GLAY、今聴きたいライブ曲10選 30周年迎えてもなお更新されるステージでの煌めき
2024年、デビュー30周年を迎える国民的ロックバンド GLAY。『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025』という通年コンセプトを掲げ、キックオフとなる2DAYS公演を埼玉・ベルーナドームで開催(6月8日、9日)することがすでに発表されている。アニバーサリーイヤーには王道のヒットシングルを披露する機会が多くなることを見越して、2023年のGLAYは逆ベクトルに振り切り、光の当たらなかった“影の(THE GHOST)”曲たちに注力。全32公演に及ぶホールツアー『HIGHCOMMUNICATIONS TOUR‐The Ghost of GLAY‐』と、全13公演にわたるアリーナツアー『HIGHCOMMUNICATIONS TOUR‐The Ghost Hunter‐』を開催した。特定のアルバムに紐づかない自由な選曲でセットリストを構成する『HIGHCOMMUNICATIONS TOUR』という人気コンセプトは、約6年ぶりに掲げたものだった。
2023年12月24日、アリーナツアーのファイナルを迎えた愛知・ポートメッセなごや公演の模様が、2月25日にCSチャンネル・日テレプラスにて独占放送&配信される。本稿では、セットリストから「今だからこそライブで見たいGLAYの10曲」を厳選し、オンエア時の見どころも交えたコラムをお届けする。リーダーでありメインコンポーザーのTAKURO(Gt)だけでなく、TERU(Vo)、HISASHI(Gt)、JIRO(Ba)がそれぞれの色を積極的にソングライティングに反映し、バンドの個性を拡張しているのが近年のGLAYの強み。コロナ禍でも立ち止まらず磨き続けてきた歌唱と演奏、それらが合わさったアンサンブルも今こそが最高値を示しており、これからも進化するだろう。停滞とは無縁の、攻め続けるベテラン、GLAY。そんな彼らの最新ライブをぜひ、目撃してほしい。
「3年後」(1998年)
サイケデリックな幻想性に魅入られる、GLAY流プログレッシヴロック。7分30秒に迫るこの大曲は、JIROのベースが粛々と刻むビートに、TAKUROがアルペジオで華やかな音色を散りばめ、そっと幕を開ける(※幕の閉じ方も同様で、対称性が美しい構成となっている)。低音域からハイトーンまで自在に操るTERUの歌声、アウトロで炸裂するHISASHIのエモーショナルなギターソロ。2018年以来のライブ披露となったが、技術・表現両面において円熟期を迎えた4人は、楽曲のポテンシャルを最大限に引き出している。ラブソングだと記憶していた歌詞は、まるで暗喩に満ちた寓話のような印象を帯び、非現実の異空間へとオーディエンスを誘っていくのだった。
「Missing You」(2000年)
GLAYの冬の名曲と言えば「Winter,again」が代表的だが、この上なくドラマティックでライブ映えするダークロックナンバー「Missing You」もまた必聴である。物悲しいストリングスで厳かにスタートし、ヘヴィーなバンドアンサンブルに切り替わると、深層心理に囁き掛けるかのように英詞でシャウトを繰り返す低音コーラス。揺れ動く心模様をそのまま映し込んだように乱高下する主旋律をTERUは絶唱していく。別れの痛みと喪失感を〈あなたを失くした初めての雪〉と表現したパーソナルな恋歌であり、GLAYが否応なく呑み込まれた激動の時代・平成を〈吹雪にも似た〉と喩えたクロニクルでもあり、いずれにせよ、過酷な冬と対峙しながら春の訪れを渇望する、北国で育まれたGLAYというバンドのメンタリティーを肌身で実感できる名曲である。
「生きがい」(1999年)
一聴すると明るく軽妙なのだが、実は驚くほど重くシリアスな歌詞を搭載した明暗ハイブリッドナンバー。孤独や死と向き合い、生きがいとは何か? について真摯な自問自答を繰り返す歌詞は、古くなるどころか、殺伐とした2020年代の今の時代こそ“効き目”があり、心に沁み込んでくる。冒頭、ライブではTAKUROとHISASHIがステージ中央で向き合い、セッションする場面に会場が沸き立った。オンエアされる公演では、TERUとHISASHIが向き合うブレイクで、BUCK-TICKの「JUPITER」を1フレーズ歌い奏でる一幕も。2023年10月に急逝した櫻井敦司への深い敬愛が伝わってくる、忘れ難い場面だった。
「刻は波のように」(2023年)
TERU作詞作曲による朗らかなミディアムナンバーで、疾走感と清涼感に溢れた曲。『HC 2023 episode 2-GHOST TRACK E.P-』収録曲で、アリーナツアーでライブ初披露となった。郷里・函館の海辺を舞台に、離れて暮らす母への思慕を織り込んだ温かな歌詞を綴っており、親への想いをモチーフとした点では、父との関係性を描いた「COLORS」と対を成す。ライブでは、水中をイメージさせる神秘的な映像と眩い照明演出が相乗効果をもたらし、暗闇に決して呑み込まれることのない希望の光を体感することができた。