オジンオズボーン篠宮暁、スーパー戦隊シリーズ愛を熱弁 『ドンブラザーズ』など、ストーリーを彩る楽曲の楽しみ方も語る

 1975年に放送された『秘密戦隊ゴレンジャー』以降、実に47シリーズが制作され、日本の特撮ヒーローを代表する存在である“スーパー戦隊シリーズ”。2022年〜2023年に放送された『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が大好評を博し、現在放送中の最新作『王様戦隊キングオージャー』もこれまでにない斬新な設定で、大きな盛り上がりを見せている。

 今回は、そんな2作の楽曲を収録した『暴太郎戦隊ドンブラザーズ 全曲集』『王様戦隊キングオージャー 主題歌CD』が発売されたことに伴い、スーパー戦隊シリーズの楽曲の魅力を語るインタビュー企画として、お笑い芸人・オジンオズボーン篠宮暁が登場。篠宮は大の特撮好きであり、スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズ愛を様々なところで発信している。幼い頃からスーパー戦隊を愛し続けてきた篠宮による、熱いインタビューは必読。これからシリーズを観始めたいと思っている新規ファンにもいいガイドになることと思う。(編集部)

卒業せずに観続けてきたスーパー戦隊、お気に入りの作品は?

――篠宮さんといえば、スーパー戦隊シリーズよりも、なんとなく仮面ライダーシリーズ好きのイメージが強い気がしますが……?

篠宮暁(以下、篠宮):いやいや、スーパー戦隊シリーズも大好きですよ!(笑)。遡ると元々はブログでニチアサ(日曜日の朝に放映されるアニメ、特撮番組)の感想を書いていたんですよ。そうしたら『仮面ライダー電王』(2007年)や『ディケイド』(2009年)にちょい役で出させてもらって。それからちょっと途切れていたんですけど、東映チャンネルさんの『レッツゴー!仮面ライダーGIRLS』(2017年)というバラエティ番組でMCを担当させていただき、これがちゃんとお仕事で関わるようになった最初です。そんなこともあって仮面ライダーのイメージが強いのかな? でも、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「スーパー戦隊大好き芸人」(2017年)にも出させてもらいましたし(笑)、スーパー戦隊シリーズは子どもの頃からずっと観続けてきて、今に至ります。

――スーパー戦隊シリーズで、最初に記憶にある作品って、どれになりますか?

篠宮:僕の場合は、『電撃戦隊チェンジマン』(1985年)ですね。2歳のときに骨折したんですけど、ギプスをつけた状態で、手にチェンジロボを持っていた記憶がおぼろげにあって(笑)、それが一番最初の記憶になります。さすがに内容までは全然覚えてないけど、未だに変身シーンを観ると、当時の記憶が呼び覚まされるというか。全身白にピンクのラインが入ったチェンジマーメイドの変身シーンとか、今になって観返しても懐かしく思いますね。

――長い歴史の中で、人気にも波がありますが、子ども目線で何か感じていたことはありましたか?

篠宮:そういうのは全然なかったですね。『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)は今も人気だけど、『高速戦隊ターボレンジャー』(1989年)、『地球戦隊ファイブマン』(1990年)、『ジェットマン』と当時の感覚だと分け隔てなく、ずっと面白く観続けていましたよ。『ターボレンジャー』は、第1話の「10大戦隊集合 頼むぞ!ターボレンジャー」から強烈なインパクトがあったし、作品自体も後半から登場したヤミマルが敵ながらもめちゃくちゃカッコよくて。

 『ファイブマン』で、「おおっ!」と思ったのがスターファイブの登場回(第19話「赤いけんかロボ」&第20話「燃えろ兄弟ロボ」)。第三者のグンサーが2号ロボを持ってくるパターンは、『超新星フラッシュマン』(1986年)のフラッシュタイタンを彷彿とさせるものがあって、興奮しましたね。でも、今もそうかもしれないけど、だいたい小学校1年生くらいで、周りがスーパー戦隊を“卒業”していくんですよ(笑)。『ターボレンジャー』~『ジェットマン』辺りになると、同級生で観ている子が少なくなってきて、「いや、これは卒業せなあかんか?」と思ったんですけど、僕、弟と妹がおったんで、ずっと一緒に観ていて、なんだかんだで卒業するタイミングを逃してしまったみたいな(笑)。

――一度卒業してから戻ってくるパターンもありますが、篠宮さんの場合は卒業することがなかったんですね。

篠宮:『超力戦隊オーレンジャー』(1995年)の頃が中学校1年生で、「さすがにこの年で観ているのはどうなん?」とギリギリだったんですけど、ちょうど思春期で、さとう珠緒さん(当時は“珠緒”名義)がまた可愛くて(笑)。そんな感じで『オーレンジャー』も観続けていて、次回作の『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)との出会いがまたひとつの転機になりました。

――『カーレンジャー』といえば、個性的な作風で今も人気のある一作ですね。

篠宮:なんと、その『カーレンジャー』で、「これ面白いな!」って同級生が戻ってきたんですよ。でも、僕自身は、どちらかといえば『オーレンジャー』の初期のような正統派路線が好きだったので、最初に『カーレンジャー』を観たときは「なんでコメディに行くねん!」とちょっと抵抗があって(笑)。まぁ、今考えると、それは単に作品の見方がわからなかっただけで、周囲が「面白いじゃん!」と盛り上がっていく中、自分もだんだんと気持ちが動かされていったところがありました。それと、ずっと夕方だった放送時間帯が、『電磁戦隊メガレンジャー』(1997年)の途中でニチアサになるんです。これも大きかった。それでタイミングよく部活に行く前に観るルーティーンができ上がって(笑)。逆にあのまま同じ時間帯だったら、卒業してしまってたかもしれないですね。

――絞るのも難しいでしょうが、率直にお好きな戦隊を挙げると?

