家入レオ×麻倉もも、互いの声を信じ合うから歌えた希望 中学時代の交流から初コラボまで
「私が“家入レオ”になる前から知ってるももちゃんと歌いたい」(家入)
――そこからお互いにキャリアを重ねてこられて、今回こうして「希望の名前」というコラボシングルをリリースしました。どんな経緯だったのでしょうか。
家入:楽曲制作をしている中で、たまたまこの曲に出会って。すごくキラキラしているんだけど、キラキラの中にある儚さや切なさを感じて、絶対にこの曲を歌いたいと思いました。そんなときに、ももちゃんの顔がパッと浮かんで。この曲をももちゃんと一緒に歌えたら、すごくいいサプライズになるんじゃないかなと思ったし、ちょうど3月の16・17日で野音(日比谷公園大音楽堂)が2デイズ取れたというのもチームから聞いていたんですね。2日間とも自分のワンマンにするのもいいけど、もっとファンの方が楽しんでくれる企画を考えたいと思ったときに、この曲をリリースして、ももちゃんと歌えたらいいなと思って。なんか点と点が線になっていく感じがしました。スタッフさん経由でももちゃんにお声がけするのもいいなと思ったんですけど、すごく大事にしたい衝動だったから、直接会って話したいなと思って。けど、なかなかスケジュールが合わなくて、「ちょっと電話できる?」って言って電話で話しました。
麻倉:電話で緊急に伝えたいことって何だろう? ってドキドキしたんですけど(笑)。この曲のことや、私と一緒にやりたいという気持ちや経緯を話してくれて。その真摯な想いが私の胸にダイレクトに刺さって、二つ返事でやる! って言いました。
――麻倉さんも精力的に音楽活動をされてきた中で、良いタイミングだったんじゃないですか。
麻倉:そうですね。私が声優として活動を始めたばかりのタイミングでレオちゃんにこういうお話をいただいてもきっと「今じゃない」って思ったと思うんですけど、ここまでいろいろと乗り越えてやってきた今だからこそ、互いに背中を預けて歌えたんだと思います。
家入:そうだね。今年30歳になるんですけど、同級生たちが結婚したり出産したり転職したりと、あらためて自分の人生設計をしている話を聞いて、私自身にとっても必然的に自分の未来について考えるタイミングで。デビューして10年を越えましたけど、私はこの先ももっともっと歌っていきたいなと思ったんです。ステージで歌っているときに、ファンの人の目には私が映っているんだけど、たぶんこの人は今、自分自身と向き合っているんだろうなと感じられる瞬間がすごく好きです。私の音楽を通して、目の前にいる人が自分の気持ちと向き合ってそこにある光に気づけるようにステージに立っているんだなって。だから今回、自分が音楽を続けていく意義を、私が“家入レオ”になる前から知ってるももちゃんと歌いたいと思って「希望の名前」の歌詞を書きました。私にとっての希望はももちゃんだし、ファンの方なので。
「“もっと自分勝手でいい”って思えるようになってワンステージ上がった」(麻倉)
――楽曲制作やレコーディングはいかがでしたか。
家入:ももちゃんがこの曲を歌ってくれるからには、麻倉ももという人があらためて魅力的に映るようにしたいという責任を勝手に感じていました。彼女の曲では彼女の持ち味がすごく生かされていて、可愛らしさや、その奥にある切なさを感じさせるものばかりで。特に今回の曲では、彼女が普段見せない努力や流してる涙みたいなものも、原点を知っている私だからこそ描けるといいなと思っていました。〈鳴り止まぬ胸の鼓動/掻き消すように叫んだあの日も〉という部分は書きながら絶対ももちゃんに歌ってもらいたいなと思っていました。彼女のステージはみんなを明日に向かわせるような光を放ってる。でも、これは私が勝手に感じていることですけど、その分彼女の中にブルーな気持ちもあるはずで、それを代弁しようと思って書いた歌詞です。なので「ふたりはプリキュア!」って気持ちで歌ってます(笑)。
麻倉:あはははは! 最初にレオちゃんが送ってくれたデモには全編彼女の歌が入っていて、それが本当に素晴らしかったので、そこに私が入っていく不安はあったんですけど。曲は聴いただけで昔ふたりで過ごしたときのことが思い出せるようなものだったので、完成させるのが楽しみでした。
家入:ももちゃんの歌入れにも立ち会わせてもらって、僭越ながらボーカルディレクションもさせていただいたんです。そこで声を聴きながら歌割りを調整したりしました。歌い手としての声抜けも素晴らしかったですし、やっぱり声優さんなので声の使い分けや感性の生かし方など、すごいなと思いました。
――家入さんのボーカルディレクションはいかがでしたか。
麻倉:最初は照れくさかったんです(笑)。
家入:そうだよね(笑)。
麻倉:でもふたりにしかわからない言葉でディレクションをしてもらって、一緒に過ごしてきた時間が長いからこそ感覚で受け取れる部分がありました。
――おふたりのユニゾンの部分も、ふたつの声が混ざり合わないんだけど、すごく馴染んでていいなと思ったんですよね。
家入:わかります!
