長瀬有花、下北沢を学ぶ。 ー下北沢SHELTER編ー 店長 義村智秋氏に聞く、多くのアーティストから愛される街の魅力
下北沢がアーティストから愛される理由
長瀬:自分は今年、新しさと歴史的な面を併せ持つ下北沢を中心に音楽活動をしているのですが、義村さんは下北沢に来てどのくらいになるんですか?
義村:下北に来てから10年くらい経ってますかね。その間にだいぶ景色が変わりました。今の駅前みたいに綺麗に舗装されている道もなかったですし、個人的には電車の線路が地下化する前の下北の方が好きでした。
長瀬:たしかに、昔のほうがもっと雑多な印象があったのかもしれません……。10年前からといいますと、ちょうど下北沢の再開発が始まって景色の変わっていく様子を見ていたんですね。
義村:前まではもうちょっとサブカルが好きな人たちとか楽器を背負ってる人ばかりだったんですけど、ふらっと目的もなく来る普通の若い子が増えた気がしますね。昔からあったものがなくなるのは寂しいですけど、それでもずっと続けてる人たちもいます。それで言うとライブハウスは残っている方かなと。街の新しい部分とうまく調和していけたらいいなと思いますね。ちなみに長瀬さんは下北沢にどんな印象を抱いていますか?
長瀬:すごく落ち着くところだなと思います。人も多くてお店もいっぱいあるのにどこか落ち着いているというか。みんなそれぞれ自分の好きなものや好きな場所をマイペースに楽しんでる雰囲気を感じます。そういうところがいいなと思うし、自分も背伸びせずにありのままの状態でいられる。すごくお洒落して緊張して行く感じじゃなく、自然体でふらっと遊びに行けるいい場所だなと。下北沢の中で行っておくべき音楽スポットやイベントはありますか?
義村:ライブハウスはいっぱいあるので、ライブのスケジュールを見たりして気になるものがあったら行ってみるのが良いと思います。特にサーキットイベントはいろんなライブハウスの中にまとめて入れる良い機会なので、一度行ってみて好きな空間や音を探すのも良い気づきになるかもしれませんね。
長瀬:毎日、必ずといっていいほど、ライブハウスでライブが観られるのは、下北沢ならではの魅力ですね。サーキットイベント、自分はあまりお客さんとして行った経験がないのですが、特に初心者におすすめのサーキットはありますか?
義村:今年の5月27日にはTHISTIME RECORDS主催の『THISTIME RECORDS 20th Anniversary “New Buddy!”』が下北沢の12会場で行われます。『TOKYO CALLING』も最近毎年やってるフェスですね。あと個人的に一番推しているサーキットは、THEラブ人間というバンドが主催している『下北沢にて』です。推している理由としてはTHEラブ人間のメンバー、ツネと仲が良いからというのもあるんですけど(笑)、『下北沢にて』は下北にある6つの商店街全てが協力に入ってるんです。それだけ下北沢を巻き込んだ音楽イベントを作れたのは本当にすごいことだと思うし、下北沢を一度に感じられるイベントなのかなと思います。
長瀬:楽しそうですね! いつか自分も下北沢のサーキットイベントに出られるように頑張りたいです。これだけ多くのライブハウスがあったり、イベントが積極的に行われているエリアというのも珍しいと思うのですが、下北沢がアーティストから愛される理由はどんなところにあるんでしょうか。
義村:さっき長瀬さんもおっしゃっていましたけど、居心地の良さじゃないですかね。新宿や渋谷にはない田舎感、下町感があるからだと思います。変に肩肘張らなくてよくて、ラフにいられる。そういうところなんじゃないですかね。
長瀬:たしかに下北沢にいると素を受け入れてもらえるような感じがしますもんね。下北沢発のバンドやアーティストならではの特徴や魅力を挙げるとしたら、どんなものがありますか?
義村:サウンド面での特徴というとあまり思い浮かばないですが、みんな下北で飲み歩いてるといったことはあるんじゃないですかね。「こいつ、いつもいるな」みたいなところから定着していくというか(笑)。下北では夜な夜ななにかしら行われているので、集まるポイントはいくつかあって。そこに行ったりDJイベントにいたりする人が下北のバンドとして定着していくのかなと。
長瀬:なるほど。自分は飲み会といった文化はあまり馴染みのない世界なのですが……。時折でも、長瀬有花を下北沢で見かけられるような存在になっていきたいです。ちなみに、義村さんが考える「下北沢といえばこの人」というアーティストはいらっしゃいますか?
義村:KEYTALKや曽我部恵一さんですかね。あとはKOGA RECORDSの古閑裕さん。古閑さんはそれこそKEYTALKなどを輩出しているレーベルの社長なんですが、しょっちゅうSHELTERに飲みに来ます(笑)。
長瀬:インディーズのバンドのライブを見て、良かったら声をかけることもあるんですか?
義村:あります。あとは普通に仲良くなって、うちじゃないところでイベントをやっているときに顔を出したり。自分のところでやるときよりも別の箱でやっているイベントに顔を出して飲む方が、オフみたいな感じがして楽しいんですよね(笑)。是非うちでもライブをやってもらいたいんですが、楽しいのはよその現場かもしれません(笑)。
長瀬:お仕事以外でも音楽を楽しまれているということが、とても素敵です。今月4月27日に、自分も下北沢の某ライブスペースでコンセプトライブ『Form』の第二回目をYouTubeでライブ配信するのですが、こういった活動を通して少しずつこの街に長瀬有花の痕跡を残していきたいですし、長瀬有花を応援してくださっている方がもっと下北沢に興味を持ってくれるようになったらうれしいなと今日お話を聞いていて、より強く思いました。いつか自分もSHELTERのステージに立ってみたいです。その時はまたよろしくお願いいたします。
■配信ライブ情報
長瀬有花 コンセプトライブ「Form II」
4月27日(木)20:00~ / 視聴無料
https://www.youtube.com/watch?v=yxNQA1M5lmI
サポートバンド:ペペッターズ
■取材協力
下北沢SHELTER