THE SPELLBOUND、自主企画イベントで巻き起こした歓喜の熱狂 BOOM BOOM SATELLITESを完全再現した感動的な一夜に

 BOOM BOOM SATELLITES(以下、BBS)の中野雅之とTHE NOVEMBERSの小林祐介によるバンド、THE SPELLBOUNDが5月8日、恵比寿LIQUIDROOMで自主企画イベント『BIG LOVE』をスタートさせた。第1回目はBBSの25周年とリンクした「THE SPELLBOUND×THE SPELLBOUND(BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary SET)」。前半はTHE SPELLBOUNDがBBSのセットリストを再現、そして後半はTHE SPELLBOUNDがパフォーマンスする超レアなイベントとなった。

 イベントは19時にスタート。ステージ奥に“BOOM BOOM SATELLITES”と印されたバックドロップが掲げられた瞬間、フロアからは凄まじい歓声と拍手が巻き起こる。そしてフライングVを持った小林と中野、ドラマーの福田洋子が登場。オープニングナンバーとして、BBSのラストシングル曲「LAY YOUR HANDS ON ME」が放たれると同時に観客が手を上げ、圧倒的な開放感が広がる。美しい音の粒子とアップリフティングなビート、小林の凛としたボーカルが響き渡り、一瞬にしてこのバンドの世界に引き込まれる。さらに「MOMENT I COUNT」「DIVE FOR YOU」とアルバム『FULL OF ELEVATING PLEASURES』(2005年)の収録曲を続けて披露。4作目のフルアルバムとして発表された本作は、BBSのキャリアを代表する作品のひとつ(個人的な思い出になってしまうが、この年の『FUJI ROCK FESTIVAL‘05』WHITE STAGEでのライブは今も強く記憶に刻まれている)。

 もちろん何度もライブで聴いてきた楽曲だが、小林、中野、福田の編成によって、“初期衝動”という言葉を使いたくなるほどの生々しさと爆発力を放ちまくっていた。90年代初期のビッグビートの潮流から登場したBBSは、ロックのダイナミズム、ダンスミュージックとしての精度を高めていったわけだが、この日のステージからは、その遺伝子をしっかりと受け継ぎながらも、“ここから新しいものを生み出す”という根源的な意志が伝わってきた。つまりは最高だということだ。

 「こんばんは、BOOM BOOM SATELLITESです。今日はお祭りです。僕と川島(道行)くんの最後の頃、すごく優しくしてもらった大切な友達がいるので、彼を呼びたいと思います」と呼び込まれたのは、Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)。代表曲「BACK ON MY FEET」をセッションし、観客のテンションをさらに引き上げた。中野はMAN WITH A MISSIONの「Hey Now」「Dog Days」「All You Need」のアレンジやサウンドプロデュースに関わるなど、2010年代後半から交流を重ねている。中野、小林と縁の深いミュージシャンとのコラボレーションは、“BIG LOVE”の大きなポイントとなりそうだ。

 「小林裕介という素晴らしいボーカリストと今、一緒に音楽をやっていて。BOOM BOOM SATELLITESのセットリストを再現してくれるのは、世界中を探しても小林くんしかいない」という言葉に導かれたのは「BLIND BIRD」、そしてラストは「KICK IT OUT」だ。最強のアンセムが鳴り響くなか、「THE SPELLBOUND(BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary SET)」のステージはエンディングを迎えた。

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