新たな命を吹き込んだ全11曲「まだまだ歌ってみたい曲がある」

――リードトラックとなっているのは、「Lifetime Respect feat. DOZAN11」です。まず、仲宗根さんがレゲエを歌うというマッチングの面白さがありますよね。

仲宗根：そうそう！　たぶんファンの方々も私がレゲエを歌うイメージはないと思うので、「カバーとしてこう歌うんじゃないか？」という想像が浮かびづらいはずなんですよ。そこに面白さを感じたんですよね。もちろん私は原曲が大好きだったし、三木道三（DOZAN11）さんの特徴的な声にも惹かれていたので、じゃあご本人と一緒に歌えたらもっとおもしろい相乗効果が生まれるんじゃないかなっていうアイデアが湧いてきて。

――そう、この曲はオリジナルアーティストをフィーチャリングした贅沢なカバーになっているんですよね。

仲宗根：本当に贅沢ですよね。だって私がメインを歌って、道三さんはハモりに回ってるわけですから。「もうすみません！」って思いながら（笑）。道三さんは「好きにやっていいよ」と言ってくださったので、今回は歌詞も少し短くアレンジさせてもらったんです。道三さんの心の広さに応えられるよう、この曲に込められた思いを私なりにしっかり伝えなきゃという強い気持ちでレコーディングに臨みましたね。

――レコーディングは一緒にやられたんですか？

仲宗根：沖縄と大阪で別々に録りました。私が歌った後に道三さんが声を入れてくださって。ふたりの声が入ったものを聴いた時は、想像していた以上の仕上がりに感動してしまって。言葉が出ない感じでした。で、そのあとにMVの撮影があって、そこで初めて道三さんとお会いすることができたんですよね。「怖い方なのかな？」とドキドキしていたんですけど、実際は本当に気のいいおじちゃんみたいな感じでした（笑）。

――この曲に関しては原曲の歌詞をどう解釈して歌っていった感じですか？

仲宗根：原曲は男女の話として書かれたものだとは思うんですけど、私は周りにいる大切な人たち、仲間や家族に対して「みんな幸せになってほしい」という気持ちを込めて歌いましたね。男性目線で女の人に対して歌った曲ではあるけど、私と道三さんが半分こで歌うことによって、男女両方の気持ちを込められたというか。性別関係なく、すべての人に届いてほしい曲になったような気がします。サウンド感も含め、結婚式とかで流してもらえたら嬉しいですね。

――「TRAIN-TRAIN」（THE BLUE HEARTS）が選曲されたことにも面白さを感じました。HYがバンドであることを考えれば突拍子もない選択ではないけれど、仲宗根さんが歌うことに関しては、いい意味での意外性がありますよね。

仲宗根：「Lifetime Respect」と同じラインですよね。私が歌うイメージが浮かばないだろうという理由で選びました。今回収録している曲は愛や友情を歌っている曲が多いんですけど、「TRAIN-TRAIN」だけは自分の人生や世のなかに対しての思いに視線を合わせて歌われている曲になっていて。それを、私はあえて大草原のなかで生活をしている民族をイメージするようなサウンドの上で、この曲をよく聴いていた中学生の頃の純粋さを思い出しながら歌っていきました。

――サウンドや歌い方でルーツをしっかり感じさせてくれる曲も多いですよね。それが仲宗根さんの歌うカバーの意味をちゃんと提示していて。

仲宗根：かりゆし58の「恋人よ」やMONGOL800の「あなたに」なんかは、私が歌う意味をやっぱりちゃんと持たせたかったんです。私と同じ故郷を持つバンドの曲だからこそ、エッセンスとして沖縄民謡っぽく歌いましたね。

――「木蘭の涙」（スターダストレビュー）には三線の音色が使われていますよね。

仲宗根：そうそう。でも、この曲では普段の歌い方をしているんですよ。三線を入れたうえでさらに民謡っぽい歌い方をしてしまうと、あまりに沖縄っぽさが強くなってしまうじゃないですか。ルーツを感じてはもらいたいけれども、あまり過剰になりすぎるのもよくないかなって。そのバランスを探っていくのは難しかったかもしれないです。

