ももいろクローバーZ、“未知の道”を進んできた15年 印象深いライブについても語る

 2023年5月17日、結成15周年を迎えるももいろクローバーZが、結成15周年記念ソング「いちごいちえ」をデジタルリリースした。同曲は、10周年記念ソング「クローバーとダイヤモンド」を作詞・作曲したCLIEVY(C&K)が今回も参加し、ファンへの感謝やこれまでの活動への思いが詰まったアニバーサリーソングとなっている。5月17日と前日の16日には国立代々木競技場 第一体育館にて『代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary 』が開催され、7月からは15周年ツアーが行われる。今回のインタビューでは、「いちごいちえ」に込めた思いや、活動15年の中でのメンバーそれぞれの印象深いイベントやライブ、自身の成長・変化など、これまでの活動を振り返ってもらった。(編集部)

嬉し涙が流せるのは“5475日”の歩みがあってこそ

ーーももいろクローバーZの結成15周年記念ソング「いちごいちえ」が、4月21日に配信リリースされました。

玉井詩織

玉井詩織(以下、玉井):はい。「いちごいちえ」は結成15周年記念ソングということで、打ち合わせの段階からみんなで参加してどんな曲にしようかとか話し合って作っていったんです。10周年のときに「クローバーとダイヤモンド」を作っていただいたC&KのCLIEVYさんが、今回も作詞作曲をしてくださったんですよ。C&Kさんも私たちと同じくデビュー15周年なので、そういう繋がりもあってまたお願いしたんです。15年の中でいろんな出会いがあって今の私たちがあって、その一つひとつの出会いや応援してくれているファンの方々への感謝を歌ったアニバーサリーソングになりました。

ーー全体的に、歌声がすごく温かく優しい雰囲気だなと思いました。

百田夏菜子(以下、百田):ありがとうございます。15周年記念ソングですし、言葉にたくさんの感謝や思いが詰まっているので、一つひとつの言葉がしっかり伝わるように丁寧に歌いたいっていうのが曲全体としてあったんです。

玉井:メロディが耳に残るし、気持ちが伝わるように歌いたいねって話していたので、温かい歌い方になったのかなと思います。

ーーでは、歌詞のお気に入りのフレーズをそれぞれ聞かせてください。

玉井:冒頭の〈5475文字〉は15年の日数を表したものなんですが、みなさんとともに過ごしてきた日々を数字で歌詞にしているのが印象的でした。あと、私が好きなところはサビで出てくる〈いちごいちえ/未知の道へ〉です。私たちは最初からアイドルってものを手探りでやってきて、「これでいいのかな?」ってほんとに未来のことは誰にもわからなかったんですよ。みんなで模索しながら進んできたももクロの活動と、そのワードってすごく重なるなって思いました。

高城れに

高城れに(以下、高城):私は、最後のサビの〈いちごいちえ/涙 溢れて/愛に溢れた道歩んでゆく〉ってところが特に好きなんです。ももクロの曲って、悔し涙を嬉し涙に変えようとか、実際に嬉し涙を流してる情景の曲があまりなかったし、そもそも涙というワード自体が少ないんです。あと、ももクロってお祭り騒ぎとかキャピっとした印象を抱いてくださってる方が多いと思うんです。そういう私たちが、モノノフさん(ももいろクローバーZのファンの通称)も一緒に大人になって一緒に嬉し涙が流せるって歌詞は15年経ったからこその表現だし、今の私たちの心境を描いてるなって思いました。この曲を15周年ライブで歌ったときに、きっとモノノフさんも嬉し涙を流してくれるんじゃないかと思いました。

佐々木彩夏(以下、佐々木):基本的に明るい歌詞が並んでるんですけど、Dメロで〈何かが不安を掻き立てる〉ってワードも出てくるんです。でもそれを明るいメロディで歌っているので、そんな暗く聴こえないのが私は好きですね。15年間、もちろん大変なこともありましたけど、でもやっぱりももクロの活動をしてるときって楽しいんですよ。明るく乗り越えてきた私たちらしさが、そこに表れてるかなと思います。あと、落ちサビは夏菜子ちゃんが歌う〈たまに傷つけてきて〉から全員で〈きやがるんだな〉って楽しい感じで歌うんです。そこも、すごくももクロっぽいなって思いますね。

百田:やっぱり私も〈5475〉という日数が感慨深いなって思いましたし、数字一つひとつにもほんとに思いを込めて歌いました。ただ、特にAメロは短いフレーズに思いがありすぎて、歌うのがすごく難しかったです。どんな思いの込め方が一番伝わるのかな? って、何テイクも録ったんです。あと落ちサビの〈いちごいちえは 夢を叶え たまに傷つけてきて きやがるんだな〉は、すごくニュアンスを大事に歌いましたね。〈傷つけてきて〉ってすごく強い言葉だし、捉え方や伝え方で全然違ってくると思うんですよ。だからと言ってすごく悲しく歌うのは違うし、そういう瞬間から学んできたことが私の中でたくさんあったんです。なのでそこは、今の自分がそのときを振り返って乗り越えてきたよねっていう雰囲気が出るように歌いました。あーりんも言ってたように、そのあとのみんなでの〈きやがるんだな〉がももクロらしいなって思いましたね。

