ちゃんもも◎がポジティブなマインドにたどり着くまで 容姿やセクシュアリティへの悩み、両親の死を赤裸々に語る

ちゃんもも◎が手にしたポジティブなマインド

 アイドル、作家、タレントなど幅広く活動しながらSNS上でポジティブなメッセージを発信するちゃんもも◎(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIでは大桃子サンライズ名義)。美容整形の公表やトム・ブラウン みちおとの交際発表など、自身を赤裸々にさらけ出す彼女の前向きなマインドはどこから生まれるのか。容姿にコンプレックスを抱き「消えたい」と思ったこともあった幼少期から、両親を癌で亡くした経験、セクシュアリティに悩んだ時期を経てたどり着いた一つの答えまで、包み隠さず語ってくれた。(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

心が明るく生きられる状態が本当の自分

ちゃんもも◎

ーー自分の容姿が気になり始めたのは、何歳くらいからだったのでしょうか?

ちゃんもも◎:幼稚園の頃からアイドルやテレビに出ている人たちに対して「かわいい!」「私も絶対にああいうふうになろう!」と思っていたんです。でも、大きくなって実際にオーディションを受けることになり、親に写真を撮ってもらったら、そこに映る自分が思っていた自分と全然違っていて……(笑)。

 子供の頃、自分はかわいい!と思って生きてきて、自我が成熟した頃に人と自分の容姿を比べるようになったり、比べられている自覚が芽生えると「どうやら違うらしい、、!」というショックにぶつかったりするんです。同じような気持ちを経験した人は多いと思います。

 幼心にも結構苦しくて、どうして私は、テレビや雑誌に出ている女の子たちと、こんなにも容姿が違うんだろうと、芸能界に入りたいという夢と現実の差にメンタルが削られていったんです。それぐらい強い夢だったから、小学生の頃には醜形恐怖(症)になり、小4の頃にはそれがきっかけで自殺未遂をするくらい悩んでいました。

ーー小学4年生で、そこまで思い詰めてしまったのですね。

ちゃんもも◎:思い詰めることに関しては他にも要因はあって、自分の中で、壮大な「この世の中に対する生きづらさ」があったんです。幼稚園から小学生になり、友達とは楽しく仲良くやっていけるけど、先生や組織と本当に合わない。協調性の意味も分からない頃ですから、やりたくないことを「やって」と言われたり、人と同じにしなければいけないというのがすごく苦痛で……。学校の勉強とは違うことにいつも興味があって、図鑑や雑誌、テレビで熱心に学ぶんですが、先生からはそれに寄り添うというより反逆者としての扱いをされていたから、私側も子供なので自分の存在自体がだんだん恥みたいに思えてくるんですよね。それが原因で親にも連絡が行くし、英会話教室をクビになったりするし(笑)。親や友達、一部の先生が味方でいてくれたことは救いでした。

ーー今でこそ、個性や多様性などが認められるようになりましたが、今でもやっぱり協調性からは逃れられないと思うことが多々あるし、それこそ昔は、みんなと同じでなければという教育が主流でしたからね。

ちゃんもも◎:特に教育は今とは違う感じでしたよね。

ーー見た目に対するコンプレックスは、どう解決しようと考えたのでしょうか。

ちゃんもも◎:小6のときに、「どうしてこんな姿に産んだの」という気持ちになっていた自分に、母が自分も整形をしていると打ち明けてくれたんです。それで、大人になったら自分でお金を貯めて整形していいからねと言ってくれて。私は二重にしたいという強い気持ちがあったので、二重にするメイク道具も買ってくれました。そこから少しずつ世界が変わっていく感じがしました。

ーーそれで世界が変わったり、自分に自信が持てるようになるのならば、良いことのように思います。

ちゃんもも◎:でも、二重のりとかは身体的にはあまり良くなくて、それを5年とか10年やり続けると瞼の皮膚とか、そこにある薄い筋肉が伸びてしまうので、その後に整形をしても目があまり大きく見えなかったり、後々に響いてくると言われているんです。私自身も高校生の頃にはまぶたがボロボロでケロイドのようになっていました。だからいずれ整形する予定があるのならば、早いほうがいいと個人的には思います。瞼の上にひとつ線が入るだけで人生が救われるのならば、健康的な面を考えてもプチ整形をするほうがずっとリスクも低いと思うので。だから私に相談をしに来る人には、将来的にやる予定があるなら早いほうがいいよと伝えています。

ーーそうなんですね。

ちゃんもも◎:心が明るく生きられる状態が、本当の自分だと思うから、ダイエットとか美容院に行くような気軽さで、しても良いことなのかもなって思っています。

ーーダイエットなどもしていたのですか?