――「もう恋なんてしない」（槇原敬之）ではゴスペルっぽいコーラスが入っていて。これも仲宗根さんにとってのひとつのルーツですよね。

仲宗根：私の大好きなブラックミュージックのエッセンスをどうしても入れたかったんです。ただ、あのゴスペルコーラスがすごく大変で。全部で7人分くらいの声が入ってるんですけど、それを私ひとりですべて歌ってるんですよ。各ラインを何十回と歌うので、もうノドから血が出るんじゃないかと思って（笑）。

――それだけ大変な思いをしてでも入れたい要素だったということですよね。

仲宗根：そうです。私が作詞作曲をするきっかけとなった、大好きな槇原敬之さんの曲ですからね。オリジナルのよさに自分の好きなものをいいバランスで織り交ぜながら、大事に歌わせていただきたいという思いが強かったので。本当に憧れの方なので、このカバーを聴いてどう思ってくださるのか……。感想を聞くのは怖いけど、でも知りたい気持ちもありますね。でもやっぱり怖いです（笑）。

――あははは。そして、ボーナストラックには清水翔太さんの「アイシテル」が収録されています。

仲宗根：翔太も私と同じで、ブラックミュージックがすごく好きなんですよね。この「アイシテル」にもそのテイストが溢れている。それと同時に、私はこの曲からは切なくて悲しい昭和のニュアンスも感じるんですよ。そこがすごく好きなところでもあるので、今回はよりシンプルに、“仲宗根泉”ならではの表現を考えながら歌わせてもらいました。なかなか難しかったです。

――収録曲の原曲アーティストのなかではいちばん若手だし、仲宗根さんとの関係性も他の方とは少し違う感じがありますよね。

仲宗根：そうですね。他の方々は私が追いかけているというか、近づけもしないぐらいの偉大な先輩なんですよね。でも翔太の場合は、近くで仲よくさせてもらっている関係性だったので、ボーナストラックとして「アイシテル」を入れたいなと思いました。

――「もはや仲宗根さんの曲では？」とも思えるくらい、しっくりくるカバーになっていると思います。

仲宗根：ありがとうございます。そう言ってもらえるものに仕上がったのだとしたら、カバーをやった意味がありますね（笑）。私なりに新しい命を吹き込む気持ちですべての曲を歌ったので、その言葉はすごく嬉しいです。

――これだけの作品が完成したとなると、カバーアルバム第2弾にも期待したいですけどね。

仲宗根：えー！　大きく書いておいてください（笑）。でも、今回初めてカバーをやってみて、楽しさを感じたので、また機会があったらやってみたいなとは思っています。次もしやるとしても、また男性曲のカバーになるんじゃないかな？　まだまだ歌ってみたい曲があるので。

仲宗根泉 撮り下ろし写真一覧

■リリース情報
『灯 -10 Cover Songs-』
2023年11月22日(水)発売
配信URL：https://IzumiNakasone.lnk.to/Tomoshibi

■イベント情報
『Izu meets to talk／イズミーとトーク』
2023年12月2日（土）東京・青山GRAND HALL
2023年12月3日（日）大阪・心斎橋SUN HALL
2023年12月9日（土）沖縄・スクラッチ
詳細はこちら：https://hy-road.net/contents/687530

■フェス情報
『HY SKY Fes 2024 ＆前夜祭』

＜日程＞
2024年3月22日（金）前夜祭
2024年3月23日（土）DAY1
2024年3月24日（日）DAY2

＜場所＞沖縄県総合運動公園 多目的広場

『HY SKY Fes 2024 ＆前夜祭』オフィシャルサイト：https://skyfes.net
チケット先行販売中：https://skyfes.net/contents/topics/ticket

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