瀬太智が4つ打ちのキックで手拍子を誘うなか、Yunoが「みんなが聴きたかったやつを用意してきました」と期待を煽って「針よ墜とせぬ、暮夜の息」。ギターのカッティングが気持ちよく響き渡るなか、アンニュイなムードを帯びたメロディをマサが切々と歌う。そして「待ツ宵」ではYunoのリードボーカルがファンキーにオーディエンスを踊らせ、コール&レスポンスも起きた。そこから一気に時間を飛び越えるように「東京シンドローム」へ。もちろん過去の曲たちもいいが、最近の楽曲だとフロアの盛り上がりも違うし、3人もますます自信をもってパフォーマンスしているように見える。そのことがDannie Mayというバンドの進化を物語っているようだ。それは続く「異形」でもそう。個人的にEP『青写真』の中でもとくに好きな曲だが、この曲のダークでドープな世界観はやはりとても印象的。ハンドマイクでサビを歌うタリラの姿も何やらあやしげなムードを纏っている。このブロックの最後を飾るのは「適切でいたい」。今度はマサのボーカルが主役だ。ハードなロックサウンドに負けない力感をもったその歌声がクアトロの空気を震わせてみせた。

Yuno

 ここまで9曲、「ノンストップでやってまいりましたが、みなさん楽しんでますでしょうか!」とマサ。Yunoは5年前にここ渋谷でDannie Mayを始めた頃のことを振り返りつつ、「本当にいろんな曲をやってきたなあと思って」と感慨にふけっている。「俺、今日みんなに聞きたい。みんな何の曲が好き?」という問いかけにフロアから次々と曲名が挙がる。どれも見事にバラバラだ。それに耳を傾けて一節披露したりしながら、「いつも言ってるけど、組んだときに最初に立てた目標が『5年後にZeppに立つ』っていうことだった。どんな曲をやるかはその後だった」と語るYuno。「俺たちは音楽というエンタメでみんなを笑顔にしたいということを思いながら5年間やってきた。それはみんな一人ひとりが繋いできてくれた5年間だと思ってる。みんなにZeppという場所を見せたかった」。少しの悔しさも滲ませながらファンに感謝を告げ、「必ず俺たちはZeppを制覇するためにここからやっていくので」と宣言。その言葉に、大きな拍手が巻き起こった。

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