ちゃんもも◎:思春期に入ってからは脂肪がつきやすい体になってしまって。14歳でグラビアデビューをするんですけど、社長からダイエットをしてほしいと親に連絡が入り、ダイエットをすると決めて、2週間で8キロ痩せました。腹筋が割れるくらい体脂肪も落として、無事に仕事が決まったり、そこはストイックに頑張りました。

ーー自分が変わることに関しては、情熱を注ぐことができる?

ちゃんもも◎:私の場合はそこに「夢」というものが乗っかっていたからだと思います。これが自分の仕事には必要だと思ったし、何があってもここで成功したい! という強い気持ちがあったので、死んでもいい! って思うくらい、頑張れました(笑)。やっぱり若いときってすごく頑張れるじゃないですか。中学生くらいの時って、特にそのエネルギーがあるので。

ポジティブなマインド作りがこの世界の全てという考え方に

ちゃんもも◎

ーーちゃんもも◎さんは、若くして実家を出られていますよね。これはどういった理由で?

ちゃんもも◎:上京をしたんです。18歳を過ぎたら、高校生である期間が何をするにも邪魔だなと思って、その間も学校というシステムとの不調和は続いていましたから、高3の11月で学校を辞めて。仕事が色々できるようになると思い、上京しました。早く整形もしたかったですし、私はなりたいものが明確だったから、そのためだけに生きてきたなって思います。

ーーその後、ご両親を癌で亡くしてしまいます。これは受け止めるには大きすぎる出来事だと思いますが、それをどう乗り越えられたのでしょう。

ちゃんもも◎:やっぱりそれが人生の中で一番大きな出来事で、起こる前の自分と、あとの自分では考え方が180度変わりました。本当にこの世では何でも起きうるんだなと思ったし、気持ちも折れてしまったんですね。幼少期には笑ってしまうレベルの貧困的な経験もしていますし、自分の容姿に悩む姿も沢山見せてしまったので、恩返しとして何か結果や充実している姿を親に見せたかったし、将来的に養いたい気持ちもあったんですけど、それもあまりできないまま亡くなってしまって。オーディションに連続で受かって、母が入院しているときに、テレビに映っている姿を見せられはしたんですけど、私自身の心は本当に折れてしまい……。

 父も母も入院中も私のことを待ち受けにしたり、すごく応援してくれてたんですが、あまりの悲しみや、打ちひしがれる時間もないほど家族の死にあたって待ち受けているあらゆる手続きをするなかで身も心もボロボロになってしまい、事務所も仕事も全て辞めて、廃人のような生活をしていたんです。しばらくは泣き叫ぶか、ぼーっとしているだけだったんですけど、20歳になって半年が経ったころ、今でもよく覚えているんですけど、突然考え方が変わったんです。「自分の人生を生きなきゃ!」って急に思って、肉体をリサイクルする感覚で「ちゃんもも◎になる!」と決めたんです。 

ーー何かきっかけがあったわけではないんですね。

ちゃんもも◎:本当に突然でした。その頃、シェアハウス「渋家(しぶはうす)」に住んでいて、仲間に支えられながら生きていたんですけど、突然パーンと開けたんです。それまでは自分の生きている意味とかも考えたことはなかったんですけど、「今生」というものがあったとして、誰しもいつ死ぬかは分からない。でも私の両親は癌で亡くなり、遺伝のリスクがあると病院でも言われたんです。だから私もいつどうなるか分からないし、そこで大人になる音がしたというか。急に生きることを重んじるようになったんです。そこからポジティブなマインド作りが、この世界の全てという考え方になっていきました。

ーー突然考え方が変わるというのは実は理解はできて。明日死なない保証なんて誰にもないということを本当の意味で悟った瞬間があって、そのときに、生きているだけで楽しいなという思考になった経験が自分にもあるんです。

