ODDLORE、6人が対峙したコンプレックス 1stアルバム『ONE BY ONE』で描かれたそれぞれの“本当の私小説”と現在を語る

 それぞれが異なるコンプレックスを抱えた6人が集まったボーイズグループ・ODDLOREが、メジャー1stアルバム『ONE BY ONE』をリリースした。メンバーのリアルを描いた楽曲群。映画のようなストーリーで確かな解像度をもって葛藤、悩み、孤独が具現化されるMV。パフォーマンスで浮き彫りになるその表現と温度。ドキュメンタリーで明かされる、ステージの上で“自分自身”を生きるということ……デビューからの約1年半を、彼らはさまざまな経験を積み、自分と自分以外の5人と向き合い、理想が現実になる瞬間を追いながら過ごしてきた。

 そして、ついにリリースされるメジャー1stアルバム『ONE BY ONE』。今回リアルサウンドでは、デビューからの日々を振り返りながら、メンバー6人それぞれにフォーカスした楽曲たちについて話を聞いた。セルフライナーノーツで明かされる“本当の私小説”をここにお届けする。(編集部)

自身のコンプレックスと向き合った1年半

――2022年2月のデビューから1年半が経ちました。ボーイズグループとして楽曲を表現したり、人前でパフォーマンスしたりしてきて、「こんな新たな自分を発見できた!」など、自身で感じる成長はありますか?

KOYA:僕はリーダーを任されているのですが、「こんな自分でもリーダーができるんだ」というのは最近気づきました。自分で言うのもアレですが……責任感も持てるようになってきたし、成長したなと思いますね。

RYUICHIRO:まさか自分が音楽をやることになるなんて、僕は想定もしていなくて。緊張しいで人前に出ることが苦手なタイプだったので、最初はライブに対して「怖い」とか「苦手だな」という気持ちがありました。でも、ライブを重ねていくなかで「楽しい」と思えることがすごく増えてきて。「次はもっとこうしたい!」ということも考えられるようになってきたので、そこは成長できている部分なのかなと思います。

JOSH:僕も緊張しいで。でも、その理由はリュウ(RYUICHIRO)とはちょっと違っていて、僕は人が怖いからなんです。学生時代から人前に立って視線を浴びることにすごく恐怖を感じていました。ライブも初めはすごく怖かったんですけど、回数を重ねていくにつれて、観客の方は意外と自分たちに敵意を向けていないんだなとわかってきた。「人って意外と優しいんだな」ということに気づき始めて、人前に出るのがあまり怖くなくなってきました。それは成長かなと思いますね。

RION:今まで歌もダンスもやったことがなくて、このグループを結成してゼロから始めて3年くらい経って思うのは、歌もダンスも自分と相性がいいということ。今、歌もダンスも両方好きで、どっちに時間を割こうかを考える毎日なんですよ。すごく自分にフィットしているなという感覚があります。

YUI:このグループに入ってから、気持ちが上がったり下がったりするということを知ることができました。それまでは適当にぷらぷらと生きてきて、一喜一憂することがほとんどなかったんです。周りに病んでいる状態の人がいても「大変だな〜」って他人事だったし、ハイになっている人がいても他人事で、自分は常に一定のテンションだった。でも、グループとして音楽活動を始めてからは、すごくテンションが上がる時もあれば、すごくツラいと思う時もあって。感情の幅が広がったことによって、暗い気持ちを抱えた人や、高揚している人にも共感できるようになったというか。想像できる範囲が広がってよかったなと思います。

RIKITO:僕は、デビュー前の練習期間の初っ端から挫けてしまって。それまでいろいろなスポーツをやってきていたから、ダンスもすぐにできるようになると思っていたんです。だけど全然できなくて、「あれ、俺ってこんなにできないんだ」と沈んでしまって。そのあとも、ようやくダンスに慣れてきたと思った頃に作品作りが始まって、全然上手くできないまま撮影の日がきてしまうというプレッシャーを感じたり、ライブでのパフォーマンスに悩んで落ち込んでしまうこともありました。でも、そのなかでだんだん歌とダンスに対する興味が湧いてきて。「あんなことをやってみたいな」「こういうふうになりたいな」という目標のようなものもできてきて、それに合った実力をつけたいという気持ちになってきた。精神的な波があるからこそ、精神も実力も成長できるんだなということを感じてます。

――ありがとうございます。ODDLOREはコンプレックスを抱えた6人で結成されたグループで。今作にも収録されていますが、昨年リリースされた3rdシングルから8thシングルまでは、メンバーをひとりずつフォーカスしたもので、楽曲やMVにそれぞれが抱えるコンプレックスを含め、みなさんのキャラクターや葛藤などが描かれているということで、ここからは、おひとりずつ、ご自身の楽曲について教えていただければと思います。KOYAさんをフィーチャーした楽曲は「The Revelation」ですね。

KOYA:この曲を最初に聴いた時は、どのメンバーにフォーカスした曲かは知らされていなかったんですが、聴いた瞬間に自分の曲だと思いました。歌詞がすごく自分自身とリンクしたんです。僕のコンプレックスは、自分の理想と現実のギャップを感じ過ぎてしまうこと。「自分はこんなに頑張っているのに周りの人はここまでしか評価してくれない、だったら頑張る必要なんかないじゃん」とも思ってしまって。他の人が評価されることが嫌だというわけではないですけど、面白くないというか。

――そう感じるようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

KOYA:このグループに入るまでは、正直あまり深く考えたことはありませんでした。自分のコンプレックスって、できるだけ向き合いたくないじゃないですか。だけど、このグループで活動していくなかで「自分のコンプレックスは何だろう?」と向き合ってみると、昔からこういう感情を持っていたことに気づいたんです。たとえば、ダンスの先生がめちゃくちゃRIONを評価して、RIONばっかり褒めていたことがあって。当時の日記に「あの先生、マジで大っ嫌い」って書いていたりした時。今は笑い話になりましたけどね(笑)。「The Revelation」のMVを観てもらったらわかると思うのですが、コンプレックス自体はまだ解決はしていません。今はまだ向き合っている最中という感じ。でも、「自分を信じて頑張っていくしかないな」と思えるようにはなってきているかな。そういう意味でも、「The Revelation」のMVは、今までの僕を全部表現したようなMVになっているので、“ODDLOREのKOYA”の半分くらいはわかってもらえるんじゃないかなと思います。

ODDLORE | 「The Revelation」Music Video

――4thシングルの「SKIN DEEP」はRIONさんですね。

RION:曲名の「SKIN DEEP」は“上辺”という意味で。曲調的にはジャズっぽくて華やかな感じですが、歌詞は裏腹にすごく重たい歌詞になっていて、そこでも“上辺”を表現しています。僕もこのグループに入ってから自分のコンプレックスに気づいたんですけど、周りの目や周りの評価ばかり気にして、「自分って何だろう?」とわからなくなってしまうんです。周りから求められたものに応えることに必死で、自分のやりたいことがわからなくなってしまう。そういう意味での“上辺”です。それこそKOYAが言っていた、ダンスの先生が僕を評価してくれたというのも、僕は先生にどれだけ近づけられるかを考えているからであって、自分の色とかそういうことではなく、ただその人に合わせているから褒められているように見えるだけ。だから、周りからは「評価されている」と思われていても、自分ではそれがコンプレックスなんです。

――そのコンプレックスを楽曲に落とし込んでから、自分の中なかで何か変化はありましたか?

RION:この曲もKOYAの「The Revelation」と同じで、曲のなかで解決はしていないですし、自分としてもまだ切り替わっている途中くらい。この曲がODDLOREとして4曲目に発表した曲で、今はアルバムに収録されている曲まで作ってきて、そのなかでだんだんと自分を出せるようになってきているのかなと思います。とは言え、自分を出しすぎるとマイワールドになってしまうので、その塩梅を伺いながら。今まで自己表現をする術がなかったからこそ、自分軸の必要性みたいなことに気づかなかったけれど、歌とダンスが自己表現の術だということに気づいてからは歌とダンスが好きになっているので、そういう意味でも自分を出せるようになってきているかなと思います。

ODDLORE | 「SKIN DEEP」Music Video

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