サザンオールスターズ、美しいバラードで表す当事者としての歌 桑田佳祐が45年間貫く“平和と自由を訴える姿勢”

 サザンオールスターズのデビュー45周年を記念した3カ月連続新曲配信リリースの第3弾「Relay〜杜の詩」が、2023年9月2日放送の桑田佳祐のレギュラーラジオ『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM/JFN系列)で、初オンエアされた。

 3カ月連続となる新曲の1曲目「盆ギリ恋歌」は、「和風」「土着」「夏」「彼岸」「猥雑」「艶歌」などの、サザンが初期から得意としてきた要素をいくつも掛け合わせて2023年型にアップデートした、というような楽曲だった。

サザンオールスターズ - 盆ギリ恋歌 [Official Music Video]

 2曲目の「歌えニッポンの空」は、、茅ヶ崎をはじめとする全ての人々の「故郷」「新しい命」「別れ」などを〈ありがとう!!〉(という感謝の意)でつないでいく、The Beach Boys×ラテンなマリアッチテイストの夏ソングだった。

サザンオールスターズ - 歌えニッポンの空 [Official Music Video]

 そして、今回の番組の後半で、桑田による歌詞の朗読を経て初オンエアされた「Relay〜杜の詩」は、どんな曲だったか。

 ピアノとストリングスを中心にしたイントロに、桑田の歌がそっと乗って始まる。淡々と始まったメロディが、徐々に熱を帯びていき、サビではゴスペル方式の大人数大合唱になる、エモーショナルなバラード。でありながら大仰さは極力排し、美しいメロディを、シンプルに伝えてくる曲だったのだが。曲をかける前に、桑田が歌詞を朗読した時点で明らかになったのは、この「Relay〜杜の詩」は、神宮外苑の再開発をきっかけに制作された曲だったということだ。

 聴き取ってメモした歌詞を、ここに全部書いてしまいたい気持ちでいっぱいだが、それはナシだと思うので自粛する。でも、一部だけ書かせてください。

 〈誰かが悲嘆(なげ)いてた 美しい杜が消滅(き)えるのを Ah… 自分が居ない世の中 思い遣るような人間(ひと)であれと〉というのは、坂本龍一のことだと受け取れる。

 〈地球が病んで 未来を憂う時代に 身近な場所で何が起こってるんだ? ここに集って音楽(おと)を紡いだスタジオ(場所) 歌がある〉というのは、デビュー以来の桑田のホームであるビクタースタジオが、神宮外苑沿いにあるから、書かれたものである。

 つまり、世間でそういうことが起きているのを知って胸を痛めている、という立場ではなく、その住民=当事者としてこの歌を書いた、ということだ。

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