ウォルピスカーター×Neru、“狭く深く”を貫いて掴み取ったリスナーからの支持 歌い手とクリエイターそれぞれのスタンスを語る

「賞味期限は自分が自分の下手さに気づいてしまった瞬間」(ウォルピスカーター)

TVアニメ『ニンジャラ』

ーー今でこそNeruさんといえば大御所ボカロPの安定感みたいなものがあると思うんですが、最初の頃はそのスタイルで焦りなどなかったですか?

Neru:なかったといえば嘘になるんですけど、自分はそれができない人間だったのでこうならざるを得なかった部分もあって。打算的にできる人間ではないので、僕。こういう信念を貫かざるを得なかったという感じですかね(笑)。

ーー歌ってみたにせよボカロPにせよ、制作のハードルが下がっていろんな人がどんどん参入しています。そうしたシーンのうねりを見て、お二人はどのように感じますか?

Neru:やっぱり昔は音楽を歌うのも作るのもプロだけだったのが、今はソフトもめちゃくちゃ安くなったし、作るハードルも下がってるのはありますよね。でも、焦りとかはあまり感じないかな。それはたぶん、年を取ったからだと思いますよ。ポリシーがどうこうとかじゃなくて、シンプルに「よそはよそ、うちはうち」みたいな。

ウォルピスカーター:わかります、わかります。ハードルはどんどん下がっていて、いろんな人が歌とか音楽とかに興味を持つきっかけになって。それがどんどんカラオケを超えた趣味のようなものになって、世間一般に認知され始めてきてるんじゃないかなって。それは音楽シーンにとって、すごくいいことなのかなと僕は思うんですけど。一方で最近の新しい歌い手さんとかって、もう皆さん歌がすごくお上手でいらっしゃるんです。いろんな人が参入するようになって、市場がすごく大きく拡大した結果、逆に歌い手として売れるハードルがめちゃくちゃ上がっちゃって。歌が本当に上手い人しか当たらなくなってますよね。その結果、歌が上手い人だけが残っていくんですけど、歌が上手い人はすごく発声が綺麗なんですよ。僕はずっと独学でやってきたのでかなり癖のある発声になっていて、結果的に独立性みたいなものを獲得できてしまっているという(笑)。

ーーボカロや歌ってみたといったいわゆるニコニコカルチャーって、昔はちょっとオタクっぽいというか、あまり学校で「これが好き」と言いづらいカルチャーだったのが、今どんどんメインストリームになっていて。学生さんとか普通にTikTokで聴いたりしていて、そうしたリスナー側の変化は感じられていますか?

ウォルピスカーター:いや、もうめちゃくちゃ感じますよ。それこそ僕が高校や専門学生のころなんて、インターネットに身近な人、いわゆるオタク界隈がメインに聴いていたので(笑)。でも今は、誰しもがTikTokでボカロ曲や歌い手の曲で動画を作っているのを見て、世間からの忌避感みたいなものは一切なくなったんだなと思ってます。

Neru:僕からしたらボカロも歌ってみたもやっぱり日陰者の遊びというか、大人の遊びを知らない連中のものっていうイメージがずっとありました。「遊びにおいでよ」と言われて歌い手さんのライブに行くんですけど、会場のお客さんを見てると、日陰者とは違う人もけっこういるんだなと感じますね。ライブの客層は変わったと思います。

ーーありがとうございます。せっかくなので最後、お互いに対してこの場で聞いてみたいことをいただきたいんですが……。

ウォルピスカーター:この場だから聞きたいこと、なんだろう……Neruさんが投稿した曲の中で、一番のお気に入りを知りたいです。

Neru:曲はやっぱり賞味期限があるんですよね。だからどれだけ多くの人が愛してくれてるかっていうことももちろん大事だと思うけど、俺的にはやっぱり最後に上げた曲かな。どうせ見てもらうなら常に新しい俺、一番輝いてる俺を見てほしいわけ。

ウォルピスカーター:曲でもそうなんすね。歌は年を経るごとに上手くなる、下手になるのが明確にあるので、僕は3年前の自分の音源はもう聴けないです。下手すぎて。

Neru:それもわかるわ。

ウォルピスカーター:という感じで、僕の賞味期限は自分が自分の下手さに気づいてしまった瞬間ですね。

Neru:新しければ新しいほどいいよね。ウォルピスはなんで「歌で動画上げてくぞ」と思ったの? 俺は音楽を作ろうとは思ったけど、歌おうとは思わなかったのね。だから歌でやっていくぞって思った人が何でそうなったのかがすごく気になって。

ウォルピスカーター:中学のときに、音楽の授業で歌のテストがあったんですよ。廊下に1人ずつ呼ばれて、先生の前で「帰れソレントへ」を歌うっていうものです。そこで先生に歌をめちゃくちゃ褒められたんですよね。それが信じられないぐらいの快感だったので、この快楽を一生得続けたいと思ったんです。そこからはもう高校で軽音楽部に入って、バンドのボーカルやって……という。

Neru:なるほどね。それで実際天職だったわけだし、その音楽の先生は恩師だね。

ウォルピスカーター:褒められたことの快楽が強烈すぎて、もうその先生の顔も名前も忘れちゃったんですけどね(笑)。

ウォルピスカーター『ラディーチェ』

■リリース情報
New Single『ラディーチェ』
2023年5月24日(水)配信リリース
(作詞・作曲・編曲:Neru)
※テレビアニメ『ニンジャラ』エンディングテーマ
配信:https://wolpis.lnk.to/radice
MV(5月24日19時公開):https://youtu.be/Mdk3gC6S9kY

■ウォルピスカーター 関連リンク
オフィシャルサイト:https://wolpiscarter.com
Twitter:https://twitter.com/wolpis_kater
YouTube:https://www.youtube.com/c/wolpiscarter

■Neru 関連リンク
Twitter:https://twitter.com/neru_sleep
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UClxXuM2m0rIL9VCA1ds9HqA

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