[Alexandros]、電気グルーヴ、羊文学、フレデリック……福島出身ライターが推す音楽フェス『LIVE AZUMA 2023』の魅力

『LIVE AZUMA 2023』の魅力

 音楽フェス『LIVE AZUMA 2023』が、10月14日、15日に福島県福島市・あづま総合運動公園で開催される。

 筆者は2021年に同会場で行われた前身イベント『PARK LIFE 2021』から、昨年初開催となった『LIVE AZUMA 2022』、そして今年を含め、オフィシャルライターとして当日のSNS用のクイックレポートやアフターレポートなどを担当している。当初はコネクションがなかったため、公式サイトの問い合わせフォームから「何かお手伝いができたら」という旨を担当者に伝えた。そこに記した、イベントに惹かれたポイントというのが「あづま総合運動公園という場所」「アーティストのラインナップ」の大きく2つだった。

 あづま総合運動公園は、福島の人々にとっては馴染み深いスポーツパークだ。緑豊かな自然に囲まれ、運動施設や広場などで家族が楽しめる公園。秋になると見頃のイチョウ並木は多くの観光客が訪れるスポットであり、ほど近くにある水林自然林は福島市出身の作曲家・古関裕而をモデルとした朝ドラ『エール』(NHK総合)のタイトルバックのロケ地として広く知られている。そして、フェスのメインステージとなる福島あづま球場は、『東京2020オリンピック』で金メダルを獲得したソフトボール日本代表が熱戦を繰り広げた場所だ。

 子供の頃、近くに住んでいた筆者は、学校終わりによく自転車で公園に遊びに行っていた。その思い出の詰まった場所で音楽フェスが行われるというのも主催者に連絡をしようとした動機にあるが、吾妻連峰を望む美しいロケーションに、整備されたクリーンな施設、面積100ヘクタールにも及ぶ広大な敷地は、客観的に見てもフェスに適した場所だったのだと改めて気づかされたからだ。

 2日間で延べ2万人を超える来場者を記録した実質の初開催となった昨年は、会場がその人数を受け皿として許容しながら来場者一人ひとりが快適に過ごせていた印象だ。今年の『LIVE AZUMA』は先述したあづま球場をAZUMA STAGEとしてメインに据え、スタジアム周辺にはサブステージにあたるPARK STAGEを設け、アート・グルメ・マーケットを主軸としたエリア「PARK LIFE 2023」を展開する。いわゆる音楽フェスと入場無料のフードフェスの融合型。今年も70~80店舗が出店し、福島だけでなく、東北各県のフードや雑貨を主体としたマルシェを楽しむことができる。昨年、筆者は当日のレポートに追われ、ほとんど周辺を見ることはできなかったが、マルシェを堪能していた両親から聞くところによると、漏れ聴こえてくるステージの音も心地良い空間を作り出していたようだ(時間的に七尾旅人だとピンときた)。

 『SUMMER SONIC』を始めとする様々なフェスや来日公演等を企画制作するプロモーター会社 クリエイティブマンが主催として参加していることは、初開催とは思えない満足度と地元民からの信頼を獲得していたように思う。彩り豊かな装飾に、ステージ演出など、『SUMMER SONIC』をイメージさせる部分は随所にありながら、それが最も顕著に表れているのがアーティストのラインナップだ。

『LIVE AZUMA 2023』ラインナップ
『LIVE AZUMA 2023』ラインナップ

 『PARK LIFE 2021』のヘッドライナーを務めたのはくるりとCHAI、昨年の『LIVE AZUMA 2022』ではストレイテナーとユニコーン、今年の『LIVE AZUMA 2023』では電気グルーヴ(10月14日出演)と[Alexandros](10月15日出演)が各日のトリを張っている。ストレイテナーのホリエアツシは、世代やジャンルは関係なく、それぞれが好きな音を鳴らすフェスでトリを務められることに「この上なく光栄です」と満面の笑みで話していたが、その言葉の通りに『LIVE AZUMA』はロック、オルタナ、ヒップホップと様々なジャンルの坩堝となっていながら、一本の確かな軸があるのが特徴。それは『PARK LIFE 2021』の頃から明らかで、これまでとは一線を画した新しい福島のフェスが始まるのだとワクワクしたのを覚えている。特にヒップホップは少なからず福島とは縁遠いジャンルだった。10月14日のPARK STAGEの色濃くドープな雰囲気は、C.O.S.A.、Daichi Yamamotoといったアーティストが今年は作り出し、AZUMA STAGEでのSTUTSへとフィーチャリングゲストとして流入していく、のかもしれない。10月15日のAwich+SOIL&”PIMP”SESSIONSは、言わずもがな見逃せないこの日限りのアクトだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる