YONA YONA WEEKENDERSが掲げるカウンター精神 今こそ届けたい“自由”の肯定、原田郁子とのコラボ秘話まで語る

ありのままのYONA YONAが受け入れられているという自信

――続いて、「シラフ」に並ぶもう1つの新録曲「よしなに」について聞かせてください。最初、なんでこういうタイトルなんだろうって思ったんですけど、タイトルはサビの〈Your scenery〉から来ているんですかね?

磯野:そうですね。もともと「よしなに」っていう単語がサビのフレーズとして頭の中にあったんですけど、これだとメッセージを乗せづらいと思ったので、ちょっと無理くり、それを英語にしてみたんです。ただ、タイトルにするには「Your scenery」はちょっとかっこよすぎるなと思い……。

――ちょっと“外した”感じですよね。

磯野:カウンターですね(笑)。

――この曲、1分ぐらい間奏があるじゃないですか。このパートにおける皆さんの演奏のアグレッシブさ、もっと言えば、オルタナティブロックを突き詰めている感じにすごく驚きました。改めて、皆さんのロックバンドとしての気概をめちゃくちゃ感じましたね。

磯野:この曲はもともとワンコーラスしかデモを作ってなくて、みんなでスタジオで仕上げていったんですよね。だからもう、この間奏以降の展開は本当にみんな好き勝手やってるっていう。

小原:間奏が何回か展開していくんですけど、ホワイトボードに間奏の展開を書きながら、第一ジャングル、第二ジャングルって呼んだりしていて。

小原“Beatsoldier”壮史

――ジャングルというワードはどこから出てきたのでしょうか?

磯野:この曲、僕が初めて海外旅行でタイに行った時のエピソードを書いた曲で。一緒に行くはずだった友達が日付を間違えて、はからずも一人旅になっちゃったんですよ。初海外で、英語もできなくて、しかもホテルがすごいスラムみたいな所にあって、その辺に普通に野犬が歩いていて、すごく怖くて不安で。ただ、徐々に慣れていって、ふと景色を見た時に、異国に来た実感が一気に押し寄せてきて。この歌詞の〈仰げば同じ空〉以降の部分は、その一人旅の体験について書いているんですけど、先ほど出たジャングルっていうのは、その景色に至るまでにスラム街を一人でさまよってる時の心情をイメージした言葉で。それをみんな、見事に噛み砕いて表現してくれた感じですね。

――このジャングルのパートについて、キイチさん、スズキさん、いかがですか?

キイチ:あまり考え込むこともなく、スタジオでみんなでセッションしてる時に、もうほぼできちゃって。あとは、最後の歌終わりのギターのフレーズとかは結構こだわったというか、自分の好きなバンドのルーツがもろに出た部分でもあって。聴く人が聴いたらすぐに分かると思うんですけど、それが伝われば面白いなと思いますね。

スズキ:このパートはみんなが自由にプレイしてるんで、僕もちょっと好き勝手やりたかったんですけど、「あんまりジャングルしないように我慢」ってオーダーがありましたね。ジャングルに流れる川のようにじゃないですけど、縁の下から支える感じでやりました。とはいえ、ディレクターと一緒に音作りしたりして、実は面白いこともしてるんですけど。

スズキシンゴ

――続いて、4月に配信で先行リリースされた「眠らないでよ feat. 原田郁子(クラムボン)」について聞かせてください。原田さんとは、どういう流れでコラボレーションすることになったのでしょうか?

磯野:2021年に、静岡の『YAMABIKO FES』で初めてクラムボンさんとご一緒させていただいて。もともとビーソルはすごいファンで、僕ももちろん聴いていて。その日ちょっとだけ雨が降ってたんですけど、クラムボンの皆さんが、小雨の中で本当に神々しいライブをしていて。もう感動して涙が出ちゃって、すごいなと圧倒されたんですけど、途中から郁子さんの声と自分の声が重なったらどうなるかという想像を膨らませ始めたんです。ハモリフェチなんですよ、僕。CHEMISTRYとかすごく小さい頃から聴いてて。そういった経験もあって、今回、満を持してお声がけさせていただきました。

YONA YONA WEEKENDERS “眠らないでよ feat. 原田郁子(クラムボン)” Lyric Video

――実際に原田さんと一緒にコーラスワークを作ってみて、いかがでしたか?

磯野:過去に一緒にやってきた方たちは男性だったので、ある程度、僕と音域が近いんですけど、やっぱり女性の声は高いので、そこの歌い分けをどういうふうにしたら気持ちよくなるのかなと思ってすごく考えました。

――小原さんは、もともとクラムボンが好きだったということですが、今回のコラボが決まった時はいかがでした?

