香取慎吾のビートたけし役に絶賛の声 明石家さんまとの“関係”への理解が鍵に

 香取慎吾の演技力に絶賛の声が上がっている。11月26日にオンエアされた特番『誰も知らない明石家さんま』第9弾(日本テレビ系)内のスペシャルドラマ『笑いに魂を売った男たち』にて、香取がビートたけし役を演じたのだ。香取がInstagramにアップしたオフショットは、まさに誰もが知る「慎吾ちゃん」そのものの表情だが、オンエアを見た視聴者からはその佇まいが「ビートたけしにしか見えない」と話題を集めた。

 『笑いに魂を売った男たち』は、明石家さんまとビートたけしの30年以上にもおよぶ友情物語をドラマ化したもの。明石家さんま役を岩田剛典が務め、ドラマを観ながら明石家さんま本人も「かっこいい〜」と照れ笑い。というのも『誰も知らない明石家さんま』では、これまで菅田将暉に始まり、北村匠海、斎藤工、成田凌など、数々の俳優が明石家さんま役で出演することでおなじみに。

 今回もそのお決まりのパターンといったところだったのだ。だが、伝説的番組『オレたちひょうきん族』で人気を博したキャラクターのブラックデビルを再現した岩田のあまりにも美しすぎる仕上がりに、別の意味で笑いが起こる場面も。勢いと野心あふれる若き日の明石家さんまを岩田が爽やかに演じた。

 
 
 
 
 
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 一方で、このドラマのキーを握るのが、他ならぬビートたけしだ。東京ではまだ駆け出しの明石家さんまに対して、すでにお笑い界を引っ張る存在になっていたビートたけし。その関係性は、視聴者がテレビで観てきた“さんまとたけし”のイメージよりも、ずっと緊張感のある関係性だったようだ。

 そのピリッとした空気感をドラマを観る私たちにも伝わるように作り出していたのが、香取がビートたけしとして放つ風格とオーラ。香取がタケちゃんマンの衣装を身にまとって楽屋に入ってくる堂々とした足取りだけで、明石家さんまも「う〜わ」と声を漏らしてしまうほど。

 そして、初共演というタイミングにもかかわらず、明石家さんまが台本を無視して笑いを取りにいく印象的なシーンでは、その暴走っぷりに戸惑いながらも状況を理解して笑いを返していくビートたけしを忠実に再現する香取。その動きに明石家さんまは「いやー、香取すごい」と、思わず目を細めて当時を思い出していたようだった。

 劇中で「たけしさんはシャイだから」と言われていたように、ビートたけしはスタッフや共演者とほとんど目を合わせず、会話も必要最低限しかしない。それだけに、物言わぬシーンにこそビートたけしの心情がにじみ出る。

 そっけなく話しているようで、実はしっかりと明石家さんまの才能を認めていることがわかる視線の配り方に、興味を持っていないようでちゃんと知ってくれていることがわかる少し猫背の背中……。その一つひとつの仕草に「香取すごいな。いや、もう深掘りしとる」と明石家さんまの称賛が止まらなかった。

 なぜ、香取がこれほどビートたけし役を好演することができたのだろうか。それは、香取がこれまで培ってきたキャリアと、彼を取り巻く環境が大きくリンクしているように思う。

 まずは、香取はこれまでパロディとして多くの有名人やキャラクターに扮してきた経験がある。『SMAP×SMAP』のコントコーナーや、『笑っていいとも!』の年末特大号(いずれもフジテレビ系)などで度々披露されてきたことでも、多くの人の記憶に残るところだろう。

 それはバラエティ番組の一幕であったことから、サラッと見過ごされてしまいがちだが、その人の特徴を分析して掴んできた数は相当なもの。特徴的な動きや口調を瞬間的に真似る“ものまね”とは異なり、その人格になりきったままコントという演技をしなければならない。

 性別や国籍を超えることはもちろん、漫画やドラマのキャラクターに扮することも多々あった。どんな特徴を掴めば、その人っぽさが出るか。生きた人格として演技が成立するか。その膨大な経験値が彼のなかに蓄積されている。だからこそ、笑いなしで演じるとここまで憑依することができるのだと思い知らされただけなのだ。

 しかし、単に特徴を模倣するだけでは、これほど体格も声質も違う香取とビートたけしが重なって見えることはない。香取はビートたけし役を演じた感想として、香取は「たけしさんにとって、さんまさんは心を落ち着かせてくれる人を見つけたのかなというか」「セリフでは“ちょっとやってみる?”ぐらいに言ってるけど、(心のなかでは)すごいホッとして“こんな素敵な才能が現れたら、自分もまだまだいけるんじゃないか”って思わせてくれた人なんじゃないかなと思いました」とコメント。まさに明石家さんまが感じた“深掘り”の部分だろう。

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