Diosにとっての本来の創作活動 『CASTLE/Re:BUILD』Billboardツアーで示した“再建”という向き合い方
昨年、私がDiosの3人に取材をした際、彼らは「3人でライブをすると、各々の負担が大きくて大変だ」というふうなことを話していたのだが、サウンドの土台となるリズム隊が入ったことによって、この日のステージ上のたなか、Ichika、ササノの3人は極めて自由に、自らの演奏を謳歌しているようだった。Ichikaのギターは涙も怒号も音で表現してみせるような、その表情の豊かさを一層露わにし、不安定さをも手なずけてみせる凄みを感じさせた。そして、サウンドに色彩を与えながら、時に歌声でも楽曲を彩るササノの佇まいからは、一見静かでありながら、とても威風堂々としたものを感じた。ステージの中心に立つたなかは、その身体のすべてを駆使して歌を放っているようで、彼の言葉は確かな質量と軌道をもってBillboard Live Tokyoという空間を縦横無尽に行き交い、時に、その言葉は舞っているようだった。
「ダークルーム」や「Misery」などの演奏を終えたタイミングで、たなかとIchikaが、自分たちの楽曲は暗い世界観のものが多いことを笑いながら話す場面があった。たしかに『CASTLE』期におけるDiosの楽曲はダークで内省的なトーンの楽曲が多いが、しかしながら大前提にあるのは、「創作」の喜びである。作品自体がどのようなトーンを持っていたとしても、「創る」という行為を通して、世界や自己を見つめ続け、新たな発見をし続けることの根本的な喜びが、Diosの3人からは溢れている。この日、曲の合間に「楽しい、楽しい」と繰り返しながら話していた彼らの姿からは、特にそんなことを感じた。きっとこの先も、Diosは「創ること」を通して、「どう生きるべきか?」という問いの答えを刷新し続けるのだろう。MCでたなかは、こんなふうに語っていた。
「この時期(『CASTLE』制作期)は、美しい言葉になっていない感情を閉じ込めて曲にすることが好きだったけど、最近はモードが変わってきて。『そういう世界を、どうサバイブできるか、どうやって愛せるか、それしかなくない?』って、精神がポジティブな方向にシフトしている。今日やった「王」の歌詞も、追々出るから見てもらえればわかると思うけど、『ちょっと違うな』という感じになっているじゃないかと思います」
きっとDiosは、この先も私たちが想像もつかない形で変わっていく。変化すること、それ自体が生きることにおけるひとつの幸福であると、体現するように。ライブは最後、「幸せになることを躊躇わなくてもいい、という思いで作った曲です」というたなかの言葉に続き、「裏切りについて」が披露され、幕を下ろした。
Dios オフィシャルサイト
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