遊助、15年間変わらない感謝の想い アルバム『Thank 遊』で考えた、“遊助”がある意味

「共感してほしい」というより「共感したい」気持ちはすごく強い

――振り返れば、遊助さんのアーティスト活動は感謝の思いとともに始まりました。今回リアレンジバージョン「ひまわり-応援花-」が収録されている、デビュー曲の「ひまわり」は、遊助さんがレギュラー出演していたバラエティ番組『クイズ!ヘキサゴンII』のコンサートで、ファンの方々や周りの人たちに感謝を伝えるためにサプライズ披露した曲でした。

遊助『ひまわり-応援花-』

遊助:「ひまわり」は俺の人生を潤してくれたし、人生を狂わせてくれた(笑)。まさかね、音楽が職業になるとは思っていなかったから。その日目の前にいたお客さんや、共演者、関係者に向けて作った曲だから、テレビで流れると思ってなかったし、CDになるとも思ってなかった。だけどみなさんの「CDを出してほしい」という声からこの15年が始まって、生活の3分の2くらいは音楽になって。自分の曲を聴いてあーだこーだ言ったり、ライブのセットリストや衣装を考えたり、打ち合わせをしたり……っていうことをずっとしてる。そりゃこんだけいっぱい曲作ったりライブしてきたら、15年経つかって思いますね。「ひまわり」は、今は『ヘキサゴン』に出ていた頃の俺を知らない10~20代の子も普通に歌ってくれてるし、成人式で肩組んで歌ってくれたり、TikTokでみんなが踊ってくれたり、 Instagramのリールで使ってくれたり……盛り上がってくれてる姿を見ると、「あ、今の曲になってるんだな」と思います。

――そうやってファン層が広がり続けているのがすごいですよね。

遊助:いやいや。雪だるまみたいにみんなに転がしてもらってるだけだから、俺も楽しんでるんですけど。当時の俺を知らない若い子が今歌ってくれているというのは自分の自信に繋がるし。同時に、昔からずーっと応援してくださる方もたくさんいるから、この曲も俺自身もその人たちと一緒に育ってきた感覚があるし。スタッフとか「学生の時からずっと聴いてました」「バイト中によく遊助さんの曲が流れてたんですよ」っていう人も周りに増えてきてるから、 別に偉くなったわけでもなんでもないんだけど、「ああ、もうそういう歴だよね」とは思います。

――そもそも最初に「ひまわり」を書こうと思ったのは、どういう思いからでしょうか。「ファンの人に喜んでもらいたい」みたいな?

遊助:いや、「サプライズで作ってきました!」っていうだけだから、「喜んでほしい」じゃなくて「喜んでもらえたらラッキー」という感覚なんですよね。プレゼントみたいなものです。あくまで気持ちだから、喜んでもらえたら嬉しいけど、喜んでもらえなかったからってムカついたりはしない。「これをあげたら喜んでもらえるかな?」「あ~、ダメだった!」みたいなことがあっても別にいいじゃんって思ってるから。

――曲=プレゼントという感覚なんですね。面白い。

遊助:他のアーティストの人に音楽を始めた理由を聞くと、「小さい頃から音楽が好きだった」とか「俺にはこれしかなかった」とか「共感してほしかった」とか「モテたくて」とかいろいろあるんだけど、俺、どれも当てはまらないんですよ。応援してくださる人が背中を押してくれて、神輿の上にポンと乗っかっちゃったみたいなスタートだったから。そこから想像してなかった人生がスタートして。「共感してほしい」という気持ちは今でもそんなにないんですけど、「共感したい」という気持ちはすごく強いです。「この人、この言葉を待ってるのかな」「こういう人に、こういうアプローチをしたらどうだろう」って考えてると、永遠に曲が生まれてくるんですよ。例えば今回のアルバムで言うと、「洗濯者」は、「洗濯物から見たら、一人暮らしの男の子ってどんな感じだろう?」「子育てで忙しいお母さんのことはどう見えるのかな」と想像しながら書いた曲なんですけど。

――作り手でありつつ、リスナーとしての目も持っているということですかね。

遊助:たぶんリスナーと一緒の感覚なんですよ。俺も遊助で楽しんでるし、救われてるし、遊んでる。恥ずかしいけど、昨日作った自分の曲に救われることもあるんです。だから、一人だけど一人じゃない。その視点から「この人は、どんなアプローチしたら笑ってくれるかな」「どんな言葉を待ってるのかな」「こういう時代だからこそ、こんなことをやったらみんなが手を繋ぐのかな」って考えてるんだと思います。

――アルバムのラストを飾る「手放したくない今日」も感謝の歌ですよね。どのように生まれた曲でしょうか?