ーーここはこの曲のキモになってますよね。

百田:そうですね。最初にCLIEVYさんが曲を送ってくださったとき「〈きやがるんだな〉は抜いてもらって大丈夫です」って言ってくださったんですよ。でもこれが曲のアクセントになってるし、私たちらしいなと思ったんです。メンバーとは「声出し解禁になったら会場のみんなで〈きやがるんだな〉を言ってもらえたらいいね」って想像もしてたので、歌詞はそのままにしてもらったんです。

ーー振り付けのポイントを聞かせてください。

百田:一番最初に、蕾から花が咲くという振り付けがあるんです。4人が手を合わせて蕾を作って、そこから〈花束を贈ろう〉でみんなで花を作るんです。ひとりじゃなくみんなで作るのが今回の曲のポイントなんですよ。それに、私たちが花を咲かせられるのはみんなのおかげだよって思いが込められていたり、すごくこだわった振り付けになってますね。

佐々木:あと落ちサビの〈きやがるんだな〉のところは、手をクルクル回す振りなんですけど、ファンの方とライブ会場で一緒にできたらいいなって思ってます。

ーーMVはどのような作品になっていますか?

玉井:15周年のMVということで、シンプルに〈ありがと〉という曲のメッセージが伝わるような構成になっています。ペンライトは、私たちとファンの方がコミュニケーションする大事なアイテムなんですよ。なので、「いちごいちえ」のアーティスト写真もそうですし、MVにもペンライトを取り入れたんです。MVでは、たくさんのペンライトの光がファンの方々を表しています。あと15年の歴史に欠かせないアイテムが出てきたり、モノノフさんがグッとなるようなシーンがところどころ出てくるかなと思います。結構アイデアも取り入れてもらったよね?

高城:うん。アイデアを出すのにも参加させてもらいました。

玉井:「ももクロの歴史の中で、どんなアイテムを見たときに胸に来るかな?」ってみんなで話し合ったんです。

百田:それぞれの思い出のアイテムで、私は「ももいろパンチ」の衣装が出てくるんです。なんか衣装のパワーってすごいなって思いました。当時のいろんな思い出が真空パックされたみたいにそのままの形で存在してくれてるから、一瞬にして当時のことを思い出させてくれるんですよ。自分の衣装ですけど、すごくグッときちゃいました。

ももクロ【MV】結成15周年記念ソング『いちごいちえ』 -MUSIC VIDEO-

ーーシンプルに心に響くMVですね。では、5月16日、17日に国立代々木競技場 第一体育館で開催される15周年記念ライブ『代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary』はどんなライブになりそうですか。

百田:私たち以上にファンのみなさんが15周年をすごく大切にしてくださってるので、2023年は15周年の感謝を伝える1年にしようと思ってるんです。代々木は、それを一番大きく伝えられる場所になると思うので、とにかくたくさんの感謝を伝えるライブをしたいなって思います。

高城:15周年の感謝と、これからもももクロを見ていきたいなと思っていただけるような特別なライブにしたいです。あと、私たちのワンマンライブでは、声出しが初解禁になるんです。約3年ぶりなので、コールを入れてくださる「overture」が聴けるのが楽しみです。

玉井:モノノフさんも、15年の歴史の中でももクロを好きになったタイミングがそれぞれあると思うんです。出会ってくれたことってほんとに奇跡だなと思うんですよ。なので、自分が出会った瞬間のももクロを思い出してくれたり、今の私たちを見てまたももクロを好きになってもらったり、これからも応援したいなと思ってもらえるライブになったらいいなと思います。あといろんな考えがある中で、声出し解禁のタイミングって難しかったんです。記念の15周年ライブですし、久しぶりにみんなでコール&レスポンスして、ここからまたみなさんと一緒にライブを作り上げていきたいなと思ってます。

佐々木:ファンの方が観たいものを一番大事にして作りたいですね。私たちは今年をまるっと15周年イヤーとしてとらえてるので、そのあとは15周年記念ツアーもありますし、いろんなライブで感謝の気持ちを伝えたいなと思ってます。代々木はもちろん結成日当日でもありますし、15周年の素敵な幕開けができたらいいなと思います。

ーー今、お話にも出ましたが、7月から15周年ツアーが行われますね。

玉井:アニバーサリーツアーなので、今回はメンバーみんなでツアー内容を考えようと思ってるんです。ツアーに来てくれた方が一番楽しんでもらえるように、これからメンバーみんなで話し合いながら作っていきたいです。

百田:私たちはあまりツアーを多くやってるグループではないんですけど、全国いっぱい回ってきたなという感覚はあるんです。周年ツアーも初めてなんです。だから、久しぶりにいろんなところを回ってみなさんと会えるのがうれしいですね。あと私は静岡出身で、小さい頃、地元にアーティストさんが来てくれるのがすごくうれしかったんです。なので、各地の地元のみなさんに喜んでもらえるライブをしたいし、美味しい食べものも楽しめたらなって思ってます(笑)。

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