藤井風、RADWIMPS、マンウィズ、BABYMETALら続々海外ツアーへ 国外ライブを成功させる条件は?
近年多くの国内アーティストが海外でライブを行うようになった。インターネットによってどこからでも、誰でも楽曲にアクセスできる社会になったことで、国外のファンを獲得しやすくなったのはその大きな要因の一つだろう。コロナ禍によりこの流れは一旦は歯止めが掛かったものの、ある程度の沈静化を見せた今年以降、その傾向は再び加速するはずだ。
現在すでにRADWIMPSが北米の6都市を回るツアー、藤井風がピアノ弾き語りによる初のアジアツアーを発表したりと、続々と海外ツアーを開催するアーティストが現れている。これまでも積極的に海外公演を実施してきたMAN WITH A MISSIONは、5月〜6月にかけて北米ツアーとイギリス&ヨーロッパツアーを開催。2020年にツアーの中止を余儀なくされたBABYMETALは、ここへ来てようやくアジアツアーに踏み切り、さらにオーストラリアでの初ワンマンツアーにも挑戦する。
日本の音楽シーンを牽引するアーティストであっても、非日本語圏でツアーを行えるアーティストはそれほど多くない。しかし、海外を志向する国内アーティストは年々増えている印象があり、今後は海外で公演を行うアーティストがこれまで以上に増えてくると予想される。そこで本稿では、海外ツアーを行えるアーティストの条件について考えてみたい。
作品へのアクセスしやすさと英語力
海外ツアーの開催には当然、現地のファンの存在が必要となる。そのためには作品が“開かれた”状態であることが第一条件となるだろう。
2016年に公開されたアニメ映画『君の名は。』の世界的なヒットにより、その主題歌と劇伴を手掛けたRADWIMPSは、海外での知名度が爆発的に上昇した。そうした状況において、作品の音源やMVなどを海外からでもアクセスしやすくすることは必須である。YouTubeやストリーミングサービスといったネット上のアーカイブを整備しておくことは、今の時代の基本中の基本。現にRADWIMPSの公式YouTubeチャンネルの動画のコメント欄は日本語以外の言語であふれており、国内からのリアクションを凌ぐ勢いを見せている。こうした“開かれた”状態が海外ファンの獲得につながり、結果的に海外ツアーへと結びつくのだ。
英語でのコミュニケーション能力があることも重要だろう。英語力は海外ツアーに絶対に必要な条件というわけではないが、実際にステージに立った際に会話がある程度できた方が、観客に受け入れられやすいのは明白。また、英語での発信は海外人気を呼び込む下地にもなりえる。
藤井風は昨年「死ぬのがいいわ」が世界でバイラルヒットしたことで海外リスナーが急増したが、かねてよりSNS上で英語でも発信し続けていたことは、そのバズにそう小さくない影響をもたらしたと考えられる。YouTube上の楽曲解説動画を英語で行っていたり、作品の世界に海外リスナーも深く入り込めるよう、自身で英訳したリリックをCDやレコードのライナーに記載しているのもポイントだ。海外からもアクセスしやすく、英語を使った活動をすること。これらは基本的なことではあるが、欠かせない要素である。