【EXPG STUDIO対談 Vol.02】NOB×GENERATIONS 中務裕太、育成における“自由度と対話”の大切さ
「人間力を学べるのがEXPGの良いところ」(中務)
――そうやって先輩から直接学ぶこともありつつ、Z世代のアーティストを見ていると、TikTokやSNSが当たり前にあるからか、デビュー前からセルフプロデュース力の高い方が多いなと感じます。
NOB:確かに、人前で踊る恥ずかしさは、昔の生徒よりもないなって思いますね。裕太とか玲於の世代って、ステージに上がるとちゃんと踊るけど、照れ屋さんが多かったんですよ。
中務:そうですね(笑)。
NOB:それと比べると、今の子たちはすごく堂々と踊っていますし、人から見られることに対して嬉しさを感じているなって思います。例えばKID PHENOMENONにも大阪校出身の子がいるんですけど、彼らもEXPG生の頃から、ちょっと異質な存在感を放っていました。
中務:SNSにダンス動画を上げるのが当たり前になっている今、SNS上でもEXPGのレッスンでも、目を惹かれる子が増えましたよね。昔は「おっ、上手いな」って思う子がそんなにいなかったんですけど、今は表舞台に出ていないだけで、ダンススキルの高い子を目にする機会が増えました。しかも、僕がダンスを始めた頃は「ダンスは女の子がやるものだ」っていう偏見もあったんですけど、今は性別問わずにダンスが流行っているので、いちダンス好きとして嬉しいです。
――他に、近年の生徒を見て感じていることはありますか?
NOB:生徒一人ひとり、家庭環境や入ってくる理由は異なりますし、どの時代であっても、全員に同じ指導が通じるわけではないんですけど、コロナ禍ではそれを特に痛感しましたね。僕はコロナ禍に入る前に4年ほど東京に戻っていたんですが、コロナ禍で本部の仕事が減ってきたのを機に、2年ほど再び大阪に戻っていまして。2020年4月にEXPG高等学院が開校し、大阪校も始まったので、その現場で教えるようになったんです。そしたら、コロナ禍で外にも出られず、抑圧された子たちがどんどん入ってきて。僕が最後に担当した高1の子たちなんかは、中学3年間が丸々コロナ禍で苦しい想いをしていました。そういう世代と高3の子たちとでは、全然雰囲気が違うなと思いましたね。でも、どんな子に対してもこれまでと変わらず、まずは信頼してもらおうと思っていました。
――大阪校の校長時代も「300人の生徒、ほぼ全員と面談した」とおっしゃっていましたが、それと同じようにじっくり話すことから始めたんですか。
NOB:そうです。さっき裕太が「LDHの男子は根性があればなんとかなる」って言いましたけど、根性論だけだと、多くの生徒は芯が育たないので。
――芯というと?
NOB:「絶対アーティストになってやる!」っていう強い気持ちです。裕太みたいに気合いの入っている子はいいんですけど、自分1人で芯を育てていくのって結構難しくて。昔は根性論でやっていた時期もあるけど、最近はちゃんと理解できるまで話さないと、自分が今何をするべきか、どのように夢を実現するか、理解できない子が多いんですよね。例えば(砂田)将宏は、当時はプロサッカー選手になるか、アーティストを目指すのか、ギリギリまで悩んでいたので、ご両親を交えて相談しましたね。僕からは「どっちでも僕は応援するけど、最終的には自分で決めなさい」と伝えていました。その結果、自らポルトガルに行って、本場の経験を経てアーティストになることを決意したみたいです。そうやって寄り添って、本人と一緒に芯を育てていくことが、僕らの役割だと思っています。
――生徒とインストラクター、両方を経験した裕太さんは、EXPGの魅力はどういったところだと思いますか?