小原:いや、もう「マジか!」って驚きました。レコーディングではオケと歌を別々で録るんですけど、原田さんのレコーディングの日がど平日の昼間だったんですよ。僕は仕事中で、LINEでレコーディングの進捗がピコピコ来るのを見ながら、もうずっとドキドキしていて。仕事が終わってから向かうと間に合うかギリギリだったんですけど、「今から向かうから、なんとかしてあと15分くい止めて!」ってメンバーに頼んで、ギリギリ本人がいるところで録りたてほやほやの2人の歌を聴かせてもらって。何も修正が入っていない生の歌声を聴いた時は、本当にすごかったですね。

――これまでEP収録曲についてお話を聞いてきましたが、今作の制作期間は、コロナが本格的に明け始めて、ライブでリスナーの顔を直接見られるようになり始めた時期と重なっていると思います。きっと、リスナーとのコミュニケーションが皆さんの制作にもたらした影響は大きかったのではないかと想像するのですが、いかがでしたか?

磯野:僕らって、2枚目のEP(『街を泳いで』)を出した時からコロナ禍になって、音源だけがサブスクで再生されたり、ラジオで流れたりして、「すごくいいわ」とか「めっちゃ寄り添ってくれるわ」みたいなお声をいろんなところからいただくようになったんですね。その時は、「こういう聴き方をしてくれる人がいるんだな」っていう驚きもあって、リスナーのことを想像しながら寄り添うように曲を書いてたんですよ。ただ、去年のツアーあたりから直接お客さんを目の前にする機会が増えて、みんなが自由にライブを楽しんでいるのを見て、「この人たちは、ありのままのYONA YONAを受け入れてくれるんだな」「こちらから寄り添わなくてもいいんだな」って思ったんですよ。だから、今作の制作においては、好きにやっていいんだなって今まで以上に思えましたね。

キイチ:お客さんからの期待値が上がってるのも感じるので、もちろんその期待に応えなきゃいけないとは思いつつ、変に寄り添わなきゃっていうよりも、やっぱこっちも楽しくやっていくのがいいなと思います。

――最後に、今後バンドとして挑戦したいことや、これからの展望について聞かせてください。

磯野:この間、レコーディングが全部終わった後にみんなでフォルクス(ステーキレストラン)に行って、今後の展望について喋ったんですよ。そこで、Zeppツアーをやりたいねって。あとは、野音(日比谷野外大音楽堂)も昔からやりたいなあってずっと話してますね。

小原:みんなもともと、磯野の歌をもっといろんな人に聴いてもらいたいっていう想いでこのバンドをやっているので、よりたくさんの人に自分たちの音楽を届けていきたいという意識は強いですね。あと、事務所の方とかレーベルの方のサポートがあって今の状況があると思っているので、そういう方々の想いに応えるためにも、楽しみつつ、ちゃんと結果を残せるようになっていかないといけないなって思ってます。

YONA YONA WEEKENDERS『into the wind』

■リリース情報
YONA YONA WEEKENDERS
5th EP『into the wind』
2023年6月21日(水)リリース
<完全生産限定盤:2CD>
税込:2,500円
*2周年LIVE CD付き2枚組限定盤
*紙ジャケット仕様

ダウンロード&ストリーミング
https://jvcmusic.lnk.to/intothewind_ep
限定生産盤CD
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIZL-2195.html

<CD収録内容>
・DISC-1:EP『into the wind』
01. シラフ
02. into the wind
03. 眠らないでよ feat. 原田郁子(クラムボン)
04. よしなに
05. SUI SUI

・DISC-2:LIVE CD『YONA YONA WEEKENDERS ONEMAN LIVE 2023 at LIQUIDROOM (04.07)』
01. 君とdrive
02. いい夢
03. Night Rider feat. 荒井岳史(the band apart)
04. 夜行性 feat. 蔡忠浩(bonobos)
05. 考え中
06. 眠らないでよ feat. 原田郁子(クラムボン)
07. 思い出in the sky
08. Open your eyes
09. 1989's
10. 遊泳
11. 光の中
12. R.M.T.T.
13. 東京ミッドナイトクルージングクラブ
14. 月曜のダンス
15. Encore

EP特設サイト

■ツアー情報
『YONA YONA WEEKENDERS “into the wind” Release Tour』
東京公演
日時:8月5日 OPEN17:00/START18:00
会場:渋谷クラブクアトロ
大阪公演
日時:8月12日 OPEN17:00/START18:00
会場:梅田クラブクアトロ
名古屋公演
日時:8月13日 OPEN17:00/START18:00
会場:名古屋クラブクアトロ
福岡公演
日時:8月26日 OPEN17:00/START18:00
会場:BEAT STATION
<チケット>
ALL STANDING ¥4,000(税込)ドリンク代別途必要

YONA YONA WEEKENDERS 公式サイト

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