ExWHYZ、アユニ・Dと“7人”で駆け抜けたこの日限りのステージ サプライズ尽くしのライブから生まれた特別な一体感
5月13日に迫ったExWHYZの初の日本武道館単独公演を前に、4都市を巡る『ExWHYZ TOUR 2023 xANADU』。その初日公演が4月1日、Zepp Haneda(TOKYO)にて開催された。セットリスト17曲うち11曲がリリース前の新曲、しかもリリース自体この日にサプライズ解禁されたニューアルバム『xANADU』の曲順通りに披露するというライブ。この日ならではの仕掛けもあり、グループがとてもポジティブに進み続けていることがステージから伝わってきた。
開演時間、パワフルなビートが鳴り響くと、ステージにExWHYZのメンバー7人が登場する。7人? そう、ファンならばご存じのとおり、この日だけ、ExWHYZは7人だったのだ。その7人目のメンバーとはayuniことBiSHのアユニ・D。これまたファンならばご存じのとおりこの電撃加入はエイプリルフールの壮大なネタであったわけだが、オープニングの「xANADU」に続く1曲目「BLAZE」でayuniが第一声を上げた瞬間に、筆者は別の意味で驚いてしまった。まるでずっとこのメンバーで活動してきたかのように馴染んでいたのだ。もちろんネタであることは薄々感じていたものの、そんなことを忘れてayuniのいるExWHYZをすんなり受け入れそうになってしまったのだ。ダンスのコンビネーションや7人のフォーメーションもかなり洗練されている。相当練習を重ねてきたのだろうし、エイプリルフールのために注がれたその努力を思うと泣けてくる。それと同時に改めてWACKは恐ろしい事務所だと思う。
さて、「BLAZE」のハードなエレクトロサウンド(midorikoのシャウトが効いている!)で一気にぶち上がると、yu-kiの「最後まで楽しんでいってください!」という言葉とともにビートをつなげて「Des Speeching」へ。ヘヴィなベース音がZepp Hanedaを震わせる。レーザーライトが妖しげに動き、「BLAZE」とはまた違う角度でオーディエンスを独特の世界に引きずり込んでいく。ダークすぎるわけでもヘヴィすぎるわけでも、逆にポップすぎたりキュートすぎたりするわけでもない、これは新曲全体を通していえることだが、絶妙なバランスで成立している楽曲たちである。音源で聴くよりもライブの最高の音響で聴くほうが圧倒的にかっこいいというのは1stアルバム『xYZ』のときから変わらないが、その現場主義的な方向性と同時に、懐の深さみたいなものも今のExWHYZは獲得している感じがする。その証拠に、続く「ANSWER」ではフロアから熱いハンズクラップが巻き起こる。マスター(ファンの総称)も、あっという間にこの新曲たちをモノにしているのだ。
3曲終えてここでメンバーの自己紹介。yu-ki、midoriko、mikina、mayu、maho、nowとリレーして、最後はayuni。「はい、ayuniです」の声に歓声が飛ぶ。彼女はメンバーから“アユニっち”と呼ばれているらしい。「あたいという名のピースが埋まったからには、特大花火をぶちかましたいと思います」とやる気満々である。そして披露するのはayuniの加入に合わせてMVも公開された「FIRST STEP」。軽快なロックサウンドに乗せてキャッチーなメロディが広がる。力強くサビを歌い上げるmayu、エモーションを溢れさせるようなmahoの落ちサビ……メンバーそれぞれの声質のいいところを活かしながら、でっかいスケールで進んでいくこの曲は、確かに武道館に向けて突き進む今のExWHYZのテーマソングだ。一転してどこかトロピカルなテイストもあるダンスチューン「SUPeR SIMPLe」を繰り出すと(この曲でもフロアから鳴り響く手拍子がメンバーを後押ししていた)、続けて投下されたのが筆者の個人的推し曲でもある「Walk this way」。音源を聴いた瞬間からこの曲はヤバいと思っていたが、ライブで観ると興奮もひとしお。大人っぽく抑えられたサウンドの切れ味も、その上で自由自在に移ろうようなメロディラインも最高だし、サビで一気にテンションが上がるドラマティックさもこの曲の魅力。メンバーのラップパートもバッチリ決まったし、ステージを大きく使うダイナミックなダンスも迫力満点。見どころだらけの熱演だった。
全速力で突っ走るようなドラムンベースのハイパーチューン「メトロノーム」、そして歌詞に合わせてフロアで揺れる手が再び会場をひとつにした「DIVE」とライブは続き、新曲お披露目のパートもいよいよ佳境に入っていく。ぐいぐいと曲を引っ張るベースラインとシンセのサウンドがカラフルな景色を描き出すテクノポップ「Darling」を歌いこなすメンバーの姿には、この数カ月で彼女たちが遂げた成長が透けて見える。明らかに難易度が高いリズムだし、曲の中での表現の幅も広い。結構マニアックなサウンドデザインがなされているにもかかわらずポップに響いてしまうのはさすがだ。その意味でいえば大事なところでポンと入ってくるnowの声はExWHYZにとってとても重要だと気づかされる。そして全員が横一列に並び、mayuの曲名コールからアルバム最後の曲「Everything」が始まる。歌詞の一言一言に感情を込めながら7人は歌を繋いでいく。全員の力を集結させたようなラップのパートは圧倒的で、その後の美しいサビのメロディとのコントラストも鮮やかだった。