篠宮:そうだなあ……『シン・仮面ライダー』(2023年)で、庵野秀明監督が「ノスタルジーは捨てたくない」とおっしゃっていましたが(※1)、そういう意味で挙げるなら『チェンジマン』か『フラッシュマン』かな。

――なるほど!

篠宮:やっぱり2~5歳くらいで観ていた戦隊には格別な思い入れがありますね。それ以外だと、『未来戦隊タイムレンジャー』(2000年)、『侍戦隊シンケンジャー』(2009年)、『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014年)ですね。

――全て小林靖子さんがメインライターを務めた作品ですね!

篠宮:そうなんです。靖子さんの脚本はストーリー重視で、僕自身もストーリーを追うのが好きなんですよ。最近の作品だと、『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年)、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022年)が、めちゃくちゃ戦隊のフォーマットを崩しにかかってきてたけど(笑)、その序章は『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)にあると思っています。

――レッドが、いわゆる陰キャだったり(笑)。

篠宮:「限界は超えないためにある」とか、スーパー戦隊シリーズでは定番の「入れ替わり回」も、メンバー同士じゃなくて魔進と入れ替わったりしていて、かなり捻っていたじゃないですか(エピソード19「相棒」)。そういう意味では『キラメイジャー』も好きな作品のひとつですね。

――逆に『チェンジマン』以前のスーパー戦隊シリーズについては?

篠宮:僕らの世代はレンタルビデオ全盛期で、『電子戦隊デンジマン』(1980年)、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)、『科学戦隊ダイマン』(1983年)辺りはレンタルで観ました。でも、『バトルフィーバーJ』(1979年)や『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)はビデオがなくて、大人になってからようやく観ることができました。それと、僕は京都出身なんですけど、KBS京都の再放送枠がむちゃくちゃ熱かったんですよ。スーパー戦隊じゃないけど、同じ東映の『宇宙鉄人キョーダイン』(1976年)や『忍者キャプター』(1976年)をやってたりして、そんな中、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)の再放送もあって、そこで東映特撮にどっぷりハマる礎ができたような気がしています。いや、あれは熱い時代でした(笑)。幼稚園くらいの頃ですけど。

――当時の子どもたちと同じくらいの年齢で『ゴレンジャー』も観ていたわけですね。

篠宮:そうなんです。「今やってるスーパー戦隊とはちょっと違うな?」とは思いつつも夢中になっていました。そうそう、『ゴレンジャー』や『ジャッカー電撃隊』(1977年)の原作者・石ノ森章太郎先生は、子どもが描きやすいようなヒーローのデザインをされていた、という有名な話があるじゃないですか。当時、現行だったスーパー戦隊の『光戦隊マスクマン』(1987年)、『超獣戦隊ライブマン』(1988年)も、もちろん毎週面白く観ていたけど、幼稚園で友達がアカレンジャーを描いていたのを見て「描き方教えて!」って話したりして、自分もアカレンジャーを描いていたのを覚えていますよ。

――グッズも集めていらっしゃいますか?

篠宮:コレクションは、なんとなく「なりきり系」と「ロボ系」に分かれると思っていて、もちろん両方集めている方もいると思いますが、僕は後者になります。最初に買ってもらったチェンジロボもめっちゃ遊びましたよ。好みで言うと、ロボが複雑であればあるほど嬉しい(笑)。世代もあるかもしれないけど、フラッシュキングは秀逸でしたよね。

――三次元スライド合体システムですね!

篠宮:そう! あの両腕がスライドして合体するギミックは何べんやっても楽しい。あとは個人的にベストを挙げるとすると、『魔法戦隊マジレンジャー』(2005年)のマジキング。これは設定も凝っていて、まず5人がロボに搭乗するんじゃなくて、巨大なマジマジンに変身して、さらにマジキングに合体するんですけど、オモチャは、あの手触り感みたいなのが堪らないんですよ。

――マジマジンの状態だと、合体時の明確な部位が分からず、しかもちゃんと個々が独立したデザインになっていますよね。

篠宮:ええ。ロボだけじゃなくて、4体がマジドラゴンに合体して、さらにレッドが変身したマジフェニックスが背中に乗るのも面白いし、マジフェニックス自体は、敵キャラのバリキオンと合体してファイヤーカイザーになったりと、互換性があって、これがまた遊び甲斐があるんですよ。最近だと『ドンブラザーズ』のドンオニタイジンでガラッとロボの傾向が変わって、オモチャのサイズも一気に大きくなったじゃないですか。しかも、劇中ではロボなのに等身大で登場する回があったりして、あれはめちゃくちゃインパクトがありましたね。

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