中務:ただ単にダンスを教えるだけじゃないことですね。ちゃんと人間力を学べるのがEXPGの良いところだなって思います。特にKIDSの子が敬語を使えるのって、EXPGくらいじゃないですか(笑)。
――EXPGに来るたび、四方八方から挨拶されますもんね(笑)。LDHのアーティストも、皆さん礼儀正しい方ばかりですし。
中務:ありがとうございます。EXPGで人間性を鍛えられて、そのままアーティストになっていくので、そう言っていただけるのかなと。これはEXPGの武器だなって思います。
「EXPGから新たなエンタテインメントが生まれてることを知ってほしい」(NOB)
――人間性を育てるという意識は、NOBさんもありますか?
NOB:そうですね。ダンスっていう本人が好きなものを介することで、子どもたちも理解しやすいと思うんですよ。裕太ももともとは尖ってたんですけど、イントラをするようになってからは、すごく変わりましたからね。屋外のイベントに出た際、一緒に出てたKIDS時代の力也をトイレに連れて行ってくれたりして(笑)。
中務:あはははは。
NOB:そういう姿を見て、ちょっとした環境の変化や僕らの接し方によって、みんな成長していくんだなって思いました。なので、社員にも契約イントラの方々にも、「人間性を育てる」というのを共通認識として伝えています。子どもが急に「ありがとう」って言えるようになったりしたら親御さんも嬉しいと思いますし、EXPGに通わせてよかったなって思ってもらえるように、そこは今後も大事にしていきたいですね。
――では最後に、今後の展望を聞かせてください。
中務:僕は引き続き、プレイヤーとして活動していきますが、その一方で育成にもすごく興味があるので、世界に発信していけるアーティストや俳優を育てたり、プロデュースしていきたいですね。現役アーティストが他のアーティストをプロデュースするのは、大変なこともたくさんありますけど、NOBさんやTETSUYAさんをはじめ、たくさんの方が助けてくださるので、皆さんと一緒にEXPGをもっと大きなスタジオにしていけたらと思っています。
NOB:EXPG運営の立場としては、『iCON Z』オーディション(『iCON Z 〜Dreams For Children〜』)を機に、EXPG Labに所属していた生徒が一気にアーティストデビューしていったので、今はアーティスト予備軍の子たちがちょっと減っているんですが、だからこそ、今後はEXPG Labの活動内容をより濃いものにしたいなと思っています。そういう狙いもあって、もともとアーティスト予備軍として活動している子たちには、裕太が「SSS」という名前をつけてくれて。ØMIがプロデュースしている「CDL academy」(『iCON Z』ガールズ部門の参加者が在籍)、『D.LEAGUE』などで活動するダンスのプロが在籍する「EXPG Pro」という3部門が、現在のEXPG Labにはあります。そして、EXPG Labがひとつのアーティストとして曲を出していく、みたいなこともやりたいと思っていまして。現在、8月から11月にかけて、EXPG Labの発表会『EXPG ENTERTAINMENT THE STAGE 2023 ~BIRTH OF STARS~』を回っているんですけど、そこでも全曲オリジナル曲を披露しています。
――昨年12月に「CDL academy」のメンバーが多数参加しているグループ“CDL ∞”のデジタルシングル「CRASH & BURN」がリリースされ、話題になったことも記憶に新しいですが、そういったことが今後続くのでしょうか。
NOB:『THE STAGE』で披露した楽曲も、終演後に順次配信していく予定です。そうすることで、ただの育成スタジオではなく、EXPGからも新たなエンタテインメントが生まれていることを知ってもらえたらいいですね。
――47都道府県にEXPGが開校する日も近そうですね。
中務:本音を言えば、47都道府県に開校したいですよね?(笑)
NOB:まぁね(笑)。でも、すぐに実現するのは難しそうなので、まずはexpg familyという形で、ライトなスタジオを全国に増やしていけたらいいなと。その中で新たな原石と出会えたらいいなと思っています。
※1:https://realsound.jp/2023/02/post-1249671.html
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