LE SSERAFIM、弱さも素直に見せて強さに変えていく 3rdミニアルバム『EASY』発売記念ショーケース

 この日、SAKURA、KIM CHAEWON、HUH YUNJIN、KAZUHAが作詞に参加した「Swan Song」もパフォーマンスされた。事前に公開されたトラックサンプラーでは、一見すると優雅な美しい白鳥が映し出されるが、水面下に目を移すと赤く染まった水を必死にかき分けて進む足かきが見られ、つまりは“表”と“裏”でまったく異なる光景が広がっていた。

 つまり、「すべてを簡単に手に入れたように見えても、実は見えないところで必死に努力して汗水を流している」――それが、本楽曲が包含するメッセージだ。タイトル曲「EASY」同様に、「Swan Song」の振付けにもオールドスクールHIPHOPの要素が用いられている。パフォーマンスの所々に入っているモダンダンスポイントを探してみるのも楽しみ方のひとつかもしれない。ライブやパフォーマンス映像では、5人のメンバーがまるで1羽の白鳥になったようなイントロのフォーメーションにもぜひ注目してほしい。

 今作ではほかにも、醜い現実のなかでも自分の力を信じる「Good Bones」、この世で“Winner”=“勝者”になることを宣言する「Smart」、FEARNOT(ファンの呼称)の愛に応える「We got so much」を含む全5曲が収録されている。各楽曲に込められたメッセージは異なるものの、LE SSERAFIMの根底にある揺るがない“強さ”は、すべてに共通していることがわかるだろう。

 後半の質疑応答では、メンバーの内なる想いが明かされた。「大きく成長したLE SSERAFIMでの日々を振り返って、自分の好きなところは?」という質問で印象的だったのは、HUH YUNJINの回答だ。彼女は「デビュー前も後も本当に一生懸命頑張って、見えないところで努力する自分自身が誇らしいです」と答えたうえで、今回のカムバックで特に大変だった「EASY」に向けて体力を高めるため、毎日3kmずつ走り込み、歌とダンスに励んでいたことを告白した。

 アルバムのメッセージにちなみ、最近LE SSERAFIMが抱える不安や悩み、その克服方法を問われると、同じくHUH YUNJINが、自身は物事を考え込むタイプだとしたうえで、「LE SSERAFIMはいつも堂々とした姿を見せるので、今回どういうことについて話すのか悩みを抱えていました」「人は皆、二面性がありますが、堂々とした姿だけではなく、悩みを抱えるLE SSERAFIMを自分自身だと思って、それを音楽的に解釈して率直な姿を見せることで内面の悩みを克服できたと思います」と話した。

 今回のカムバック期間は、IUやTWICEといった“大スター”たちとも重なるタイミングだ。競争も予想されるなかでどう臨むか問われたKAZUHAは、「大好きで素晴らしい先輩方と同じ時期に活動できてワクワクしていますし、活動しながら教えていただけることもたくさんあると思うので、本当に楽しみです」と期待と覚悟を込めた。その一方で、「私たちにとっていちばん大事な目標は、準備してきたものを、最善を尽くして全力でFEARNOTの皆さんにお見せすることです。私たちが伝えたいエネルギーをお伝えできたら、それだけでも幸せだと思います」と話す姿には、人と比べるのではなく、自分たちが拓く道とファンを信じて進むLE SSERAFIMの在り方を再確認することができた。

 さらに、話題の中心は、今年4月に初出演することが発表された『Coachella Valley Music and Arts Festival』(以下、『コーチェラ』)に。大舞台を控えた気持ちを問われると、KIM CHAEWONは「昔、BLACKPINKさんが『コーチェラ』の舞台に立たれているのを観ながら、“私たちはいつ頃ああいう舞台に立てるんだろう”と夢を見ていたので、思っていたよりも早くチャンスに恵まれて、不思議で光栄で、まだ実感が湧きません」「私たちのチームをより知っていただけるようなチャンスだと思って準備をしていますので、どうぞご期待ください」と回答。SAKURAもこれを受け、「『コーチェラ』出演が決まった時、認めていただいたというよりは今後に期待していただいているということだと思ったので、その期待を遥かに越えられるように練習を重ねています」と謙虚な姿勢を見せていた。

 昨年11月に開催された『2023 MAMA AWARDS』の際、HUH YUNJINがリハーサルをしている様子を客席から観ていたというSAKURAは、次の新しい目標について、「LE SSERAFIMがFEARNOTの前で東京ドームの舞台に立つことができたらいいな」と明るい未来を感じさせた。これまで錚々たる面々が立ってきた夢の舞台に立つ未来への期待や高揚感は計り知れないが、「LE SSERAFIM」という名がすでにそういった大舞台に相応しいと感じられる気がするのは、ひとえに彼女たちが積み重ねてきた時間と実績、努力の賜物だろう。

 グループは間もなくデビュー2周年。新たな挑戦をすれば、これまでとは異なるLE SSERAFIMの姿に驚くこともあるかもしれないが、「素顔になるだけに、お届けできる感動も大きいと思いますし、むしろもっと強くなったと思います。この作品を通じて、LE SSERAFIMがもっと近い存在になってほしいです」というHUH YUNJINの言葉こそが、今回のカムバックの本質ではないだろうか。

 2月中旬から3月上旬にかけて、韓国・ソウルと東京でポップアップストアを同時開催するなど、さまざまな角度から明確にそのブランド名を強固なものにしているLE SSERAFIM。世の常識を真正面から塗り替える彼女たちが見せる本物の“強さ”をぜひ、ミニアルバム『EASY』を通じて体感してほしい。

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