NiziU、韓国デビュー曲「HEARTRIS」をしっかり花開かせた力量 グループの歴史の新たな一歩に
しかし個人的にリピートしてしまっているのは、リード曲ではなくカップリングの「Lucky Star」だったりする。まず、ぐいぐいと進んでいく平歌のビートから跳ねた4つ打ちのサビになだれこむ爽やかな開放感がいい。また、ところどころでヨレるシンセのリフは、ソウルのレコードをピッチを上げてサンプリングしたような(いわゆるチップマンクソウル的な)変な質感がある。“sped up”や“nightcore”と言ってもいいが。サビでガッツリ鳴らすにはやや妙な音色とシーケンスだと思うのだけれど、つい気になって何度も何度も聴いてしまう。思うつぼということだろうか……。
「HEARTRIS」も「Lucky Star」も新奇さがあるとか突き抜けた名曲というわけではないかもしれない。むしろ手堅いと言ったほうがいいだろう。とはいえ、手堅さをしっかりポップとして花開かせられるかこそがグループの力の見せどころだと言えよう。
その観点から聴くと、バラード曲「Paradise」の韓国語バージョンは、韓国デビューを果たすまでの3年間の短くも濃い重みを感じる仕上がりになっているように思う。グループの歴史に新たな1ページを書き加えるたしかな一歩として、『Press Play』は申し分ないだろう。