遊助:まず「手放したくない今日」というワードがポンと出てきて、「このワードいいな」と思ったところから膨らませていきました。最終的に遊助としてのメッセージを歌った曲になったと思っていて。サビで〈あなたがいなけりゃ 僕はいない〉って歌ってますけど、応援してくれる人や支えてくれる人、聴いてくれる人がいなかったら俺はいないから。遊助があるから出会いもあるし、寂しさ、悲しさ、悔しさももちろんあるけど、喜びもある。親かもしれないし、友達や恋人、子どもかもしれないけど、「この人がいなかったら今の自分はいない」という存在はきっと誰しもいるはずだから。自分にとって大切な人たちをいかに守りながら生きていくかということを考えながら書いた曲ですね。

――「ひまわり」でデビューした15年後に「手放したくない今日」のような曲を書いていることに対して、何か感じることはありますか?

遊助:結局変わってないのかな。初めて「ひまわり」を披露した時はデビューすることなんて決まってなかったから、みんなが「もう1回歌ってくれ」みたいな感じで広めてくれた時、正直「もうやめてくれ」って思ってたんですよ。あの頃は歌うのが嫌だったから。でも自分の歌に救われてる人がいるんだってことを知って「あれ?」と思って。使命じゃないけど、「救えるものがあるんだったら救わなきゃダメだろ」「こんな俺でも役に立てるんだったら、一生懸命やるしかないでしょ」 っていうスタートだったんです。だから「歌いたくない」「こんなはずじゃない」というスタートから、「これはやらなきゃ」「いや、やりたい」というふうにグラデーションみたいに変化していって。デビューしますっていうハンコを押した時には、「手放したくない今日」で歌ってるようなマインドになっていたんですよね。

――つまり、15年間ずっと感謝の気持ちが真ん中にあったと。

遊助:うん、そうですね。そこは変わってないと思います。遊助って固有名詞だけど、みんなのものだし、俺が偉いわけでもなんでもなくて。もちろん責任は負いますけど、みんなが楽しんで、温かくなったり笑ったり泣いたりできる場所の名前みたいなものだと思っているので。そういう場所にもう一度帰ろうかな、っていう感じです。

――3月9日には、ワンマンライブ『遊助 15周年 SPECIAL LIVE「祝」』を長井海の手公園 ソレイユの丘で開催。4月3日からは『遊助 Zepp Tour 2024 “Back to the 遊ちゃーん”』が始まります。ソレイユの丘でのライブもZeppツアーもデビュー年以来ですよね。原点回帰と言いますか。

遊助:15周年じゃなかったら間違いなくやらないことですね。めっちゃくちゃ楽しみ。15年前のソレイユとかZeppツアーは、みんなのおかげで成長させていただいたような感じがありました。あの時のようにいろいろな場所に行って、いろいろな人たちと1対1でライブができるのかと思うと、本当に楽しみですね。当時は(観客が)若い女性中心で、黄色い声援がありがたくて嬉しかったんですけど、今は若い女性も男性も年配の人も小さい子も来てくれるから、それもまた嬉しくて。いろいろな人が集まる場所になると思うけど、言葉とか音楽って、人と人の間にあるボーダーを乗り越えるものだと思ってるから。ライブを通じて、「自分がやりたいことはこれだったんだ」というものをもう一度ちゃんと見に行きたいです。

■リリース情報
2024年3月6日(水)発売
遊助15周年記念アルバム『Thank 遊』
購入:https://Yusuke.lnk.to/Thankyou
ストリーミング/ダウンロード:https://Yusuke.lnk.to/Thank_you

CD:DISC①※完全生産限定盤・通常盤共通
<収録楽曲>
1.洗濯者
2.ヒーローのマント
3.全員絶滅危惧種
4.BAKEMON
5.起死回生
6.風になりたい~海風~
7.全校集会
8.History Ⅸ
9.トラの子
10.にじ
11.ひまわり-応援花-
12.Shandy gaff
13.手放したくない今日

完全生産限定盤(2CD+BD+フォトブックレット+アクリル万年カレンダー):¥12,500(税込)
完全生産限定盤収録内容:
・DISC①:13枚目オリジナル・アルバム
・DISC②:USK Non Stop Medley
・DISC③(Blu-ray):Music Video Collection
・オフショットフォトブックレット(44P)
・アクリル万年カレンダー
・豪華フラワーボックス仕様

通常盤(CD):¥3,500(税込)

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