麻倉:完成してみて私もすごくそう思いました。
家入:だから一緒に歌う部分を増やしたんですよね。お互い全然違う声色なのに邪魔し合わないというか、お互いがお互いを照らし合えるような声質なんだなと思いました。
――それぞれが夢に向かって道を切り拓いてきたからこその、共鳴のようなものや、今だからこそ歌える強さがこの歌から聴こえてきます。「希望の名前」という曲が完成してどう感じていますか。
家入:この曲を私とももちゃんふたりだけの曲にして終わりたいっていうことではなくて、私とももちゃんが出会って東京に出てきて、支えてくれるスタッフの人がいて、その向こう側にファンの方一人ひとりがいるという、みんなの曲にしたい気持ちがありました。私は10代のときは余裕がなくて、私のフェーズをどんどん高めていくために「皆さんの力を貸してください」と思っていたんですけど、最近ちょっとずつ、「どうぞ私の音楽を通して皆さんの魅力も開花させてください」という考え方に変わってきたんですね。いろんな経験を通して、今は同級生と歌ってこんなに心が踊って私が楽しんでるから、きっとファンのみんなも楽しい気持ちになってくれるっていう感覚がわかってきました。これから歌っていく上で、ドキドキワクワクする方を選んでいいんだなっていう次元に来られたのかなと。今までやってきてよかったなって思いました。
麻倉:本当にそうだね。歌っていても、完成した音源を聴いても、当時のことが思い浮かびますし。今、レオちゃんが言ってましたけど、私が楽しませようとするだけじゃなく、私が楽しんでいる姿を見て、ファンの方が喜んでくれたり楽しんでくれるんだっていうのは私も本当に最近気づいたことなんです。今まではお客さんファーストで、「何をしてほしいんだろう」「何が喜ばれるんだろう」ってずっと考えていて。もちろんそれも大切なんですけど、「もっと自分勝手でいいんだ」ってやっと思えるようになってからワンステージ上がったなって。だから今この曲を出す意味って、私たちがただただ楽しくて幸せだっていうことです。それを聴いて、皆さんがそれぞれに何か感じ取ってくれたらいいなと思います。
家入:そうだね。私は今、夢を叶えたとは思っていなくて、でも叶え続けることの難しさに向き合っている時期です。なんで歩みを止めないかというと、私の声を信じてくれたももちゃんと出会えたからだし、ファンの方たちがいてくれるから。でも、これからもまた物語は始まっていくから、「希望の名前」は過去と今と未来を繋げられた1曲になりました。
――3月に日比谷野音での共演(『家入レオ YAON 〜SPRING TREE〜』)もありますが、どんな内容になりそうですか。
家入:もうこれは……パーティじゃない(笑)? 私たちが「希望の名前」を歌って、お客さんがどんな顔して聴いてくれるかなっていうのが、ただただ私は楽しみです。
麻倉:そうだね。私たちのファンの方と一緒に、どんな景色が見えるんだろうってワクワクしています。
■リリース情報
家入レオ×麻倉もも
Digital Single「希望の名前」
2024年2月21日(水)リリース
配信リンク:https://jvcmusic.lnk.to/kibounonamae
■ライブ情報
『家入レオ YAON 〜SPRING TREE〜』
2024年3月16日(土)日比谷野外大音楽堂
OPEN 16:00/START 17:00
出演:家入レオ
2024年3月17日(日)日比谷野外大音楽堂
OPEN 16:00/START 17:00
出演:家入レオ/麻倉もも