SGが2024年に掲げる“一創全魂” かっこいいものをより鋭く体現・表現できる人を目指して

 日韓ミックスのシンガーソングライター・SG。彼は昨年、LDH Recordsとタッグを組み、自主レーベル SUPERGENIUS Entertainmentを設立して、11月にリリースした配信シングル「Palette」をもってメジャーデビューを果たした。

 今回のインタビューでは、新しいスタートを切ったSGにとって2作目となる配信シングル「Curse of Love」について紐解いた。まずインタビューの序盤では、前回の「Palette」の取材(※1)の際にSGが語った「目標や目的に縛られずに、自由に生きていく」という新しい人生観について改めて聞き、続けて、そのまっさらな地平から「Curse of Love」へと辿り着くに至ったプロセスについて聞いていった。今回も、単なる楽曲の魅力を紐解くインタビューを超えて、SGの表現者としての人生観を色濃く映し出した内容になっていると思う。本稿を通して、彼の今後の活動へ向けた深い覚悟を感じ取ってもらえたら嬉しい。(松本侃士)

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シンプルな歌詞を伝えるために濃い人間にならないといけない

――前回のインタビューでは、読者やファンの方たちにとって本当に驚くような内容を話していただけまして、目標や目的から自由になったSGさんが次にどのような一歩を踏み出すのかを楽しみにしていた人も多いと思います。その一歩として、2月7日に「Curse of Love」がリリースされましたが、この曲を出すに至るまでの過程について聞かせてください。

SG:前回、目標や目的地がないとは言ったんですけど、よく考えたらビジョンはあるなと思って。「Palette」を出してからの数カ月間は、ビジョン、つまり自分はどういう人間でありたいかということを、すごく事細かく考えていた期間でした。その上で、一球入魂という言葉を派生させて「一創全魂」という言葉を作りまして。一つの創作物に全ての魂を込めて生きていこう、っていう意味なんですけど、今年はそのプロセスをとことん突き詰めていこうと。

――「目標や目的地がない」という前回の話だけ受け取ると、もしかしたら「今後どうなるんだろう」と思った人もいたかもしれませんが、今の話とセットで聞くとグッと納得感が増すように思いました。

SG:実際、前回のインタビューの時もぼんやりと思っていたんですけど、その時はうまく表現できなかったんです。いろいろ経て、「あ、これだ」って思いましたね。というのも、一つの創作物を作る上での魂のかけ方が、今までは甘かったなって自分の中で思って。もっと事細かく魂を込めていかないと、伝わるものも伝わらないなって思ってから、一つひとつに全力でこだわっていってるっていう感じですね。

 もっと言うと、そもそも創作物に魂を込めるためには、その前提として、創作物を作っている自分の生活、自分の考え方、全てに魂を込めていく必要がある。そのようにどんどん逆算していくと「もう自分を作り替えるしかねえ」と。自分の鍛錬の時期っていうか、とにかく今はもっとかっこいい姿でいたいなっていう感じです。自分がかっこいいんだっていうことをまずは自分が認めてあげないと、きっと誰も認めてくれないし、誰かが認めてくれた上に自分があやかるのも全然違うから。

――シビアに自己批評、自己批判しながら自分自身を磨き続けることは、とても大変なことだと思いますが、まずは自分に厳しく向き合わないとダメだと思うようになったきっかけはあったのでしょうか?

SG:それこそ、自分の周りのスタッフさんたちを見ていて、「この人たち、すげえ命かけてやってくださってるな」って思う瞬間があって。その時、一方で自分は何をしているんだって俯瞰して考えたんです。僕は自分にすげえ甘かったし、そもそも何かを作って誰かにそれを届ける準備がなってねえなって。それにもかかわらず、現状みんなに認められるような楽曲があったりすること自体がいささかおかしい話だなと。いや、それは奇跡だなと。でも、それを奇跡じゃなくて必然にするべきだと思って。スタッフの方たちがかけてくださっている命や時間より、僕がもっと大きなものをかけて創作に向き合わないといけないっていう、シンプルにそういう話です。

――リスナーは作品を通して、時にアーティストの生き様や価値観、信念を、アーティストが思っている以上にビビッドに受け取りますよね。

SG:どうしても自分はすごくシンプルな歌詞を書くんですけど、そのシンプルな歌詞を伝えるためには、それを歌う人間が濃くないといけない。濃い人間であるからこそ、そのシンプルな歌詞に滲むものがあるし、もっと深い意味に聴こえてくるじゃないですか。今はそういう人間になろうと思っています。

――時系列を整理すると、今話してくださった考えに至ったのは、今回の新曲を作り始めた頃ということですか?

SG:この曲に関してもそう思うきっかけになった一つですし、MVを制作する時には完全にそのモードでした。

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