ちゃんもも◎:それは素晴らしい。これは椎名林檎さんが言っていたことでもあるんですけど……私、めちゃめちゃ椎名林檎さんを尊敬しているんですね。それで「死」というものをネガティブに捉えて隠す風潮があるけど、そうすると「死」が現実感のないものになってしまうと。本来仏教的な観点で言えば「死」っていつ起きてもおかしくないことだし、そもそも「死」は悪いものではない、というようなことを言っていて。私もそれにすごく共感したんですね。「死」があるから「生」というものが急激に明確化すると思うし、表裏一体で善でも悪でもないと、私も思っているんです。

ーー分かります。

ちゃんもも◎:解釈はいろいろあるんですけど、日本の昔からの考え方で「ハレとケ」というものがあって、そこではお葬式ってハレの場所とされていると知りました。だからお酒を飲んだりご飯を食べたりする。そのくらい隠すことではないし、ネガティブなことでもないんです。大切な人との「死別」が悲しいのであって、「死」自体はフラットなものだという考え方が昔はあったと思うんですけど、今はそういう意識が薄らいでしまっている感じもするんです。ただ最近はコロナもあって、若い子にとっては「死」が遠い恐怖の対象というよりは、生活の中でリアリティのあるものとして捉えられているようにも思うんですね。だからこそ、今自分が生きていることを、価値あるものとして昇華していくことが大事になるし、若い子達にとっては将来のためというより、良くも悪くも「今を生きる」という世界になってきているんじゃないかなって思っています。

ーー自分の考え方が変わったあとに、いろいろと調べたりしたのですか?

ちゃんもも◎:かなり勉強はしました。もともと勉強自体は好きなので心を復活させるために、世界中のあらゆる本をたくさん読んで、人の死とは何か、なぜ人は生まれるのか、といった哲学的な教養を持つことで、乗り越えていったんです。あるあるですが、ヨガや瞑想にも取り組みました。そこで「死」がネガティブなことではないなと分かったり、変なこと言いますけど自分が宇宙人という思いを持つようになったりもして(笑)。そうやって何もかもを受け入れ、楽しく生きていけるようになっていきました。

ーー今、X(旧Twitter)の固定投稿で、“「フィジカルで劣るならメンタルで勝れ」というアッパーな思想の持ち主”とあって、いい言葉だなと思ったのですが、悩みを抱えている人に何かを発信したり、自分の経験を伝えていきたいという気持ちは強くあるのですか?

ちゃんもも◎:それはすごく強くあります。やっぱり深刻な相談をされることもあるし、ファンレターもいただくんですけど、私のファンの方って見た目とか以上に、私のマインドに元気をもらっているという方がほとんどだったりするんです。バンもん(バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI)のステージで、私は基本、パッションを燃やしている感じだから、その必死な立ち姿、日頃から発信する前向きなマインドが誰かの役に立っているところがあると思うんですね。最初こそアイドルとしてのイチ推しではなくとも内面的なところを知って好きになってもらえたり、応援してもらうパターンも多いですし、そして、それによって私も救われている。幼少期の貧困、ビジュアルへのコンプレックス、大切な人との死別……確かにキツくのしかかった出来事ではあるけど、その経験が誰かに寄り添う力になっている。何も無駄になっていないし、私が誰かに必要としてもらえる理由になっているのだから、皆さんにそう言ってもらえることは過去に対する癒しにもなっているんです。そうやってすべての出来事がポジティブなエネルギーとして回っていると感じるので、これからも心を磨いて前向きなメッセージをたくさん発信したいなと思っています。

ーーバンもんは、そういうメッセージを発信できる場所でもありますからね。

ちゃんもも◎:みさこ(鈴姫みさこ)が歌詞を書いてくれることが多いんですけど、そこに宿っているのは「教え」なんですよ。なので、その「教え」をみんなで体現しながら広めていくのが、バンもんの理念だったりするので、そこは活動していく上でのモチベーションになっていますし、他のアイドルとは違うところだと思っています。だって、あんまり「教え」ってないじゃないですか(笑)。

ーーないですね(笑)。でもそれは、ポジティブな教えなんですよね。

ちゃんもも◎:はい。バンもん!のライブに来ればそういう気持ちになれるし、私だけでなく、バンもん!はそれぞれが譲れない自分らしさや、己の美学、哲学を貫いているので、ステージから放たれるオーラはかなり波動高めです(笑)。時の流れに左右されない美しさがあると思います。

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