平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太が吸収してきた音楽 Number_i「GOAT」の多彩なボーカルテクニック

Number_i、歌唱力に反映される好きな音楽

 SpotifyとApple Musicにて、Number_iのアーティストプレイリストが公開されている(※1、2)。

 彼らによるセレクトで構成されたプレイリストは、デビュー曲の「GOAT」にはじまり、メンバーがそれぞれ選んだ5曲を加えたものだ。両プレイリストとも、彼らが普段から聴いている曲を選んだそうで、秘密を共有してもらったような感覚で嬉しくなったファンも多いのではないだろうか。

Number_i - GOAT (Official Music Video)

 ラインナップを見ると、KREVAやC&Kなど過去に彼らの作品に携わってきた名前もあれば、メンバー間で被っているアーティストや曲もいくつか見られる。SpotifyとApple Musicで選曲は異なるが、3人それぞれの特徴をざっくりと挙げるならば、平野紫耀はHIPHOP色強め、神宮寺勇太は邦楽/洋楽バランスよく落ち着いたテイストの楽曲、岸優太はメロウなR&B中心……といったところだろうか。

 アーティストの場合、普段聴いている音楽がアウトプットにも影響することはあるだろう。特に平野の選曲からは、Number_iがデビュー曲にHIPHOP路線を選んだことにも繋がっているように感じた。個人的に、初めて「GOAT」を聴いた時に、真っ先に楽曲との相性のよさを感じたのも平野だった。もとの彼のハスキーな声質もあるが、全体的に唸るような低音で、やや挑発するように歌う表現力。加えて、〈君に見てほしいんだ/マジぶっちぎる Shooting Star〉のパートなど、音の細かい部分でもキレのあるラップをこなすところに感じられるリズム感のよさ。これらは、彼自身が今まで音楽を聴いてきたなかで培われたものなのかもしれない。

 ボーカル観点で見ていくと、「GOAT」のなかで特にテクニカルなラップを披露しているのが岸である。特筆すべきは1分18秒あたりからのパートだろう。〈I need a double bed/バラバラになった空を奪って〉の部分は、歌詞を届けるというよりは、自分の声も“音”にしてしまうような、そんな歌い方をしている。岸は曲に合わせて声色を変えてくる器用さも武器だと思うが、それが存分に発揮されているパートだろう。先述した平野のパートと同じ歌詞で〈君に見てほしいんだ/マジぶっちぎる Shooting Star〉と岸が歌う部分にいたっては、平野よりもさらにリズムを崩して話すように歌っているため、まったく別のフレーズにさえ聴こえてくる。それで不自然に感じさせないのだから、見事だと思う。岸の選曲は横ノリのグルーヴ感の強い曲が多いので、楽曲を聴く時もリズムの心地好さを意識していて、それが自然と彼自身の歌唱にも活かされているのかもしれない。

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