“関西ゼロ世代”のDNAはどう受け継がれた? GEZAN、おとぼけビ~バ~、モーモーから新世代バンドまで

難波BEARSで活動する新世代アーティストたち

 こうしたゼロ世代イズムを牽引してきたのはこれまでも触れた通り、難波BEARSという場所であろう。最後に同会場を拠点に活動する若手から、注目したいアーティストを紹介する。

 1組目は黒岩あすか。ガットギターと柔らかな音色と耳元でささやいているかのような歌声で、抒情的ながらも水墨画じみた濃淡さで日常を描く。近年では澤野祥三(Gt)、須原敬三(Ba)、senoo ricky(Dr)というメンバーを加え、黒岩あすかと夜という名義で、年に数回のペースでライブ活動を行っている。

黒岩あすか - 呪い(MV)

 2組目はタカハシシカロ(Gt/Vo)と染谷藍(Toy/Cho)による2人組バンド・沼。フォーキーで柔らかい歌声とトイ楽器(おもちゃの鉄琴やキーボード、縦笛、鍵盤ハーモニカなど)による懐かしい音色も合わさり、ノスタルジックなサウンドスケープを感じさせる。

沼 - たよりない白

 どちらも一見「関西ゼロ世代」のようなアバンギャルドな音楽性やステージとは、かけ離れた存在のようにも感じる。だが個人的にはアーティスト自身が1つのジャンルを体現していることが、ゼロ世代イズムの持ち味だと思う。他のバンドとは一味もふた味も違う、個性の固まり。そういう意味ではこの2組もまた、私にとってはゼロ世代のイズムを受け継いだアーティストだと感じる。

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