bokula.、無料ワンマンライブ『青春の彼方へ.』開催 超満員のフロアと味わったライブハウスの醍醐味
広島を拠点に活動する4ピースロックバンド・bokula.が、5月19日、下北沢Shangri-Laでワンマンライブ『青春の彼方へ.』を開催。ライブハウスに来たことがない人、新生活に不安を感じている人が一歩を踏み出せるように、という本人たちの思いから企画された無料ライブで、実際に、ライブハウスやbokula.のライブが初体験という人も多く駆けつけた。イベントでの“声出し”が解禁されたこともあり、当日は、ファン・初心者の垣根なく、ライブハウス本来の“密度の濃い空間”を共有できた一夜となった。
えい(Gt/Vo)、かじ(Gt)、さとぴー(Ba)、ふじいしゅんすけさん(Dr)のメンバー4人が颯爽とステージに登場すると、超満員のフロアから大きな歓声が上がり、えいの「よろしくお願いします!」という言葉とともに、最新配信曲「アオトハル」でライブがスタート。ハイスピードで変化するリズムパターンがクセになるナンバーで、自ずとテンションが高まる。「足りない二人」までの3曲を間髪入れずに畳み掛け、エモーショナルなエネルギーがほとばしる。
改めて「元気そうでよかった! 一緒に楽しんでいきたいと思います!」(えい)と挨拶した後は、ミディアムナンバーやバラードを揃えたブロックへ。かじの細やかな弦さばきが際立つ「ルーツ&ワープ」、モノローグ調のボーカルが印象的で叙情感を醸す「君が眠りにつく頃に.」と、バンドが持つ表情の豊かさで引き込んでいく。4人が奏でるアンサンブルは、歌の中の情景を鮮やかに描き出し、観客もその世界観に浸るように聴き入っている。
一転、「溢れる、溢れる」「ハグルマ」などではヘヴィなサウンドを繰り出し、場内はいちだんとヒートアップ。ふじいしゅんすけさんの疾走感のあるドラミングに、さとぴーがベースを被せ、野太い音を響かせる。この2人によるリズム隊の安定感は抜群で、だからこそバンドとしての自由度が高い。かじはギターを高らかに掲げ、えいは所狭しとステージを動き回りジャンプ、そしてシャウト。アクションを交え、まさに溢れんばかりの感情を注ぎ込む。アグレッシブで真っ直ぐなそのパフォーマンスに、オーディエンスも力強く拳を振り上げて応えていた。
さらに、「あなた自身に歌うから」というひと言を添えた「FUSION」からは、演奏にいっそう熱が入る。会場全体を巻き込んでシンガロングが湧き起こった「バイマイフレンド」、軽妙なリズムに合わせて体が思わず動く「夏の迷惑」など、振り幅も広い。だが、単に楽曲のバラエティだけでなく、1曲の中のドラマティックさも彼らの表現としての魅力だ。例えば、「あの夜と.」でのダイナミズムと哀感の共存。激しくかつ繊細なクロスオーバーであり、bokula.が生み出す音像は、そんな深遠さを包有する。サウンドメイクに物語を感じる背景は、きっとそこにあるのだろう。
そして、クライマックスの「愛してやまない一生を.」では、えいが観客の中にダイブし、ボルテージは最高潮に。直接的なコミュニケーションが図れるという意味でも「現場に命かけてます!」と熱く語ったえい。その思いが表れた、ライブハウスをテーマにした楽曲「この場所で.」で本編は締めくくられた。
アンコールでは、新曲「こんな僕ですが、何卒」に加え、前日にできたばかりだという新曲も披露。ハードなサウンドながら、どことなくハートウォーミングな空気感を放ち、場内が和やかなムードに包まれる。こうして迎えたラストの曲は、「愛すべきミュージック」。フロアでは肩を組んで体を揺らしたり、サビのフレーズを歌ったり、皆が思うままにbokula.の音楽を楽しんでいる。そして演奏を終えた彼らに、「愛してるよ!」の声が飛ぶと、すかさず「俺も愛してるよ!」とえいが返す。このリアルなやり取りこそ、ライブハウスの醍醐味。この時、会場に居合わせた誰もがそう実感したに違いない。
メンバーも「サイコー!」と感激するほど、一体感のある盛り上がりを見せたこの日のスペシャルワンマン。「新しいロックシーンの先陣を切っていきたい」というえいの言葉を体現するような、bokula.の今の勢いが感じられるステージだった。
■セットリスト
1.アオトハル
2.HOPE
3.足りない二人
4.ルーツ&ワープ
5.君が眠りにつく頃に.
6.夢を見てた.
7.溢れる、溢れる
8.ハグルマ
9.愛わない
10.FUSION
11.美談にしないで.
12.あの夜と.
13.バイマイフレンド
14.夏の迷惑
15.まみれて
16.少年少女
17.愛してやまない一生を.
18.満月じゃん。
19.この場所で.
En1. こんな僕ですが、何卒(新曲)
En2.新曲
En3.愛すべきミュージック
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